相馬勇紀は一度だけサッカーをやめたいと思ったことがある。三菱養和SCユースに所属していた高校2年生の時だ。「イージーミスが増えて、何をやってもうまくいかなくて、もうサッカーが嫌になって。初めてサッカーをやめたいと思った」。2013年9月1日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2013プレミアリーグEAST第11節の東京ヴェルディユース戦で0-6の大敗を喫したことで、その思いは大きくなった。 いつもは、ああしなさい、こうしなさいとげきを飛ばす母親の靖子さんも、この時だけは優しくこう語りかけた。「またがんばろうよ」。傷心の息子を穏やかに励ました。これが勇紀の胸に響いた。 やる気を回復させた勇紀は、従来のパフォーマンスを取り戻し、さらにトレーニングを重ねて右肩上がりの成長を見せた。骨格ができあがってからと敬遠していた筋トレに取り組み、当たり負けしない体を作って持ち前の突破力にさらに磨きをかけた。「高