高校世界史深堀りシリーズ。16世紀の西欧では,その世紀を通じて長期的・持続的な物価騰貴が生じ,最終的に約3〜4倍まで上昇した。これを価格革命と呼ぶ。100年間で3〜4倍では革命と呼ぶには随分と緩やかな物価騰貴であるように思われるが,この物価騰貴はその速度で歴史に残ったわけではなく,様々な影響をもたらしたがゆえに命名されたものである。その影響を高校世界史の内容に沿って列挙してみよう。 ① 当時の封建領主は永代的な固定地代を農民から徴収していたため,物価騰貴に追随できず,相対的に経済的に困窮することになった。 ② 当時の西欧の主要産業の一つに銀鉱山の経営があったが,価格革命は銀価格の下落をもたらしたため,多くの鉱山に一時的な経営破綻をもたらした。これにより没落した名家としてアウクスブルクのフッガー家が有名である。 ③ 持続的なインフレが投機ブームを生んだ。かつ,同時期の商業革命の影響により主な