「岩手に移住してから16年ほど経ちます。生活上のストレスはほとんどないですよ。強いて言えば冬が寒いのと、酔った帰り道に凍った道路で滑ってしまうことくらいですかね」と嶌田(しまだ)洋一さんは笑う。 嶌田さんは盛岡市にあるクラフトビールメーカー、ベアレン醸造所の専務であり、創業メンバーの1人だ。 新卒で入った協和発酵工業(当時)のときに支社で働いた4年間と合わせて、もうトータルで20年以上も盛岡で暮らしている。盛岡について、住民の人柄も良く、のんびりした雰囲気で過ごしやすい街であり、じっくりと腰を据えてビール造りをする上でも最適な環境だという。嶌田さんは東京出身だが、人が多くてゴチャゴチャとした街が好きではないので、今でも東京へ行くとつい逃げるように早足になってしまうそうだ。 ベアレンは2001年に設立。日本では1994年に酒税法が改正され、ビールの製造免許取得に必要な最低生産量が従来の年間2