「鬼滅の刃」の主人公、竈門炭治郎は「やさしくて強く、また長男としての責任感が強い」少年だ。この作品全23巻の間に、彼はとても成長したと思うのだが、そうではないというご意見も読んだのでその辺りをどう考えるべきか、少し考えてみた。 考えながら第1巻を読み、思ったことを書いていたら再び完全に物語の力につかまってしまって、まあそれでは批評は書けないわけだけど、この物語の捕捉力の強さは異常だと改めて思った。そして内的にその必然性を追えば追うほど物語の深さがわかるという点で、この物語は一つの稀有な傑作だと改めて思った。 それはともかく、炭治郎はもともと決して強くはない。義勇に嘆願して土下座して「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」と叱咤されるし、鱗滝には「この子はダメだ。思いやりが強すぎて決断ができない」とがっかりさせる。もちろんその彼らの判断を乗り越えて、試練を克服した炭治郎は「禰豆子を人間に戻すため