かつてインタビューした、あるアーティストは「なぜ昔の曲を歌い続けるのか」という問いに、身を乗り出し、顔を近づけてこう言った。 「歌はな、死なねえんだよ」 U2の新作『Songs Of Surrender』を聞いて、そんなことを思いだした。結成以来47年目を迎えた彼らの歴史を彩った40曲を新たなアレンジで──彼らによれば「Re-Imagine」して──再レコーディングしたアルバム。大ヒットした曲、ライヴで必ず演奏される定番曲、隠れた名曲…そのすべてが驚くほどの深みと新たな表情と手触りをもって蘇っている。常に時代の動向を読みながらその本質と向き合って自らのサウンドを更新し続け、そのつどふさわしいメッセージを発し続けてきた彼らの歌は、しかし30年たとうが40年たとうが古びることはない。その本質が錆び付くことはない。新たな装いに身を包んでも、その核となるものは決して死なない。それを痛感する素晴らし