タグ

2021年1月26日のブックマーク (61件)

  • 火葬で良いのか? その環境負荷と新たな選択肢

    ヒンドゥー教伝統の合同火葬で燃える棺。2013年8月18日、インドネシアのバリ島にて。(PHOTOGRAPH BY PUTU SAYOGA, GETTY IMAGES) 米国では過去4年で火葬が土葬を上回り、最も人気の葬送方法になったと、全米葬儀ディレクター協会が発表した。遺骨や遺灰を生まれ変わらせる独創的な方法もさかんに宣伝されている。プレスしてレコード盤にしたり、岩礁を造るのに利用したり、あるいは圧縮してダイヤモンドにしたりするのだ。 火葬はまた、死体防腐処理(エンバーミング)と棺を使用する土葬よりも、環境に優しい選択肢として宣伝されることが多い。費用だけではなく環境への配慮が、火葬人気の一因なのかもしれない。(参考記事:「蘇生を願い、人体を冷凍保存する人々 写真16点」) 「なかには、環境への配慮が理由の一つだという人もいます」と話すのは、米ワシントン州に部を置く、人生最後の選択を

    火葬で良いのか? その環境負荷と新たな選択肢
  • 7000年前のスウェーデンの女性を復元、特別な存在

    現在のスウェーデン南部で7000年前に亡くなった女性。遺骨とDNAと埋葬時の様子を基に復元された。(PHOTOGRAPH BY GERT GERMERAAD, TRELLEBORGS MUSEUM) 考古学者らは、その女性に「22」という番号を振った。実物大の像を復元した彫刻家は「シャーマン」と呼ぶ。それを展示する博物館のスタッフにとっては「座る女」だ(少なくとも今のところは。他にいい呼び名があれば受け付けるそうだ)。 彼女の名を最後に口にしたのは、およそ7000年前、現在のスウェーデン南部に広がる豊かな湿地帯や森に住んでいた誰かに違いない。その名前は歴史のかなたに失われてしまったが、考古学者であり彫刻家でもあるオスカー・ニルソン氏らのチームによって女性が復元され、この11月17日からスウェーデンのトレレボリ博物館で公開される。 女性は動物の角の上にあぐらをかき、頭を上にして埋葬されてい

    7000年前のスウェーデンの女性を復元、特別な存在
  • はびこる憎悪を避けイスラエルへ移住、フランスのユダヤ人 写真16点

    2019年7月17日、テルアビブで温かく迎えられた移住者たち。その多くが、フランスからの移住者だ。(Photograph by William Daniels) ナショジオの写真家になった女性たち 100年の軌跡 写真35点 ナショジオの写真家になった女性たち 100年の軌跡 写真35点 フランスのパリで育ったエステル・コスカスさん(30歳)は、平穏な毎日を送っていた。自宅は、パリ郊外の町サルセルにある『リトル・エルサレム』の中心地にあり、近くにはユダヤ教の戒律に従ったコーシャを出すレストランや、ヘブライ語が書かれた店の看板が目につく。ユダヤ人とアラブ人が隣り合わせで暮らし、小さな摩擦は時折起こるものの、ユダヤ人であるコスカスさんが身の危険を感じたことはなかった。 だが、それが変わったのは、2014年夏のこと。親パレスチナのデモ隊が暴徒化して、ユダヤ人の住む地域を襲撃する事件が発生した。

    はびこる憎悪を避けイスラエルへ移住、フランスのユダヤ人 写真16点
  • https://www.elle.com/jp/culture/a34474905/adieu-parisiennes-vol4-nobless-privilege-201105/

    https://www.elle.com/jp/culture/a34474905/adieu-parisiennes-vol4-nobless-privilege-201105/
  • 大地震から10年 復興進まぬハイチの惨状

    *会員:年間購読、電子版月ぎめ、 日経読者割引サービスをご利用中の方、ならびにWeb無料会員になります。

    大地震から10年 復興進まぬハイチの惨状
  • まるで民族の大移動 アジアの旧正月

    ここでしか味わえない 非日常の世界! 予想を裏切る、驚きの瞬間!どのページにも、驚きと喜びが詰まっていて、刺激を与えてくれる。永久保存版の写真集。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕 定価:2,750円(税込) amazon 楽天ブックス

    まるで民族の大移動 アジアの旧正月
  • 雪の札幌、はかないナイトライフ

    ナショナル ジオグラフィック英語版1960年12月号より。写真:JOHN LAUNOIS, BLACK STAR 2階の窓に映った妖しい人影。女性が男性に酒をついでいるのだろうか。1960(昭和35)年12月号に掲載された札幌の夜の街角だ。詳しい撮影場所は不明だが、通りの向かいに「薄野(すすきの)みなみ」という看板が見えることから、おそらく札幌の有名な歓楽街の酒場なのだろう。 電柱に掲げられた産婦人科の広告から場所の見当をつけ、すすきのの南側を歩いてみた。古い市場で尋ねたところ、どうやら1959年頃に同名の店がこの界隈(かいわい)にあったようだ。その場所に行ってみると、今はジンギスカン店になっていて、酒場の面影はまったくない。無数の飲店がしのぎを削り、変わり続ける夜の街。そこで生き残る難しさ、そして、雪まつりの雪像にも似たはかなさを、しみじみと感じた。 この記事はナショナル ジオグラフィ

    雪の札幌、はかないナイトライフ
  • 黒人歴史月間を生んだ、一人のひたむきな歴史家

    米国の歴史家・教育者のカーター・ゴドウィン・ウッドソン(1875~1950年)。1910年代に撮影した肖像写真。(PHOTOGRAPH BY HULTON ARCHIVE, GETTY) 20世紀初め、歴史家のカーター・G・ウッドソンは苛立ちを感じていた。黒人の功績に対して、世界が沈黙していたからだ。 人種差別がまかり通っていた当時の社会で、黒人は誤ったイメージを持たれ、その貢献は見過ごされていた。そうした中、ウッドソンは、黒人の豊かな歴史を世界に伝えようと精力的に活動し、後世に残る遺産を生み出した。現在も、米国で毎年2月に祝う「黒人歴史月間」だ。(参考記事:「苦しみの歴史に衝撃、アフリカ系米国人博物館」) ウッドソンの両親は元奴隷で、読み書きができず、彼自身もなかなか教育を受けられなかった。青春時代は、家族経営の農場や炭鉱で働き、学校へは時々行けるだけ。ようやく高校に通い始めた頃には20

    黒人歴史月間を生んだ、一人のひたむきな歴史家
  • 戦中戦後の日本を米国人記者はこう見ていた

    大戦の前後、日は敵国であった米国の記者にどのように見られていたのだろうか。 1888年に創刊したナショナル ジオグラフィック誌は、創刊当初から日の素朴な人々やすぐれた文化、美しい自然について数多く紹介していた。 生け花を習う女学生たち。花嫁修業の重要な一つと考えられていた。(KIYOSHI SAKAMOTO/National Geographic 1933年3月号「長い歴史をもつ若い国」より) たとえば戦前、1933年3月号に掲載された特集「長い歴史をもつ若い国(Japan, Child of the World’s Old Age)」はこんな具合だ。 「日人女性の和服には自然の趣が感じられる。乙女が美しい着物や髪飾りで着飾った姿には、感嘆の声を上げずにはいられない。しかし、詩人たちは女性を称賛する以上に、美しい景色や自然の造形美を詩に詠んできた。雲や霞、曙や夕暮れの輝きが生き生きと

