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買ってよかったもの
note.com/cafebaghdad
今まで行ったことのない国・地域に行ってみたい。エキサイティングな旅をしたい、と思っている人は多いと思う。その一方で、よく知らない場所で、トラブルや危険な目にあうのはゴメンだ、と考える人がほとんどだろう。 安全な旅のための細かいノウハウはいろいろ語られているとは思うが、まずは基本となる大原則を把握しておくことは大事だろう。 その意味でとても参考になる話を聞いた。作家の高野秀行さんのトークイベント。イラク南部の「巨大湿地帯」の謎に挑んだ長編ノンフィクション新刊「イラク水滸伝」の出版を記念した、イラク研究者の酒井啓子さんとの対談だった。対談の概要は、すでに紹介した。 「安全な旅」に関係した話は、イベントの最後のQ&Aタイムで出た。会場から、高野さんのノンフィクション作家としての立ち位置についての質問があった。(質問がよく聞き取れなかったのだが、そんな問いだったと思う) その質問に対して、高野さん
ホンモスという食べ物をご存知だろうか。中東でご飯を食べると、結構な確率ででくわす、ベージュ色のペースト状の食べ物だ。正式には「ホンモス・ビッタヒーニ」といい、タヒーニ(ごまペースト)をまぜたホンモス(ひよこ豆)という意味になる。アラブ料理では前菜に位置づけられ、ナンにつけたりして食べる。アラブ料理には、ナンにつけて食べるペースト状の前菜がいくつかあって、最初にテーブルに置かれる。あれこれ食べていると、メインディッシュが来る前におなかがいっぱいになつてしまうので、要注意だ。 ひよこ豆のペースト、ホンモス。ナスのディップ、ババガヌーシュ。トルコ風羊飼いサラダ。ハムとサラミ。東エルサレムの老舗ホテルの朝食 pic.twitter.com/f8sk9HBdBG — カフェバグダッド (@cafebaghdad) September 14, 2016 ホンモスの起源がどこなのかについては、諸説ある。
世界各国・地域の食文化を10皿で紹介する記事を集めたマガジンを作りたいと思います。皆さんが旅先などで印象に残った料理の数々をぜひ10皿にまとめて記事にして、#世界を知るための10… もっとみる
各地のエスニックタウンを食べ歩いて、その様子を撮影し番組にして、YouTubeチャンネルにアップしている映像作家の比呂啓(ヒロケイ)さん。NHKワールドの番組制作に携わるかたわら、アメリカ、中国、イラク、セルビア、日本と、世界をまたにかけて食べまわる。そのあくなき探求心の源泉は何なのだろうと、つねづね思っていた。その比呂さんを、1日「カフェバグダッド」に招き、「移民のるつぼ」米ニューヨークで訪ね歩いたエスニックタウンでのエピソードや、帰国後にはじめたYouTubeチャンネル「エスニック・ネイバーフッド」のコンセプトなどについて、じっくりと公開インタビューをした。聞き手は、カフェバグダッド店主(以下、CBと表記)。新型コロナウィルスの関係で、恒例のトルコ・コーヒーの提供は中止したが、参加した10数人が、和やかな空気の中で、比呂さんの話に熱心に聞き入った。 エスニック飯「月の半分」【CB】では
1980年代後半から90年代にかけて、日本にイラン人が大挙やってきたこともあってか、イラン料理は中東料理の中でも比較的早く日本に広まった。とはいえ、ケバブや「ポロウ」と呼ばれるピラフなど、料理店で食べられるものは、比較的限られている。ここでは、もう少し幅を広げて紹介できたらと思う。 イラン料理を特徴づけるものはいろいろあると思うが、中でも「酸っぱさ」は大きな特徴だ。味付けにレモンなどのかんきつ類を大量に使う。9年前、イランに暮らしている時、ツイッターで思わず、こうつぶやいた。
中東を訪ね歩き、ホテルの朝食に必ずといっていいほど出てくるのがヨーグルト。特に、「ヨーグルトチーズ」と呼ばれる水気を切ったヨーグルトの味は今も忘れられない。アラブ圏では「ラバネ」(ラブネ)と呼ばれ、シリア、レバノンなど東地中海地域の朝食の定番になっている。酸味のきいた独特の味で、オリーブオイルをたらして、ホブズと呼ばれるナンにつけて食べることが多い。 中東でヨーグルトは、とてもポピュラーな食材。中でも独特なのは、強い酸味が特徴の「ラバネ」。水切りヨーグルトのことで「ヨーグルトチーズ」とも呼ばれる。シリア、レバノンなど東地中海地域などでの朝食の定番。ボール状のものもあり、丸ごと頬張ると口がまがるほどのすっぱみ。#ヨーグルトの日 pic.twitter.com/L2bxSNkKAL — カフェバグダッド (@cafebaghdad) May 15, 2019 最近、岩手県で暮らし始め、岩手の食
羊の肉は「くさみがある」と言って、食べない人が結構いることは知っている。羊肉の本場ともいっていい中東に行っても、それが変わらない人もいる。一方で、中東に行って、羊肉のうまさにはまってしまう人もいる。私は後者である。 中東から帰って3年あまり、東京から岩手県に移り住んで、羊肉がより身近になった。岩手には羊肉を食べる文化がある。北海道ほどでないかもしれないが、羊肉を独特の鉄鍋で焼くジンギスカンも有名だ。 岩手県遠野市にある老舗のジンギスカンレストラン「遠野食肉センター」が最近、盛岡郊外の矢巾町に、こじゃれた羊料理レストランをオープンさせたことをネットサーフィンしていて知った。レストランには、羊肉直売所も併設されているようだ。これは行ってみるしかない。 幹線道路沿いにある「遠野食肉センター」矢巾店は、白を基調にした明るくひろびろとした店内。これまでのジンギスカン食堂のイメージとはちょっと、いや、
