昨年、奥本章寛被告が共同通信記者に送った手紙 × × × 宮崎刑務所の独居房は、隙間風が入り込む、白い壁に囲まれた4畳。ここに来て、気付いたことがある。「昔から我慢ばかりして、僕はいつの間にか本音が言えなくなっていた」 1988年2月、福岡県で生まれた奥本章寛(おくもと・あきひろ)被告(24)。3人兄弟の長男で、棚田が広がる山の麓で18歳まで過ごした。 幼いころから、気が弱かったという。「もめ事が嫌いで自分から謝るほうだった。人に好かれたくて、周りに合わせて我慢することが多かった」 小学校から高校までは剣道一色の生活だった。稽古では、しごかれていつも泣いていた。辞めることばかり考えた時期もある。しかし、剣道の推薦で高校に進学、主将を務めるまでになった。 奥本被告の実家の家族は「反抗期らしいものはなかった」と振り返るが、それは、イライラを人前で隠していた