    戦中戦後の日本を米国人記者はこう見ていた
  • 急ぎすぎた野心家、コリン・オブレイディ

    2019年1月3日、南極大陸横断を終えて帰りの飛行機に乗り込むコリン・オブレイディ氏。メディアは彼の功績を「歴史的」と讃えたが、専門家の間からその主張の正当性を疑問視する声が上がっている。(TAMARA MERINO, THE NEW YORK TIMES, REDUX) オブレイディ氏が才能あるアスリートであり、これまでも多くの困難に挑み続けてきたことは間違いない。米エール大学で水泳選手として活躍し、22歳で卒業すると、ペンキ塗りのアルバイトで貯めた金を使って1年間かけて世界を旅した。タイのビーチで火のついた縄で縄跳びをやった時に足に大やけどを負い、1カ月入院した。のなかで、この時医者から普通に歩くことはできないと宣告されたことを明かしている。 だがそれから2年もたたないうちに、オブレイディ氏はシカゴトライアスロンのアマチュア部門で優勝した。その後自分の能力の限界を試すため、商品先物取

    急ぎすぎた野心家、コリン・オブレイディ
  • 嘘の国を売った史上最悪の詐欺師、270人が死の入植

    ナショナル ジオグラフィックの書籍『世界をまどわせた地図』で紹介する国、島、都市、山脈、川、大陸、種族などは、どれもまったくの絵空事だ。しかし、かつては実在すると信じられていたものである。なぜだろう? それらが地図に描かれていたからだ。 神話や伝承として語り継がれていたものもあれば、探検家の間違いや誤解から生まれたものもある。なかには、名誉のため、あるいは金銭を集めるための完全な「でっち上げ」すらある。その代表例として、ここでは「ポヤイス国」の物語を紹介する。史上最悪の詐欺師グレガー・マグレガーによる嘘の国だ。 世界一の大ぼらふき、グレガー・マグレガー 1822年頃のヨーロッパは不景気の中にあり、コロンビアやチリ、ペルーなどの南米の国々はチャンスを期待する投資家たちの人気を得つつあった。それらの国の国債は利回りがよく、見逃せないもうけ話だったのだ。そんな時代に、モスキート・コースト国のジョ

    嘘の国を売った史上最悪の詐欺師、270人が死の入植
  • エベレスト登山、渋滞の背後にある大きな問題

    エベレスト登山で最も危険な場所の1つであるクンブ・アイスフォールを通る登山者の列。(PHOTOGRAPH BY MARK FISHER/FISHER CREATIVE, NATIONAL GEOGRAPHIC) 5月27日、米コロラド州のクリストファー・クリシュ氏(62歳)が、エベレスト登頂後の下山中に、標高7900メートルのキャンプ4で亡くなった。クリシュ氏の兄弟によると、死因は高山病ではなく心臓まひだという。 これで、エベレストでの今シーズンの死者は11人になり、ヒマラヤの8000メートル峰における今春の死者数は計21人にのぼった。登山シーズンはあと数日残っているため、この数はさらに増える可能性もある。 ネパールの登山家ニルマル・プルジャ氏が5月22日に撮影したエベレスト渋滞の写真は、瞬く間に拡散した。頂上付近の尾根で何百人もの登山者が渋滞し、ほぼ途切れのない列を作っている写真だ。そし

    エベレスト登山、渋滞の背後にある大きな問題
  • 売春婦になった例も…元修道女のシェルターがバチカンに存在 枢機卿明かす

    ブラジルのジョアン・ブラス・デ・アビス枢機卿(2014年12月16日撮影)。(c)ALBERTO PIZZOLI / AFP 【2月1日 AFP】カトリック教会から「見捨てられた」後、売春に従事するなどして生き延びた元修道女たちが、バチカンにある施設で1年以上にわたり保護されていることが分かった。ブラジルのジョアン・ブラス・デ・アビス(Joao Braz de Aviz)枢機卿が、バチカンの月刊誌「女性と教会と世界(Women, Church, World)」2月号に掲載されたインタビューで明らかにした。 先月23日に公開された新刊見誌で同枢機卿は、バチカン市内の非公開の場所に避難施設が存在することを認めた。 同枢機卿は、教会における女性の役割について幅広く取り上げたインタビューで、この施設の存在が、女子修道院から追い出され、行く当てを失ってしまうといった教会内部での虐待を矯正しようとす

    売春婦になった例も…元修道女のシェルターがバチカンに存在 枢機卿明かす
  • 17世紀イタリアに衝撃を与えた型破りな女流画家、暴力的な画風の背景

    1620年に描かれた新バージョンの「ホロフェルネスの首を斬るユディト」。古いバージョンは、1612年に絵の指導を受けていたタッシから性的暴行を受けた後に描かれた。ユディトの物語は、当時男性画家の間で人気の題材だったが、ジェンティレスキの描くユディトには断固とした決意と力強さがあり、侍女との結束力を感じさせる。暴力と復讐を、17世紀初期の女性という独特の視点から見せてくれる作品だ。(BRIDGEMAN/ACI) 17世紀のイタリアに生きたアルテミジア・ジェンティレスキは、画家として当時の女性としてはあり得ないほどの成功を手にしたが、女性であるがゆえに傷つけられることも多かった。根強い偏見と闘い、積み重ねたつらい経験を、彼女は絵画にぶつけ、数々の偉大な作品を生み出した。 アルテミジアは、1593年にイタリアのローマで誕生した。父親のオラツィオ・ジェンティレスキもまた、画家として高い評価を受けて

    17世紀イタリアに衝撃を与えた型破りな女流画家、暴力的な画風の背景
  • ロバに乗るポロは本当にあった、唐の時代の証拠

    中国、タクラマカン砂漠のロバ。一般にロバはスピードや敏捷性と結び付けられることは少ないが、かつて驢鞠(Lvju)というポロの一種で使われていたようだ。(PHOTOGRAPH BY TOMMY HEINRICH, NAT GEO IMAGE COLLECTION) ポロは「王たちのスポーツ」と呼ばれる。馬に乗った出場者がチームを組み、球を打ってゴールに入れるこの競技は、刺激的な娯楽として何世紀にもわたり王侯貴族たちを楽しませてきた。 しかし、ポロを愛好する資産家たちは、必ずしも馬に乗っていたわけではない。最新の研究により、古代中国の貴族の女性はロバにまたがってポロを楽しんでいたらしいことが分かった。その熱中ぶりは、大切にしていた「愛馬」たちと共に葬られるほどだった。(参考記事:「生きたロバをトラの餌に、動画が炎上、問題点は」) このほど、中国と米国の研究者たちが、考古学の学術誌「Antiqu

    ロバに乗るポロは本当にあった、唐の時代の証拠
  • 年270万人が死亡する動物由来感染症 動物から人へどううつる?

