「83歳の姉を連れて熊本市内からタクシーでもう3回来ました」と60代の女性。「僕は98歳の親父の家の壊れたから、神戸から来たけど、もういっぺん出直せて言われました」と70代の男性。「0歳の孫を連れて来た時も追い返されて、もう何度、来たのか分からん」と50代の女性。熊本県益城町の罹災証明書を交付するグランメッセの駐車場には、被災者たちの行政に対する怒りとため息と不信の声があふれていた。【福岡賢正】 【写真特集】ずさんな運営…罹災証明書取りに来て「出直せ」 ◇行政側の危機感欠如 私自身、同町小池で被災した両親のために順番待ちの列に並んで痛感したのは、被災者の切実な声と乖離(かいり)した行政側の危機感の欠如だ。 私がグランメッセに到着したのは午前6時ごろ。テント内の300席ほどの椅子は埋まり、列が長く延び始めていた。両親の元に送られてきた「『り災証明書』の発行開始について」という町役場から