まず、よくある誤解として、ポスドク1万人計画が博士過剰問題の原因であるようかのような議論がある。これはあやまりで、本当の起源は大学院重点化である。ポスドクの増加は、任期付きでも雇用機会が増えているのだから、全体として雇用者は増えているはずなのであり、博士過剰の問題を緩和しているはずである。 ただ、ポスドクのポストは一時的なものなので、問題の先送りでしかない、ということはよく言われる。つまりポスドクが終わったあとのことはどうなるのか、ということである。その観点から、ポスドク一万人計画の一万人というのはあまりにもキリの良い数字で、本当にそのあとの雇用との関連で、適正数だったのか、という疑問が生じる。 今後5年間ぐらいにどれだけ大学のポストが空くか? ポスドクの適正数は、おおよそポスドクの任期の間にどれだけの大学のポストが空くかによって考えてみる。日本の場合、ポストの数が比較的固定されているので