新人時代の北斗晶は、一際ひどいイジメに遭っていた。当時のプロレスファンならば大抵の人が知っている事実だ。 中学時代に陸上部からソフトボール部へ移籍した北斗は、強肩で鳴らす注目の選手となった。強豪校からスカウトされ、スポーツ推薦で高校へ進学した素材の持ち主である。 このフィジカルの強さは、全日本女子プロレスに入門しても際立った。力も強かったが、筋肉のつくりからして違う。身体にビシっと芯が通っており、新人特有のフニャフニャ感が全くなかった。 北斗晶が北斗晶になる前、つまり宇野久子(北斗晶の本名)は幸か不幸か、フロントの手違いでプロテストを受けないまま試合に出されている。“女帝”ブル中野でさえプロテストには何度も滑り、デビューが遅れているのだ。しかし宇野にそのようなハードルは与えられず、自分でも知らないうちにデビューを果たしていた。当時の境遇について、北斗はこう語っている。 「新人の中で、私がい