原発の安全審査を担う原子力規制委員会(田中俊一委員長)が原発再稼働の足かせとなりつつある。昨年9月の発足に当たり、野党時代の自民、公明両党は規制委を国家行政組織法第3条に基づく「三条委員会」とし、公正取引委員会のように独立した行政組織とする案を丸のみさせたが、高い独立性を与えたことがあだとなった格好だ。 民主党政権は当初、環境省外局の「原子力規制庁」とする考えだったが、自公両党は「政権の意向やエネルギー政策に影響を受けながら規制を行うことになる」と問題視。修正協議で三条委員会とすることを認めさせた。民主党内の「原発ゼロ」勢力による干渉を防ぐ狙いもあった。 自ら独立性を持たせた経緯があるだけに、安倍政権には、野田佳彦前首相が首相権限で任命した田中氏、委員の計5人を交代させる考えはなく、1月28日には国会に事後同意を求める人事案を提示した。 安倍晋三首相は31日の参院本会議でも「原発の再稼働は