    アフリカ、ウガンダのモルンゴレ山で、コウモリにマラリアやジカ熱といった感染症の兆候がないか調査する研究者。(PHOTOGRAPH BY WILLIAM DANIELS, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 森の中で1匹のダニが、人の背丈ほどもあろうかという高さの草をよじ登る。そして、前脚を目いっぱい伸ばし、誰かが通るのを待っている。こうした草むらにハイカーが入れば、ダニはハイカーの体に必死にしがみつき、最適な場所に移動する。そして、皮膚にかみつき、口器を突き刺すのだ。ダニがライム病の原因となる細菌を保有していれば、病原菌が体に入り込み、ハイカーは「人獣共通感染症」になる。(参考記事:「研究室 致死率30%の新興ウイルスが日に定着している!」) 人獣共通感染症(ズーノーシス)とは動物から人に感染する病気の総称だ。米国立衛生研究所(NIH)によれば、全世界の死因の16%近くが

    年270万人が死亡する動物由来感染症 動物から人へどううつる?
  • 12月に行なわれる頭部移植手術。でも頭と体はどこからくるの?

    12月に行なわれる頭部移植手術。でも頭と体はどこからくるの?2017.11.28 18:306,961 scheme_a 2年前、イタリアの脳外科医であるセルジオ・カナベーロ氏は、2017年12月に世界で初めて人間の頭部移植手術を行なうと発表して物議を醸しました。 人間の頭部を移植するとなると、さまざまな技術的、倫理的な疑問が持ち上がります。中でも最も大きな疑問は、誰もが考えるでしょう。つまり、体と頭を一体どこから持ってくるつもりなのか?ということです。 少なくとも、エモリー大学の神経倫理学者であるKaren Rommelfanger氏は疑問を持っています。 「頭にしろ体にしろ、それらがどこからくるのか、なぜ誰も問わないのでしょう? 私たちは最も基的な情報が無く、同時により大きな問題にも気づいていません」とRommelfanger氏は米Gizmodoに語ります。 カナベーロ氏は頭部移植手

    12月に行なわれる頭部移植手術。でも頭と体はどこからくるの?
  • 「意識を保った脳外科手術」をTwitterで動画ライブ中継:UCLA

    ロサンゼルス発――それは、ロナルド・レーガンUCLA医療センターがこれまでに数百回(正確には499回)実施してきた、単純な脳外科手術だった。しかし、5月23日(米国時間)に行われたこの脳外科手術は、同病院で500回目になる脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)手術を記念して、動画投稿アプリ「Vine」を利用して、世界で初めて動画でライブ中継された。

    「意識を保った脳外科手術」をTwitterで動画ライブ中継:UCLA
  • 「人間の頭部移植」が計画される 医学の進歩か暴走か

    全身の筋肉が萎縮する難病に苦しむ30歳のロシア人男性が世界初となる頭部の移植手術を計画している。手術では彼の頭部を体から切り離し、脳死状態にあるドナーの健康な体に接合する予定だ。

    「人間の頭部移植」が計画される 医学の進歩か暴走か
  • 性行為もできる人工膣の移植に成功【動画】

    同センターの再生医療研究所ディレクターAnthony Atala 氏が率いるチームは、2005年から2008年にかけて、13歳から18歳の4人のMayer-Rokitansky-Küster-Hauser (MRKH) 患者へ、研究所内で作成した人工膣を移植。その後現在まで定期検査を行ない、移植した臓器が正常に機能していることを確認しています。

    性行為もできる人工膣の移植に成功【動画】
  • 米国立公園が20年にわたり謎の上下動、新たな仮説

    米ワイオミング州イエローストーン国立公園のノリス・ガイザー・ベイスン。(PHOTOGRAPH BY MARC MORITSCH, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 米国イエローストーン国立公園は、地質学のワンダーランドだ。64万年前の超巨大噴火でできたカルデラを中心に広がる8991平方キロの公園は、そのあちこちで間欠泉が噴き出している。これらはすべて、地下に溜まっているマグマや高温の流体とかかわりがある。(参考記事:「イエローストーンに潜む巨大マグマ」) このカルデラの北西に位置する東京23区よりも広いエリアが20年以上にわたり、謎の上下動を繰り返している。この「呼吸」の原因について、新たな仮説が学術誌「Journal of Geophysical Research: Solid Earth」に発表された。(参考記事:「イエローストーン 自然保護の実験場」) 謎の「呼吸」

    米国立公園が20年にわたり謎の上下動、新たな仮説
  • 「呪い」は本当? オリンピックの混乱の歴史

    1964年東京五輪の開会式で、聖火リレーの最終ランナーを務めた坂井義則。1964年東京五輪は日で初めて開催された五輪。1940年も東京で開催される予定だったが、第2次世界大戦が現実味を帯びてきたため、中止を余儀なくされた。(PHOTOGRAPH FROM SANKEI ARCHIVE, GETTY) 新型コロナウイルス感染症によるパンデミックを受け、延期が決まった2020年東京オリンピック。 五輪がこれほどの大混乱に陥るのは戦後初めてだが、歴史を振り返ればボイコットや参加禁止、火山の噴火など、多くの混乱や危機に見舞われてきた。 ローマからロンドンへ ローマは1904年、ベルリン、トリノなどを抑えて1908年五輪の開催都市に決まった。ところが、準備開始から2年後にベスビオ山が噴火、麓の街が破壊され、ナポリは都市機能が麻痺した。復興に多額の費用がかかることから、イタリアはローマ五輪の開催を断

    「呪い」は本当? オリンピックの混乱の歴史
  • 第5回 自閉スペクトラム症の早期支援が大切な理由

    自閉スペクトラム症が、その名の通り、定型発達から非定型発達まで連続的な分布を示すことが分かったならば、素朴な疑問が湧いてくる。 ほんの少しスコアが低い(自閉症傾向が小さい)だけとか、診断に必要な要素が一つ足りないとかで、自閉スペクトラム症の診断を受けない子たちは、全く問題なくやっていけるのだろうか。今や分布の連続性が分かり、時間とともに症状の軽重や傾向も変わりうることが分かっているわけで、疑問がつきない。 神尾さんはこの、興味深い領域について語る前に、少し言葉をためた。 「ちょっと余談なんですけど、大人を対象にした普通の精神科医と子どもを相手にする児童精神科医は、ある面ですごい仲が悪かったんです。もちろん個別の誰先生と誰先生がという話ではなくて、関心の方向が違うんです。児童精神科医にとって、自閉症を含む発達障害は大きな問題ですが、一般の精神科はそれほど関心がなかったんですよね。むしろ統合失

    第5回 自閉スペクトラム症の早期支援が大切な理由
  • 第6回 自閉スペクトラム症を「愛着」の問題で済ませてはいけない

    日常的にそこにある自閉スペクトラム症について伺うところから始まって、そのスペクトラムたる所以の頻度分布について教えてもらった。さらに、サブクリニカル、診断閾下という、人口の10パーセントくらいはいそうな集団についても早期の把握と対策が大切だという話にも至った。それぞれを知ること自体が社会的な改善の第一歩につながることで、うまく伝わればよいと願う。 最後の話題として、これまでのすべてのお話の中に通底し、折に触れて何度も繰り返された大きな問題を再度取り上げたい。話は、神尾さんのキャリア初期、京都時代にさかのぼる。 「1990年代ですが、京都の児童福祉センターという行政のクリニックにいたときに、自閉症児が通う施設を巡回して訪ねました。そこで、抱っこ療法なんていうのを当に一生懸命やっているのを見て、『何だこれは』って思ったのを今でも思い出します。そのときに先輩の先生と一緒に、70年代からイギリス

