塩田千春インタビュー。「美術を通して心は救われる」十和田市現代美術館で4月に公開された塩田千春による常設作品《水の記憶》。制作のプロセスからコロナ禍でのアートとの向き合い方まで、制作のためにドイツより来日した作家にインタビューを行った。 文・撮影=中島良平 十和田湖から着想された新作《水の記憶》──十和田市現代美術館で10日ほど制作に携わったと伺いました。来日してすぐに現場入りされたのでしょうか(取材実施は3月下旬)。 実家がある大阪に入ってまずは岸和田で2週間、隔離期間を過ごしました。私が住んでいるベルリンでは多くのアーティストが暮らしていて職業として成立しているのですが、ベルリンを離れるとアートに触れる機会が極端に減るため、隔離期間中は自分の職業が認められていないような感覚を味わいました。2週間経って十和田に来たら、ここには現代美術がとても根付いていると感じました。隔離期間があったこと