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『本棚の中のニッポン: 海外の日本図書館と日本研究』(著: 江上敏哲)は、2012年5月に笠間書院から発売された本です。私自身がアメリカにある大学の大学図書館の日本語コレクションをあつかう部門でアルバイトしていること、それから、大学院でいわゆる「日本研究」の範疇に含まれる研究をしていることから、とても興味ぶかい内容の本でした。このブログにふだんポストしていることとは若干、方向性がちがうような気もしますが、まるっきりはずれているわけでもないので、この本を読んで感じたこと、考えたことをちょっと書いてみようとおもいます。 ところで、感想を書くまえに、すこしおことわりをしておくと…… タイトルでは(キャッチーにするために 笑)「中の人」としていますが、私の大学図書館での立場は上にも書いたように「大学院生アルバイト(Graduate hourly)」で、非常にかぎられた業務にしか携わっていません。ウ
こんにちは。「H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語」の時間です。 今日は、ナイアルラトホテプの二つ名とされている、"The crawling chaos" をとりあげます。 まずは、構成要素それぞれの意味をみてみましょう。 crawling (crawl) 1. 這う、這いずる 2. ゆっくりと迫り寄る 3. クロールで泳ぐ chaos 完全な無秩序と混乱。混沌。 以上のことから……。 つまり、「クロールするんがむっちゃ下手な奴」っちゅう意味や。水泳の授業やなんかで、たまにおるやんか。2コースからスタートしていったのに、折り返しのときには3コースに入ってて、戻ってきたらなぜか1コース泳いでるような奴。まさに、「クロールで泳ぐ混沌」。言い得て妙とはこのことや。 . . . 「ウソを教えないでください!」 「ウソちゃうがな。あいつは本当に泳ぐの下手やねんて」 「……」 . . . え
ロードアイランド州プロヴィデンス、エンジェル通り598番地から送られるはずだったかもしれない手紙。 こんにちは。ロードアイランド州プロヴィデンス在住のH.P.ラブクラフトです。私は18歳から23歳までのあいだ引きこもりに近い生活を送り*1、21歳の誕生日を迎えた日にはひとりぼっちで一日じゅう路面電車に乗っていたほど*2ですが、恋愛に関しては偉大なるアマチュア。僭越ながら、貴女の恋愛に関するご質問にお答えし、4つの心得をお教えしたいと思います。 1. あえて2〜3世代前の修辞法で書いた文章をコンベンションに持っていく あえて2〜3世代前の修辞法を使うようにしましょう。そしてコンベンションの場で好みの男がいたら話しかけ、わざとらしく原稿を出していじってみましょう。そして「あ〜ん! この文章本当にマジでチョームカつくんですけどぉぉお〜!」と言って、男に「どうしたの?」と言わせましょう。言わせたら
だいぶまえにTwitterでつぶやいた、「高校図書委員会の副委員長がH.P.ラブクラフトの『文学における超自然の恐怖』を読んだら」(あるいは「文芸部における超天然娘の恐怖 (スーパーナチュラル・ホラー)」) のネタを書いてみました。 原典のほうは、まだ Introduction と最終チャプターである "The Modern Masters" しかきちんと読んでいなくて、あとの部分は斜め読みしただけなのですけれども、適切でない解釈/翻訳や引用はしていないとおもいます。(おそらく) (たぶん……) なにかお気づきの点があったらご指摘いただければ幸いです。 とりあえず書いたのは1シーンだけですが、このあとの展開も、いちおう構想は考えてあります。どこかに需要はないでしょうか。ご連絡お待ちしております。(何の?) 追記: 電子書籍発行プラットフォーム『パブー』版も作成してみました。字送り、段落送り
昨日の『今日の早川さん』の更新 (「存在の耐えられない軽さ」) を読んでいたら、こんな未来がおもい浮かびました。(絵にしたら1コマで表現できるネタのような気もするのですが、描けなかったので中途半端な文章ネタです。) (全文は「続きを読む」をクリックで展開します。) ーーーーー インターホンのボタンを押すと、すぐに中からドアが開いて、姉が顔を出した。 大学生のころはショートカットにしていた髪を、いまはまた伸ばそうとしているらしい。といっても、高校時代のような二本お下げにするつもりは、もうなさそうだけれど。 その髪型と、社会人になってからかけるようになったという濃い赤色のセルフレームの眼鏡のせいか、見慣れたはずの姉の顔が一瞬別人のもののようにおもえて、僕はどきりとした。職場から帰宅して間もないということで、以前はあまりしていなかった目のまわりや頬のあたりの化粧をまとったままだったから、というの