    第6回 自閉スペクトラム症を「愛着」の問題で済ませてはいけない
  • 新型コロナの治療薬や「BCG仮説」で気をつけたいこと

    「これから開発されるような新薬がこのパンデミックに間に合う可能性はあまりないので、既存の薬の中で効くものがあるのか調べるのが大事です。日政府は、インフルエンザの抗ウイルス薬、アビガン推しですよね。でも、プレプリントサーバ(論文が査読を受ける前の段階で公開するサーバ)に載っている論文(※1)を見てみると、最初は効くという話だったのに、アップデートされていて、結局は治癒には影響しないというふうに変わっていました。治癒には影響なくても、熱と咳は1.7日くらい早くおさまる、という結果です。今のところ単一群での報告ですから、きちんとした研究が必要ですね」 単一群というのは、まさに「薬を飲んだ人たち」だけを見ていて、「薬を飲まなかった」対照群を設定していない。前項でみた症例対照研究では、すでに起きたことを振り返る「後向き」の研究ながら、きちんと対照群を設けるものだった。 一方で、こういったアビガンで

    新型コロナの治療薬や「BCG仮説」で気をつけたいこと
  • 公民権闘争の重要な節目に 席を立つのを拒んだローザ・パークス

    逆境に直面した時、人々は歴史を変えるほど大きな決断を下し、劇的な大逆転を遂げてきた。そんな物語47篇を収録したナショナル ジオグラフィックの書籍『逆境だらけの人類史』から、今こそ読みたい5人の決断を紹介する。 2001年、米国のミズーリ州議会は7年間に及ぶ法廷闘争に敗北した。「アダプト・ア・ハイウェイ清掃プログラム」に白人至上主義集団クー・クラックス・クラン(KKK)を参加させまいとする試みは、失敗に終わった。この清掃プログラムは、文字通り「ハイウェイを養子にする」という意味で、道路沿いのごみ拾いをする団体が、そのハイウェイの“里親”として看板に団体名を記すことができる。 州はせめてもの対抗措置として、KKKが受け持つセントルイス郡の州間高速道路55号線の名称を「ローザ・パークス・ハイウェイ」に改名した。結局、KKKは清掃の約束を果たさなかったので、人々はKKKをだしに大笑いする機会を失っ

    公民権闘争の重要な節目に 席を立つのを拒んだローザ・パークス
  • 「英雄」の銅像撤去相次ぐ、コロンブスやガンジーも

    2020年6月19日、ワシントンDCでアルバート・パイクの像を倒そうとする人々。(PHOTOGRAPH BY EVELYN HOCKSTEIN, THE WASHINGTON POST/GETTY) 米国で、かつて英雄とされた人物の銅像の撤去が相次いでいる。 バージニア州は、19世紀の南北戦争で奴隷制度を支持する南部の州として戦った。その州都リッチモンドに、モニュメント・アベニューと呼ばれる大通りがある。ここにはかつての南部軍人の像が立ち並んでいるが、今、それらが次々に倒され、撤去されている。州知事は、南軍司令官だったロバート・E・リー将軍の像の撤去を正式に発表した。

    「英雄」の銅像撤去相次ぐ、コロンブスやガンジーも
  • 相手の鼻の穴に指を入れるサルたち、なぜ? 研究

    コスタリカのノドジロオマキザル(Cebus capucinus)は、互いの鼻の穴に指を突っ込むなどの奇妙な行動をとる。(PHOTOGRAPH BY SUSAN PERRY) コスタリカに生息する、あるノドジロオマキザル(Cebus capucinus)の群れでは、サル同士が互いの体毛を引き抜いたり、他のサルの鼻の穴に指を突っ込んだり、相手の口をこじあけたりする。こうした振る舞いに明らかな目的はなく、中には相手を不快にさせる行動や、危険を伴う行動もある。 群れの中でもとりわけやんちゃな、ナポレオンと名付けられた個体の場合、ほかのサルの毛皮から毛の束を抜き取って、それを自分の口に入れているところを何度も目撃されている。 「相手のサルは自分の体毛を取り返そうと、ナポレオンの口をこじあけるのです」と、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の進化人類学教授であるスーザン・ペリー氏は言う。氏と同僚のマルコ

    相手の鼻の穴に指を入れるサルたち、なぜ? 研究
  • ウナギやサケなど回遊性淡水魚 半世紀で76パーセント減少か

    多くの回遊魚と同様、キングサーモン(マスノスケ)は乱獲、生息域の劣化、海から上流の産卵場所への移動を阻むダムによって、生存が脅かされている。(PHOTOGRAPH BY CRISTINA MITTERMEIER, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 環境保護団体による合同調査で、サケやウナギなどいわゆる回遊性淡水魚について、絶滅の恐れが高まっていることが報告された。 この合同調査は、世界規模で初めて実施されたもので、1970年から2016年の間に、回遊性淡水魚の個体数が76パーセント減少していることが判明した。76パーセントという減少率は、海洋や陸上の移動性野生動物種の減少率を上回るスピードといえる。 「報告書が示唆する劇的な減少スピード以上に、回遊性淡水魚が大きな危機にさらされている可能性があります」と語るのは、報告書の主執筆者である英ロンドン動物学会(ZSL)のステファ

    ウナギやサケなど回遊性淡水魚 半世紀で76パーセント減少か
  • マイクロプラスチックはここまで拡散していた

    1192の島々からなるモルディブ諸島の一部を空からとらえた。この小さな島国の砂浜や沿岸の海域には、世界で最多水準のマイクロプラスチックがある。(PHOTOGRAPH COURTESY EUROPEAN SPACE AGENCY) インド洋のモルディブ諸島には、1192の島がある。1992年、政府は、もうひとつの島を追加した。毎日500トンのごみを処分する埋め立て地として建造された人工島だ。 どこであれ、島の生活には避けられない2つの特性がある。消費財の大半が島の外から運びこまれること、そしてごみの大半が観光客によって生み出されることだ。モルディブでは、この2点が特に際立っている。 開発途上国であるモルディブに、国内の製造業はほとんど存在しない。政府の統計によれば、観光客1人が1日に出すごみの量は、首都マレの市民1人1日当たりのごみ排出量の2倍、他の200の島の住民の5倍に相当する。その結果

    マイクロプラスチックはここまで拡散していた
  • 幻のセコイア州の歴史、米国先住民の権利ふたたび

    1893年9月16日、オクラホマで土地を得るために、馬に乗って一斉に駆け出す入植者たち。米国政府は、この地域を永久的に先住民部族へ与えると約束したが、白人たちはこのように先住民の土地を次々に手に入れ、それが後のオクラホマ州成立につながった。(PHOTOGRAPH BY TULSA CHAMBER OF COMMERCE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 米国中南部に位置するオクラホマ州の名は、「赤い人々」を意味する米国先住民チョクトー族の言葉に由来している。一方、オクラホマ州のニックネーム「スーナー・ステート(“抜け駆け移住者の州”の意)」のスーナーは、先住民の土地に入り込んできた白人開拓者を指している。現在は一つの州であるオクラホマはかつて、白人の土地と先住民の土地に分かれていた。(参考記事:「米国先住民の苦闘と希望」) 2020年7月、米連邦最高裁判所は、オクラホマ

