あなたは見知らぬ他人のコンピューターの前に座っている。いくつかファイルを見ていくうちに、「作ったもの」というフォルダを見つける。開いてみるとたくさんのアプリケーションがある。ひとつを選んで起動する。ビデオゲームだ。一人称視点で、オペラハウスのステージのうえにいくつものピンがあり、触れると弦楽器の音がする。べつのアプリケーションを開いてみる。これも一人称視点のゲームで、たくさんのマネキンに囲まれている。すべてのマネキンの頭は緑色に発光する正六面体で、「FRIEND(味方)」あるいは「ENEMY(敵)」と記されている。 ちょっと考えてみてほしい。このゲームを作った人物はいったいどんな性格で、なにを考え、どのような動機があったのだろう。ベッド・メイキングをするだけのゲーム。宇宙のなかにぽつんと浮かんでいる船を眺めるゲーム。彼は孤独に悩んでいたのだろうか、それとも創造の喜びを感じていたのだろうか。