プレイヤー発言なので収納しました。 絵は、1週間ほどまえにTwitterの自分のタイムラインでこんな感じの流れになっていたので描いてみたもの。流れには盛大に乗り遅れ、さらに、「どの面下げてそんなことを言うか」(意訳) というお叱りをうけましたが (フレンドリーなツッコミとして、です。……たぶん……)、乗り遅れついでに、ラブクラフト作品についてそのときおもいついたことなどを短くメモしておきます。 このブログの冒頭にも書いてあるように、ここのネタ本として主に使っているのは、Penguin Classicsのラブクラフト選集 ("The Call of Cthulhu and Other Weird Stories" と "The Thing on the Doorstep and Other Weird Stories") です。わたしはこの2冊で、はじめてラブクラフトに触れました。これらは、
『ネクロノミコン』の有名な2行連句、邪神クトゥルーの実在と生存を示唆しているといわれる一節の英語訳には、いくつかのバリエーションがあるようです。(参照) それらの間に見受けられる微妙な差異に、わたしはここしばらく頭を悩ませていました。 そして、比較的信頼のおける複数の翻訳のうち、どれが「正しい」ものかを確かめるため、在籍中の大学の図書館に収蔵されている『ネクロノミコン』を参照したいと願っていたのです。 もちろん、『ネクロノミコン』は、はじめから英語で著された本ではありません。 アラブ人アブドゥル・アルハズレッド (アルハザード) によってアラビア語で書かれた『アル・アジフ』を原典とし、ギリシャ語訳、ラテン語訳を経て英語に翻訳されたものです。(文明史的に考察すると中国語訳も存在するとおもわれますが、その版はおそらく現在アクセス可能な英語訳版の系譜にはつながっていない。) それだけ翻訳が繰り返
昨日につづいて時節ネタ。節分の話です。(全文は「続きを読む」からどうぞ。) ーーーーー 部長、ニシちゃん。本名、西春穂(にしはるほ)。2年生。体はちいさいけれど頭脳明晰、成績優秀、頼れるみんなのまとめ役。二本お下げの眼鏡っ娘。 部員そのいち。摩周花葉(ましゅうはなは)。2年生。あだ名はハナ。ベリーショートにした髪と、引き締まった体、見た目どおりの運動万能少女。 部員そのに。杏莉。フルネームは植小草杏莉(うえこぐさあんり)。2年生。いつでものんびり、ほんわか、ふんわりで、眉の上でまっすぐに切り揃えた前髪と、背中に流れる長い後ろ髪がトレードマーク。 部員そのさん。麗(うるわ)。上の名前は洞糸井(ほらいとい)。唯一の1年生部員。肩のあたりまで伸ばした軽く縮れた髪の毛は亜麻色で、異国風ともいえる顔だちと、すらりとした手足がバランスよくマッチしている。 それから、部員そのよん、わたし。比久間(ひくま
この流れで、翻訳ネタをもうひとつアップしておこうとおもいます。だいぶ前に冒頭部だけを訳してみた「てるてる☆はあと」(エドガー・アラン・ポオの『告げ口心臓』[原題: The Tell-Tale Heart] のヤンデレ? 風翻案) を、すこしだけ方向性を変えて、全文訳してみたもの。翻訳そのものは終わっていたのですが、個人的な判断で、ちょっとの間、公開を自粛しておりました。 方向性については、いくつかおもいついたのですが、とりあえず、物語の主人公 (語り手) をヤンデレ(?)メイドさん*1 もういっぽうの登場人物である "the old man" をそのご主人さまと解釈して、文体だけその設定に合わせ、内容はほぼ原文に忠実に翻訳、ということにしました。 ちなみに、主人公 ( "I" ) の性別は原文の文中に特に明記されておらず (一般的には男性と解釈されているようです)、"the old man
去年の7月にTwitter「実況」で使った『ダゴン』のテキスト、データが複数のPCに入っていたり、アドリブで変更した箇所が保存データに反映されていなかったり、完全に自分の管理能力のなさのせいですが、とっちらかった状態になってしまっていたのを、いまさらながらまとめてみました。全文は「続きを読む」から。批判、非難などご自由にどうぞ。 This work is licensed under a Creative Commons Attribution-Noncommercial 2.1 Japan License. 『ダゴン』 H.P.ラブクラフト 作/高家あさひ 訳 いま、精神的に非常に追い詰められた状態で、これを書いている。 今日、夜が更けるころには、もう生きていないだろう。 有り金は尽きたし、それだけがよりどころだったクスリも、手持ちがなくなった。 これ以上、苦しみに耐えていくことはできな