    幻のセコイア州の歴史、米国先住民の権利ふたたび
  • 工場で立ちっぱなしの女性たち

    ここは東京にあった練り歯磨きの工場。白衣のような制服を着て作業台と向き合っているのは、大勢の若い女性たちだ。コンクリート造りの近代的な建物で、女性たちはチューブに練り歯磨きを詰め、ラベルを貼り、製品を箱詰めしていく。1938(昭和13)年1月号の特集「日の働く女性たち」に掲載された一枚。 特集の筆者でこの写真を撮影したメアリー・A・ナースのレポートによると、この工場の従業員は若い女性が350人に対し、男性は70人だという。女性たちは朝7時から夕方5時まで、立ちっぱなしで作業している。座れるのは、40分の昼休みと、1日2回ある10分の休憩時間だけだ。さらに女性たちは週1回、勤務時間外に自分の制服を洗濯しなければならないと、工場の責任者は話していた。 筆者のナースは、製糸工場でもたくさんの若い女性たちが立ちっぱなしで、お湯に漬かった繭(まゆ)から糸を繰り出す作業をしているのを見た。大阪近郊の

    工場で立ちっぱなしの女性たち
  • 食べ物の「3秒ルール」の真相は? 科学がついに答えを見つける

    科学的な実験の結果、このポテトチップスをべるかどうかを判断する基準は、3秒以内に拾うかどうかといった時間の問題ではないことが判明した。(PHOTOGRAPH BY LORI ADAMSKI PEEK) 私たちは子どもの頃から、ある疑問につきまとわれている。落としたべ物は、はたしてべても安全なのだろうか? 答えのひとつに、素早く拾えば大丈夫というものがある。いわゆる「3秒ルール」だ。よく似たルールは世界中にあり、米国では「5秒ルール」と呼ばれている。 それだけに、こうしたルールにさしたる根拠があるとは思えず、世界各地の家族の論争や科学展でもおなじみのテーマになってきた。だが幸いにも、3秒ルールの微妙なニュアンスを科学がようやく解き明かしつつある。 床はおろか、指やまな板からも…… 3秒ルールの真偽を解くカギは、細菌が床からべ物に移動する時間だ。米ラトガーズ大学の品科学者ドナルド・シ

    食べ物の「3秒ルール」の真相は? 科学がついに答えを見つける
  • ロスの住宅街にクジャクが出現 野生化の理由と自然への影響

    お気に入りの屋根の上に止まる野生のクジャク。米カリフォルニア州ロサンゼルス郡マリナ・デル・レイで撮影された。地元住民が付けた愛称は「チボリ」(目撃された通りの名から付いた)。このクジャクがどこから来たのか、いつまでいるのかは不明だが、これまで快適に暮らしているようだ。(PHOTOGRAPH BY GLENNA GORDON) どこから来たのか、何を探しているのか、誰にもわからなかった。だが、虹色の尾羽を広げる玉虫色の青い鳥は、いやでも目につく。ここは米国カリフォルニア州、ウエストロサンゼルスだ。住民から、道を歩く野生のクジャクを見たという報告が寄せられたのは2020年4月のことだった。 (参考記事:「コヨーテはなぜNYのバーの屋根に上ったのか」) 「クジャクはとても壮麗で、当に興奮しました。皆、クジャクを見ようと、外に出てきましたよ」と、写真を撮った現地在住のフォトジャーナリスト、グレナ

    ロスの住宅街にクジャクが出現 野生化の理由と自然への影響
  • ダムがなくなり川に魚が戻ってきた、米国の例

    米国メーン州のミルブルック川を遡上するニシン科の魚、エールワイフ。春になると産卵のためにハイランド湖をめざす。(Photograph by Brian Skerry) 6月初旬、私はシュノーケルを身に付け、米国メーン州の森を流れるミルブルック川の冷たい水中を漂っていた。銀色の美しい魚たちが私の体にぶつかってくる。ポートランドの市街地から10キロと離れていないこの川では、ニシン科の魚エールワイフがハイランド湖へ遡上する18キロの旅の途中だ。 体長25センチほどのエールワイフは、側面に硬いうろこをもつことから「ソーベリー(のこぎり腹)」とも呼ばれる。彼らは海で4年ほど過ごした後、生まれた場所へと戻る。今、川にある滝の下に集まっているこのエールワイフたちは、ハイランド湖までの残り約5キロメートルを上っていくために、次の雨で川の水量が増すのを待っているところだ。

    ダムがなくなり川に魚が戻ってきた、米国の例
  • ライオンを数えるのはなぜ難しいのか?

    ウガンダ、クイーン・エリザベス国立公園の木のまたで休むメスのライオン。ライオンは急激に減少しており、その保護の取り組みには、個体数の正確な推計が不可欠だと研究者らは言う。(PHOTOGRAPH BY ALEXANDER BRACZKOWSKI) ライオンは恐ろしい勢いで減っている。それは確かだ。アフリカでは過去120年間に、かつての生息域の9割以上から姿を消した。この25年だけを見ても、個体数はほぼ半減している。 では現在、アフリカには何頭のライオンが残っているのだろうか? その答えは驚くほどあいまいだ。2万頭というのが最もよく引用される数だが、ライオン研究者の多くは必ずしもこの数字に納得していない。 この推定頭数は「科学というより憶測に基づくところが大きい」と、英オックスフォード大学のライオン研究者ニック・エリオット氏は言う。「アフリカにいるライオンの頭数は、よくわかっていません」 クイ

    ライオンを数えるのはなぜ難しいのか?
  • コロナ禍の”沈黙の春”に鳥の美声が回復、研究

    米カリフォルニア州マリン郡にあるポイントレイズ国定海岸のミヤマシトド。科学者たちは今回の研究のために田舎のマリン郡の鳥の鳴き声も記録したが、パンデミック中の鳴き声に変化は見られなかった。(PHOTOGRAPH BY EMMANUEL RONDEAU, ALAMY) 3月にコヨーテが米国サンフランシスコにある長いゴールデンゲートブリッジを渡ったというニュースを見た時、ノックスビルにあるテネシー大学の行動生態学者リズ・デリーベリー氏は、すぐに自分が研究するミヤマシトド(Zonotrichia leucophrys)のことを思い浮かべた。ミヤマシトドは主に北米に生息するスズメ目ホオジロ科の鳥で、都市の騒音がこの鳥の音声コミュニケーション能力をどのように乱し、低下させているかを10年以上前から氏は調べている。 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によりサンフランシスコに外出禁止令が発令

    コロナ禍の”沈黙の春”に鳥の美声が回復、研究
  • ビーバーのいる森は火災に強い、研究

    米グランド・ティートン国立公園のシュワバッカー・ランディングで泳ぐビーバー。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 米国西部で森林火災が猛威を振るっている。カリフォルニア州では120万ヘクタール以上が焼け、オレゴン州では50万人以上が自宅からの避難を余儀なくされた。そんな中、我々が火災と闘ううえで、心強い仲間がいることがわかった。ビーバーだ。 学術誌「Ecological Applications」に9月2日付けで発表された研究によると、ビーバーがダムや池を作り、水路を掘ることで、動植物にとっての防火シェルターが生まれていることが判明した。場合によってはこれが森林火災の延焼を止めることさえある。 「すぐ隣で火事が起こっていても平気です」。そう話すのは、米カリフォルニア州立大学チャンネル・アイランド校の

