→紀伊國屋書店で購入 「ボサノヴァの創始者と、彼の母国の魅力を伝える」 ふとした出来心で買って開かないまま、古本屋行きになる本があるが、この本は幸いそういう運命を免れ、いつか読むだろうと、そのいつかがいつになるかわからないまま、手元に置かれていた。 その「いつか」が、ある日突然やって来た。あまりに暑かったこの夏のせいである。どこか別の場所に気持ちをいざなってやり過すしかないと、書棚を探っていると、この本が目に留まった。ブラジルに思いをはせるのにちょうどいい暑さだ。 「イパネマの娘」や「ワン・ノート・サンバ」など、多くのボサノヴァの名曲を作曲したアントニオ・カルロス・ジョビンについて、妹のエレーナ・ジョビンが書いたものだ。癌と診断され静養のためにニューヨークから帰国したジョビンが、ブラジルの家で最後の日々を過す光景からはじまる。三週間後、ジョビンは手術を受けにニューヨークにもどり、そのまま帰