こんにちは。「H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語」の時間です。 今回は、とっさのひとことを勉強しましょう。 これは、「窓に! 窓に!」の日本語訳でも有名なフレーズですね。 例文をみてみましょう。 The end is near. I hear a noise at the door, as of some immense slippery body lumbering against it. It shall not find me. God, that hand! The window! The window! (私の命ももう長くはない。ドアのところで物音がしている。ぬめぬめとした体をもつ何者かが迫ってきているような物音だ。しかし、私のところまで、たどりつくことはできないだろう。ああ、なんだ、あの手は! 窓に! 窓に!) *1 例文のように、謎の死や失踪を遂げる寸前に、日記や
(こちらにあったものと内容的にはおなじです。ちょっとうもれてきたので、記事を移動しました。まとめはこっちに追加していきます。) 予備校から一人暮らしのアパートの部屋に帰った僕は、いつものようにカバンを床に放り投げ、ジーンズを脱いで部屋着のジャージに着替えようとし……たところで、窓を開けたままで外出していたことに気がついた。今朝、遅刻ギリギリで部屋を出ていったときに閉め忘れてしまったようだ。窓には網戸がはまっているから、完全に外に直結、というわけではないけれど、不用心なことに変わりはない。それに、その網戸にも、けっこう大きな穴がいくつか開いていて、油断していると蚊どころか、クモやコオロギの侵入までも許すことになる。外はもう日が暮れて涼しくなっていたので、僕は窓を閉じようとアルミのサッシに手をかけた。 そのときだ。背後で、ぶぶぶぶぶん、と、薄い皮膜状のものが超高速で震える際に特有の音がした。網
今朝Twitterで実況したものをまとめました。誤字、脱字、訳語の修正などを一部おこないましたが、あとはそのままです。 開始前 告知したとおり、これから「第11次ミスカトニック大学南極遠征隊報告会」を実況します。 いちおう開始時間なのだけど、まだ入ってくる人がいたりしてざわざわしている。壇上も、まだ最後の準備中という感じです。 会場は、ロバート・カーター記念棟1階の大講義室。150人くらい入れる部屋です。7、8割がた埋まっているといったところ。 前のステージには、演壇の横に長机があって、そこに5人座っている。 プロジェクターと大きいスクリーンが用意されてます。 イントロダクション 「おはようございます。私は当大学地学部のスティーブン・ローバックです。この報告会の司会をつとめさせていただきます。」演壇ではなく、舞台脇のマイクから。 「私は遠征隊には直接参加せず、こちらに残ってバックアップ業務
告知をひとつ。 7月20日(月・海の日)に、Twitterを使った、ちょっとした試みをしてみたいとおもっています。 内容は、「フィクション作品を、作品内時間に(だいたい)したがって、リアルタイムにTwitterに投稿していく」というようなものにしたいと考えてます。 以前のエントリで、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」(日記形式で書かれている)を、リアルタイムで(物語時間にしたがって)読めるように更新しているブログを紹介しました。そのときに、Twitterでも似たようなことができないだろうか、と考え、そのときのエントリでも、ちょっこっとそのことを書きました。で、そのために使えそうなテキストの準備がだいたいできたので、実際にやってみようとおもった次第です。 英語圏では、Twitter上で「演劇」をやったり、スタンドアップ・コメディをやったり、という試み(どちらも非常に最近ではありますが)をして
「ミドリちゃん、大変なんだよー、起きて、起きて」 「葉初(はうい)、なんで、私の部屋の中にいるの!?」 「あー、それは。ドア、ノックしたけど起きそうになかったから。だいたいいつも、開けっぱなしでしょ」 「二階のベランダまで、よく登ったね……」 「恋の軽い翼で飛び越えました!」 *** 「『しんきゅうしはいしゃオーディション』?」 「は、はい。そうなんです……」 *** 「ナンバーワンになろうとする必要は、ないんじゃない? だって、もともと特別な、旧支配者(グレート・オールド・ワン)!」 「ちがうんです……。私たちは、オンリーワンでも、なんでもないんです。母は、私とおなじようなきょうだいたちを、私のほかに九百九十九体、生みました。私たちは、なにも特別じゃないんです。なにも、できないんです……」 *** 『その事件は衆人環視の中で起こったものの、実際になにが起きたのかについての証言は証言者によ
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