    ビーバーのいる森は火災に強い、研究
  • チンパンジー

    早わかり 分類: 哺乳類 IUCNのレッドリストによる 危機の評価: 絶滅危惧種 性: 雑 寿命: 野生下で 45 年 身長: 1~ 1.5 メートル(立った時の高さ) 体重: 32 ~ 60 キログラム 成人男性(180cm)との比較 プロフィール チンパンジーは、中央アフリカと西アフリカに生息する類人猿。ボノボとともに人間に最も近縁な動物であり、遺伝子配列の98%以上が同じとされる。また、人間とチンパンジーは、700万年前~1300万年前に共通の祖先から進化したと考えられている。 チンパンジーは数十頭からなる集団をつくる。集団にはアルファオスと呼ばれるボスが君臨し、そのボスとほかのオスたちが同盟を組んで群れを統率する。毛づくろいは重要な社会的行動で、互いのダニや汚れを取ってやることでチンパンジー同士の絆を深める。(参考記事:「【動画】衝撃、チンパンジーが元ボスを殺し共い」) 通常

    チンパンジー
  • ジュラ紀の恐竜に奇妙なうろこ、敏感な感覚器か

    1億5000万年前に現在のドイツに生息していた小型肉恐竜ジュラヴェナトル。その化石化した尾のうろこにあった小さなコブは、触覚器官だったと考えられている。(ILLUSTRATION BY JAKE BAARDSE) ジュラヴェナトル・スタルキ(Juravenator starki)は、約1億5000万年前のジュラ紀、現在のドイツに当たる地域に生息していた恐竜だ。2020年10月5日付で学術誌「Current Biology」に発表された最新研究によれば、ジュラヴェナトル・スタルキの尾のうろこには感覚器官があり、それをうまく使って夜中に魚を捕っていたという。この感覚器官は、現代のワニ類に見られる「外皮感覚器」とよく似ているという。(参考記事:「ワニのアゴは人間の指先より敏感」) ジュラヴェナトルは小さく、メンドリとほぼ同じ大きさの化石が発見されている。今のところ、化石は1体しか見つかっていな

    ジュラ紀の恐竜に奇妙なうろこ、敏感な感覚器か
  • 【解説】ナゴルノ・カラバフ、なぜ争いが絶えないのか

    2020年の停戦協定後、「ナゴルノ・カラバフ共和国」の首都ステパナケルト(ハンケンディ)に戻るアルメニア系住民たち。カフカス山脈南部のこの地は、何千という犠牲者と多くの避難民を出す地政学的な争いの中心となってきた。(PHOTOGRAPH BY ANASTASIA TAYLOR-LIND, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 2023年9月19日、カフカス山脈南部のナゴルノ・カラバフでアゼルバイジャンが大規模な軍事作戦を開始し、何世紀にもわたってくすぶり続けてきた衝突の火をあおり立てた。作戦は成功を収め、現在は何万人というアルメニア系住民が続々と逃げ始めている。これはアゼルバイジャンにとって、ソビエト連邦の興亡とともに形づくられた飛び地における最新の、そしておそらく最後の勝利だろう。 この面積約4400平方キロメートルの領域は、公式にはアゼルバイジャンの一部とされ、ロシア語で

    【解説】ナゴルノ・カラバフ、なぜ争いが絶えないのか
  • パンデミックを防ぐため、世界的な自然保護政策を、報告書

    2019年、ブラジル中西部マトグロッソ州の放牧場に森林火災の煙が漂う。アマゾンで見られるような森林消失は、新型コロナウイルスと同様の新興感染症の新たな大流行を引き起こすだろうと国際的な科学者グループは警告する。(PHOTOGRAPH BY VICTOR MORIYAMA, THE NEW YORK TIMES/REDUX) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような大規模なパンデミック(世界的大流行)のリスクを大幅に減らすため、自然や野生生物の保護に数百億ドルを投資するように、世界は政策を大転換するべきだ。10月29日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の生物多様性版とも呼ばれるグループが、そのような警鐘を鳴らす報告書を発表した。 報告書は、学術界、政府、非営利団体の科学者による「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」が7月下旬

    パンデミックを防ぐため、世界的な自然保護政策を、報告書
  • 宇宙から持ち帰った未知のサンプルから地球を守るには

    NASAの有人宇宙船センター(現ジョンソン宇宙センター)内にあった月試料研究所で、アポロ14号の宇宙飛行士2人が持ち帰った岩石を顕微鏡で観察するダニエル・H・アンダーソン博士。月面のフラ・マウロと呼ばれるエリアで採取された。(PHOTOGRAPH BY NASA) 2020年12月6日、オーストラリアの砂漠で、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰ったカプセルが回収された。中には小惑星「リュウグウ」の岩石や塵が入っている。炭素が豊富なリュウグウには、生命の原材料があるのではと考えられている。 試料が汚染されないよう、カプセルは8日に早速、宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパス内にある地球外試料キュレーションセンターへ運ばれた。そこは、宇宙から持ち帰った物質が地球の有機物で汚染されないように守るための研究施設だ。 これまでの宇宙探査では主に、地球由来の物質が太陽系を汚染しないことに重点

    宇宙から持ち帰った未知のサンプルから地球を守るには
  • アカキノボリカンガルー

    アカキノボリカンガルー (Photographed at Lincoln Children's Zoo in Nebraska Photograph by Joel Sartore, National Geographic Photo Ark) 早わかり 分類: 哺乳類 IUCNのレッドリストによる 危機の評価: 絶滅危惧種 性: 草 寿命: 野生:不明、飼育:最大20年 体長: 90~180センチメートル 体重: 7~10キログラム アカキノボリカンガルーは、樹上からジャンプして18メートル先の地面に安全に着地することができる。 成人男性(180cm)との比較 プロフィール キノボリカンガルーの仲間は10種以上が確認されていて、オーストラリアやニューギニア島の熱帯雨林に生息している。 アカキノボリカンガルー(学名: Dendrolagus matschiei)はパプアニューギニア北東

    アカキノボリカンガルー
  • カリブ最初の民はほぼ絶滅していた、南米から侵入者

    カリブの交易商人たちがバハマ諸島に近づく。スペイン人が到来する以前、こうした古代の交流システムが島々を結んでいた。(PAINTING BY MERALD CLARK, STONE INTERCHANGES IN THE BAHAMA ARCHIPELAGO) 700以上の島々が点在するカリブ海。人類は、いつからどのようにしてこの島々に住むようになったのか。考古学者たちは長年にわたり、大胆な航海者たちの起源と移動ルートを解明しようと苦心してきた。そして今、古代人のDNAから、島々の秘められた歴史が明らかになりつつある。 驚くべき発見のひとつは、スペイン人の侵略が始まる1492年より1000年以上前に、南米からの新参者たちがカリブ諸島の先住民をほぼ絶滅させていたかもしれないということだ。さらに、スペイン人が到来した時代の島民も数は、これまでの推定よりかなり少なかった可能性も浮かび上がった。 数

