「ヘッセが東洋思想の話を書いているのか」と興味を持ち、読んでみた。 シッダールタ(新潮文庫) 作者:ヘルマン・ヘッセ 新潮社 Amazon シッダールタは若い時に、「悟りを開いた高僧」ゴーダマに出会い、その偉大さをひと目で見抜いて心を打たれる。 しかし、その場でゴーダマに弟子入りした親友のゴーヴィンダとは違い、シッダールタはゴーダマに弟子入りせず、遍歴の旅に出る。 修行をするのかと思いきや、シッダールタは都へ行き、そこで裕福な商人の客人になり、高級娼婦の愛人になる。 最初は享楽的な生活を送りながらもそれを軽蔑していたシッダールタだが、長年同じ生活を送るうちにすっかり贅沢に馴染んでしまう。 初老に差し掛かったころ、ようやくこれは自分の本来の生活ではないと思い、再び旅に出る。 若いころはゴーダマの偉大さを即座に見抜くような直観に優れていたシッダールタが、あっさり贅沢な生活に馴染んで初老までその