『週刊新潮』 2012年2月23日 日本ルネッサンス 第498回 「このままでは日本は戦いに負けます。21世紀の戦い、サイバー戦争には完全な勝利か惨めな敗北しかありません。人類のこれまでの戦争のように8割は負けたが2割は勝った、または7割と3割の勝敗、もしくは日露戦争のように、ギリギリの勝利などというものはありません。サイバー戦争の恐ろしさはその点にあるのです」 こう語るのは陸上自衛隊でサイバー戦部隊「システム防護隊」初代隊長を務めた伊東寛氏である。氏は07年に退官し、現在ラックホールディングス株式会社サイバーセキュリティ研究所所長を務める。 昨年9月に三菱重工をはじめ日本の防衛産業の中枢企業がサイバー攻撃を受けていたと報じられたが、対日サイバー攻撃はすでに10年以上前から始まっていたとも指摘する。 2000年前後に顕著になった米国や日本企業に対するサイバー攻撃を、米国は国家的危機ととらえ