    カリブ最初の民はほぼ絶滅していた、南米から侵入者
  • 「日本から一番近い楽園」グアムが崩壊寸前 新型コロナ禍:時事ドットコム

    陣内真佐子(文筆家/グアム在住) グアム政府のロックダウン政策で、無人になったグアム島の繁華街・タモン地区=2020年4月10日【AFP時事】 「土」から数千キロ離れた「米国の植民地」グアムの悲劇 成田や関西などの日の主要空港から約3時間半しかかからず、1年中気候も温暖なことから「安近短」の旅行先として人気を誇ってきたグアム。「日から一番近い楽園」ともいえるこの地を訪れたことがある人も多いだろう。そのグアムが今、崩壊の危機にさらされている。 世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症。米国の準州であるグアムでは、2020年3月14日に知事が公衆衛生緊急事態を発令、その後、島内で感染者が確認されたことを受け、同20日にはショッピングモールや娯楽施設、レストラン等の人が集まる施設を閉鎖するとともに、学校も休校とし、住民にも在宅を原則とする「ステイホーム令」が発せられるなど事実上のロ

    「日本から一番近い楽園」グアムが崩壊寸前 新型コロナ禍:時事ドットコム
  • 新羅の都だった「壁のない美術館」 韓国の慶州市

    「壁のない美術館」というニックネームをもつ韓国南東部の慶州(キョンジュ)市。かつて新羅の都がおかれていたこの街には、素晴らしい遺跡が数多く残っている。

    新羅の都だった「壁のない美術館」 韓国の慶州市
  • 新型コロナウイルスはこうして広がっている、遺伝子技術で判明

    新型コロナウイルスの透過型電子顕微鏡画像。米国初の感染者から単離されたもの。球状のウイルス粒子(青く染色されている部分)の中に見える黒い点はウイルスのRNAの断面。(IMAGE BY CDC / HANNAH A BULLOCK; AZAIBI TAMIN) 無償で公開されているオープンソースプロジェクト「ネクストストレイン」(Nextstrain.org)は、アウトブレイク(集団感染)を起こした病原体の博物館のようなものだ。世界各地の研究機関が、患者から採取したウイルスの遺伝子配列データをここに投稿する。ネクストストレインはそのデータを使って、感染の広がり方を示した世界地図や、ウイルスの系統樹を描き出している。(参考記事:「オープンソースな養鶏は可能か―――遺伝子を企業支配から解放する」) ネクストストレインが取りこんだ新型コロナウイルスのゲノムは、3月末の時点で2000を超えた。データ

    新型コロナウイルスはこうして広がっている、遺伝子技術で判明
  • 新型コロナで奇妙な夢や悪夢を見る人が増加、理由と対処法は

    脳の謎 誰も知らない隠された能力 謎の多い人間の脳について、最近の科学的進歩を解説した書。人間の脳に関する「100の謎」を、学習、知能、意識、情動、加齢の5つのテーマに分類して、豊富な写真・イラストとわかりやすい文章で説明しています。 定価:1,540円(税込) amazon 楽天ブックス

    新型コロナで奇妙な夢や悪夢を見る人が増加、理由と対処法は
  • 新型コロナが困窮に追い打ち、南米の家事労働者

    路地で洗濯物を干す失業中の家事労働者アイルデ・デ・オリベイラ・ドウラード氏。コロナウイルスのパンデミックにより、清掃員としての仕事を失った。(PHOTOGRAPH BY GUI CHRIST, NATIONAL GEOGRAPHIC) マリア・ライムンダ・リベイロ・デ・アルメイダ氏は1カ月ほど前から、毎週月曜日の朝、自宅があるサンパウロ市内のファベーラ(スラム街)、パライゾポリス近くのマクドナルドの前で、迎えの車を待つようになった。 外出禁止令が出される3月24日以前は、家政婦として働いている高級マンションまで毎日バスで通っていた。しかし今では、彼女が新型コロナウイルスに接触する機会を減らしたいと雇い主がウーバータクシーを手配しているため、それを使っている。ブラジル全土で確認されている新型コロナウイルスの感染者は約6万6000人、死者は4500人を超えている。仕事場に着くと、アルメイダ氏は

    新型コロナが困窮に追い打ち、南米の家事労働者
  • コロナ被害者を支える葬儀人~家族がサヨナラを言えるように

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まって最初に撮影した葬儀は、マリー・テレーズ・ワスマーという女性のものだった。ワスマーは90歳近い年齢で、フランス東部、ミュルーズ郊外の墓地に埋葬された。ミュルーズは、フランス全土に拡大したCOVID-19の初期の発生源だ。 ワスマーはウイルス検査を受けていないが、感染者のように埋葬された。ロックダウンなどの影響で、友人や家族は誰一人として葬儀に参列しなかった。ひつぎに納められ、密封されたワスマーを、神父と4人の葬儀人が埋葬したときのこと。葬儀人たちはいつもと異なる役割を引き受けた。まるで家族のように、ひつぎに向かって祈りをささげたのだ。 ビュー・タン村で行われたマリー・テレーズ・ワスマーの葬儀。家族の姿はなく、葬儀人がひつぎに向かって祈りをささげた。ワスマーは自宅で遺体となって発見された。新型コロナウイルスの検査は行われていない。(P

    コロナ被害者を支える葬儀人~家族がサヨナラを言えるように
  • 新型コロナ、年齢や持病など「重症化リスク」の真相

    前回、致命割合について注意しなければならないことについて確認したので、今回はもう一歩進んで病原性の年齢差について。 若者は重症化しにくいとか、高齢者は重症化しやすいというのは、どの程度当なのだろうか。これについては、中国での年齢別の致命割合(CFR)が報告されている。CFRについては前回大切な議論をしたので、今回からの読者はぜひ参照のこと。 「2月11日までのデータが、中国CDC(疾病対策センター)の週報(※1)に出て、COVID-19の年齢別の致命割合(CFR)が明らかになりました。たしかに年齢とともにリスクが上がっていきます。80歳以上で確定診断がついた患者の15パーセント近くが亡くなります。一方、10代から30代までが0.2パーセント、40代が0.4パーセントでした。たしかに高齢者よりも低いですが、これも決して低いわけじゃないんです。誰でもかかるような病気で、10代、20代の若者が

    新型コロナ、年齢や持病など「重症化リスク」の真相
  • インフルエンザと新型コロナに同時に感染したらどうなる?

    個人用保護具を着用して、ノエル・ジャンゼン氏にインフルエンザの予防接種を行うナース・プラクティショナー(医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる看護師)のエンバル・サバグ氏。2020年9月3日、米フロリダ州キービスケーンにある簡易診療所「CVS pharmacy and MinuteClinic」で撮影。公衆衛生の専門家は、今年はインフルエンザの予防接種が重要だと言う。COVID-19とインフルエンザを併発したときの危険性が、まだわからないからだ。 (PHOTOGRAPH BY JOE RAEDLE, GETTY IMAGES) かかりつけ医から予防接種を勧める案内が届き、近所の薬局には「インフルエンザの予防接種、受けられます」というチラシが貼られる――米国の秋の風物詩だ。 ただ、今年はいつもの秋とは違う。季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-

    インフルエンザと新型コロナに同時に感染したらどうなる?
  • 新型コロナが再感染するのは確実、今わかっていることは

    2020年11月24日、英国オールダム地区科学センターのガラス窓に貼られたウイルスのポスターと、その前を通り過ぎるマスク姿の男性。(PHOTOGRAPH BY CHRISTOPHER FURLONG, GETTY IMAGES) 新型コロナウイルスには2度感染する。最近では、それが専門家の共通認識だ。今のところ、再感染の報告は世界で数百例とそれほど多くはないが、パンデミック(世界的大流行)が続けばその数字は増えるだろう。 既に感染して「免疫パスポート」を手にしたと思っていた人々にとっては、ありがたくない話に違いない。パンデミックが続く限り、自分には免疫があるのでマスクもソーシャルディスタンスも必要ないというわけにはいかなさそうだ。10月には、再感染による初の死者が報告された。オランダに住む89歳の女性だった。 他のコロナウイルスと同様に、新型コロナでも時間とともに免疫が失われる可能性がある

