金融庁が公表した企業の情報公開を強化する内閣府令の改正案で、役員報酬の個別開示を1億円以上に限定したことに対し、経済界は受け入れる方向になった。一時は全役員の報酬を個別開示する案が浮上し経済界が反発していた。ただ、一部には、「興味本位で報酬ランキングが作成され、広まる心配がある」(大手企業関係者)と懸念する声も出ている。 役員報酬の開示は、有価証券報告書に総額だけを記載する企業が大半を占め、役員ごとに任意で開示している企業は少ない。 今回の情報開示の強化は、欧米金融機関の高額報酬が、短期的な利益追求を優先させ、金融危機を招いたとの反省が背景にある。 日本では、欧米のような高額報酬の習慣はないが、金融庁では「業績に見合った報酬を経営陣が得ているのかどうか、株主や投資家によるチェックが働く」との観点から、個別開示が必要と判断した。 検討過程では、全役員の報酬を個別開示する案が浮上したが、経済界