俺は二人の人間に分裂して、やぐの前で闘うことにした。勝った方がやぐを貰うからな。 「擬似恋愛か、本当の恋愛か、それが問題だ、やぐ、いやちがう、やぐ落ち着け落ち着くんだ。恋愛に本当も擬似もあるもんか、なんていったら、それは屁理屈だといわれる、運が悪ければ、あいつは恋愛したことないヤツだなどと後ろ指を差される。本当の、もう少し穏当に言ってみて、一般的な恋愛においては、他者、つまり恋愛の対象とのコミュニケーションが欠くべからざる要素であり、それが「現実」のおとしどころとやらで、ひとまずその「現実性」とやらを抜きにしても、その要素が恋愛の擬似か本当かの判断根拠たりうる、という結論はなるほど論理的には一つ正しそうだ。「現実」はおせっかいだ。そして「現実」の奴隷になったヤツがルサンチマンを発揮して、お前も現実を見ろ、という。だがここでそれは奴隷根性ではないか、などとついぞ放言してはならない。俺が妄想の