    新型コロナが再感染するのは確実、今わかっていることは
  • 米国の死者数が25万人に、追悼のため25万本の旗

    『In America, How could this happen...(アメリカで、なぜこんなことが…)』の展示。米ワシントンD.C.、ロバート・F・ケネディー・メモリアル・スタジアムの周囲約1.4ヘクタールの広場に24万8000以上の白い旗が立てられている。(PHOTOGRAPH BY GUGLIELMO MATTIOLI, NATIONAL GEOGRAPHIC) 米国ワシントンD.C.の芝生の広場に、24万8000以上の白い旗が風にはためいている。その11が表しているのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により命を落とした人々だ。 米国ではCOVID-19による死者数がついに25万人を超えた。診断漏れや関連死などもあるため、実際の数はもっと多い可能性がある。死者数の把握がますます困難になる中、死亡した人々が単なる統計上の数字ではなく人間であることを実感し、彼ら

    米国の死者数が25万人に、追悼のため25万本の旗
  • 米コロナ死者が10万人突破、本当はもっと多い?

    NNG STAFF, SOURCE: DEPARTMENT OF VETERANS AFFAIRS; JOHNS HOPKINS UNIVERSITY 米疾病対策センター(CDC)の死亡統計局のチーフであるロバート・アンダーソン氏は毎朝、米国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死者数を最新のものに更新するという気の滅入る作業を監督している。この国の死者数は現在、世界最多だ。 「亡くなった方たちのために、重要な務めを果たしているのだと感じています。死者の数をしっかりと数え、彼らの経験が、他の人たちを助ける計画や政策に反映されるようにしているのです」と、アンダーソン氏は語る。 2020年5月27日(日時間28日)、米国の死者数がついに10万人を超えた。こうした数字は、科学者や政府関係者がパンデミックの深刻さを知り、検査や、物理的距離確保の要請といった予防措置を的確に講じるため

    米コロナ死者が10万人突破、本当はもっと多い?
  • コロナワクチン接種が義務化されるとこうなる

    ワクチン接種の準備をする看護師。8月16日撮影。(PHOTOGRAPH BY DAVID CHESKIN, PRESS ASSOCIATION VIA AP) 大事な試合を観戦するため、あなたはチケットを握り締めて競技場に向かっている。しかし、競技場の周囲には長い列。原因は競技場の入り口だ。みんなが財布やポケットから小さな紙切れを取り出していて、入り口を通過するには、それを係員に提示しなければならない。コロナワクチン接種の証明書だ。 いま、一部の専門家はこのような未来を予想している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種したと証明しなければ、スポーツを観戦することも、店でマニキュアを買うことも、仕事に行くことも、列車に乗ることもできない未来だ。 「ワクチン警察があなたの自宅のドアをたたき壊し、無理やり注射を打つようなことはないでしょう」と、ニューヨーク大学医学部の生命

    コロナワクチン接種が義務化されるとこうなる
  • わかり始めた「命を救える」新型コロナの治療法

    エジプト、カイロのEVAファーマ社の研究施設で抗ウイルス薬レムデシビルを扱う検査技師 。2020年6月25日。(PHOTOGRAPH BY AMR ABDALLAH, REUTERS) 米オハイオ州にあるクリーブランド・クリニックの内科医アダーシュ・ビムラージ氏は、米国感染症学会の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療ガイドラインを作成する16人の一人だ。 病院で患者を診察し、自らも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染しながらも、ビムラージ氏は続々と流れ込むCOVID-19治療法の新たな情報を評価してきた。現在、世界では1000件以上にのぼるCOVID-19治療法の無作為化臨床試験が進められている。ビムラージ氏らガイドライン策定チームの人々は、この大量の情報の中から、最も有望な結果を見極めなければならない。(参考記事:「新型コロナの治療薬や「BCG仮説」で気をつけたい

    わかり始めた「命を救える」新型コロナの治療法
  • 新型コロナ、米NYの高い致命率が判明、従来のほぼ倍

    2020年6月30日、米国テキサス州ヒューストンにあるユナイテッドメモリアル医療センターで、防護服姿の医療スタッフが、新型コロナウイルス感染症で死亡した患者を担架に乗せ、外で待機する車に向かう。テキサス州のロックダウンが解除されて以来、新型コロナウイルス感染症の患者数と入院者数が急増して集中治療室の病床は埋まっており、死亡者も急増するのではないかという懸念が高まっている。(PHOTOGRAPH BY GO NAKAMURA, GETTY IMAGES) 米テキサス大学オースティン校のデータ科学者ジェームズ・スコット氏が不安を感じ始めたのは、5月下旬のことだった。テキサス州が企業活動や公的な集会に対する規制を緩和してから1カ月ほど経った頃だ。 スコット氏は、携帯電話の移動データを利用して人々の移動パターンの変化をつかみ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者数を予測するモデ

    新型コロナ、米NYの高い致命率が判明、従来のほぼ倍
  • マスクの洗い方は? 手袋の効果は? 新型コロナ感染予防

    マスクや手袋を着用して外出した後、それらはどのように洗えばよいのか。また捨て時は? さらに、衣類に付着するウイルスをあまり心配する必要がないのはなぜだろう。(PHOTOGRAPH BY BOBBY DOHERTY, NATIONAL GEOGRAPHIC) かつての米国では、公共の場でマスクをするのは、ハロウィンかこれから銀行強盗をするときぐらいだった。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、わずか数カ月の間にマスクは日常のアイテムとなった。 世界保健機関(WHO)は、体調不良や病気の人の世話をする場合、病院で利用されているような医療用マスクの着用を推奨している。米疾病対策センター(CDC)の指針はさらに念入りで、人が密集した場所へ出かける場合には、布で顔を覆うよう推奨している。中にはこうした公的ガイドラインの上を行き、再利用可能な、あるいは使い捨ての手袋を身につける

    マスクの洗い方は? 手袋の効果は? 新型コロナ感染予防
  • コロナウイルス発見の物語、却下された彼女の論文

    1963年、カナダ、トロントにあるオンタリオがん研究所で、電子顕微鏡を操作する科学者のジューン・アルメイダ氏。1年後、氏は自らが開発した顕微鏡技術を用いてコロナウイルスを発見した。(PHOTOGRAPH BY NORMAN JAMES, TORONTO STAR/GETTY) 1964年、電子顕微鏡を覗き込んだジューン・アルメイダ氏が目にしたのは、周囲を小さな突起に覆われた灰色の丸い粒子だった。アルメイダ氏と同僚らは、ウイルスの周囲を突起がぐるりと取り囲んでいる様子が、太陽の周りに現れる光の輪、光冠(コロナ)に似ていると記している。 やがてこのウイルスは「コロナウイルス」として知られるようになる。驚くべきことに、このウイルスの同定に大きな役割を果たしたアルメイダ氏は、当時34歳だったが、正式な学校教育を終えていなかった。 英国スコットランド、グラスゴーのハート家に生まれたアルメイダ氏は、バ

    コロナウイルス発見の物語、却下された彼女の論文