「テスト問題は正規分布になるように作るのがよい」とか「偏差値は正規分布を仮定している」とか言われることがあるが,そんなことはない。全国規模のテストでも正規分布にならない。また,偏差値は平均50,標準偏差10に揃える線形変換であり,分布とは無関係に使える——「偏差値50〜60には全体の34.1%が入るべきだ」などという無理を言わない限り。 次の図は『Rで楽しむ統計』 p.28に載せた2015年度全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の中学理科の正答数分布である。同じ平均・分散の正規分布の密度関数を重ね書きしてある。 ご覧のように,正規分布とは似ても似つかない。全国の中学生が受ける試験でもこれである。人数が増えたら正規分布に近づくなんてことはない。なお,全国学力テストの分布は国立教育政策研究所で公開されている。 センター試験の得点分布はあまり公開されていないが,やはり正規分布とは似ても似つか