本誌2015年2月号と3月号で、連載の間に挟んだ特別座談会「電力自由化と日本の再生可能エネルギーの課題」では、さまざまな問題点が浮き彫りになった。筆者の担当回では、「なぜ欧州で風力発電が成功しているのか」を探るために、欧州(および北米)の電力系統の研究者・実務者の間で何が議論されているかを紹介していく注1。また、再生可能エネルギーを巡り世界で進行していることと、日本で巷に流れている言説がどれほど乖離しているかについても言及していく。 今回は、日本と海外の情報ギャップの一例として、再生可能エネルギー(以下、再エネ)と蓄電池の関係について述べていきたい。 日本と欧州の電力系統の決定的違い:原因者負担の原則とローカルミニマム まず、「なぜ欧州で風力発電が成功しているのか」という疑問から出発する(これは本連載第1回目のタイトルにもなっている)。この素朴な質問に対しては、単純に一言でいうと「欧州の電