午後7時ごろ、銀座8丁目のモスバーガーの窓際の席は、 これでもかと言うくらい、天に向かって結い上げた 夜会巻きのお姉さんたちで埋め尽くされる。 まるで、止まり木に並んだ色とりどりのインコみたいだ。 斜め向いの席の、ひっきりなしに届くメールに 一心不乱に返信しているお姉さんは、 二年前、私がヘルプに付いて、水割りを作っていた女性だ。 今も、同じ店ではたらいているのだろうか。 夕陽が落ちたあとの、銀座8丁目界隈に流れる、 「さぁ、今日も稼ぐぞ」という意気込み渦巻くあの雰囲気が、 私は嫌いではない。 むしろ、身をおいていたい。心地良い。楽しくなる。 2年前、必死に金を稼いだあの期間は、修行だった。 最初は留学費用を貯めるため、勉強の時間が削らずにできる、 一番効率のいいアルバイトだった。 銀座で一番高級な店を選んだのは、 日本を動かすトップの人々と話してみたかったからだ。