アラビア半島やエジプト、北アフリカ…「中東・北アフリカ」(MENA=Middle East and North Africa)という地域は、乾燥している土地で、雨が降らないと思っている人も多いのではないか。 いやいや、そんなことはない。結構降る。特に秋や冬には。特に、北アフリカの沿岸部は、イタリアやスペインと同じく地中海性気候だから、夏はほとんど雨が降らないにしても、冬はそれなりに降る。 10月のチュニジアの首都チュニスで日中、突然、空が暗くなって、ひょうが降りだして驚いたことがある。けっこう大粒のひょうで、通りを歩いていた人々は、散り散りに軒下に避難した。 秋のチュニジアの首都チュニスで、晴れ空に突然、暗雲がたちこめ、ヒョウが降り始めたことがあった。地中海沿岸の気候は穏やかというイメージを裏切るような天気の急変。だがむしろ、チュニジアらしいと、その時感じた。この国の魅力を構成する「意外性
「メソポタミア」は、ギリシャ語で「複数の川の間の土地」という意味だそうだ。「メソポタミア」という名前の、おそらく東京で唯一のクルド料理店は、JR埼京線の十条駅南口を出てすぐの場所にある。この辺は、墨田川や荒川と石神井川の間の土地だから、ある意味メソポタミアだ。つまり十条は、この店の立地として「ぴったり」だと、以前ツイートしたことがある。 荒川と石神井川の間に位置するJR埼京線十条駅前にあるクルド料理店「メソポタミア」。メソポタミアは古代ギリシャ語で「2つの川の間」という意味だから立地もぴったり。供されるワインは、上メソポタミア、現在のトルコ南東部で、キリストが使ったアラム語を伝えるシリア正教徒が製造する「シルーフ」 pic.twitter.com/yK80F8Vfe8 — カフェバグダッド (@cafebaghdad) February 12, 2019
今から800年前ごろ、ペルシャ(現在のイラン)の陶器に広く用いられた技法に「ラスター彩」というものがある。ごく簡単に説明すれば、スズを含んだうわぐすりを塗って焼いた陶器に、金属酸化物を含む顔料で絵付けして再び焼く陶芸の技法。ラスター(luster)とは、英語で「光沢、輝き」を意味する。世界大百科事典(平凡社)によれば、「9世紀にメソポタミアで創始され、次いでエジプトに伝えられてファーティマ朝下で発達し、王朝滅亡後はイランに伝播した」という。 これまで、イランの博物館や日本の博物館の企画展などで目にしたラスター彩の陶器は、独特のにぶい金色や赤銅色に輝いていた。 何種類かのオードブルが盛られたのか。イラン・テヘランのガラス器博物館に展示されていた古陶器。イラン北東部ゴルガーンで出土。12-13世紀のもの pic.twitter.com/xPHnlrrpEQ — カフェバグダッド (@cafeb
最近、食の多様化が著しい日本。食べものを通じて、いろいろな歴史を知るきっかけになるのが本当に楽しい。この記事がおさめられているマガジン「この広い世界を知るための10皿」を創刊したのも、そんな楽しみをみなで共有したいと思ったからだ。 さて、きょうは蘭州ラーメンの話。蘭州拉麺、蘭州牛肉麺とも表記される、中国西部、甘粛省蘭州の名前を関した汁麺だ。甘粛省のイスラム教徒(回族)がもっぱら作る料理らしい。最近、首都圏を中心にどんどん専門レストランがオープンしていて、ちょっとしたブームの様相だ。澄んだ味わい深いスープ。噛み応えのある太さいろいろの手打ち麺。牛肉の醤油煮の薄切り。味のしみたダイコン。確かに、うまい。 牛肉麺人気で大行列初めて蘭州ラーメンを意識したのは、約一年半前。東京・神田神保町を歩いていて、普段みたこともない大行列をみかけた時だった。それは、神保町の靖国通り沿いにオープンした「馬子禄牛肉
フェイスブックで、「友人の友人」が書き込んでいた、東京・本郷の蘭州牛肉麺についての情報を見て、俄然、その店に行ってみたくなった。店名がムーサであることも気になる。ムーサは、キリスト、イスラム、ユダヤの3大啓示宗教に共通の預言者で、旧約聖書では、「十戒」を授けられたことで知られるモーゼのアラビア語読みだ。 その友人は、さらに衝撃的なことも書き込んでいた。 ウィグル人に聞いたんだけど、中国麺の全てのルーツは本当はサラール族なんですってよ。ウィグルは違うよと断言してました。えっ?すべての中国麺のルーツはサラール族にあるっていうの? 情報の源は、千葉県内のハラールショップに勤めるウイグル人店員だという。 サマルカンドから移動説ネットで少し調べてみると、サラール族は、蘭州がある甘粛省の隣、青海省の循化サラール族自治県に多く暮らしているイスラム教徒らしい。中国のイスラム教徒というと、ウイグル語を話すチ
中東の人々が、甘いもの好きであることは、この地域を旅したことがある人は、体験的に知っているだろう。 紅茶に砂糖をドバドバ入れて出されることも多いし、お菓子に蜜がたっぷりかかっていることもよくある。中東の国の中でも、イランの人々の甘いもの好きは、かなりハイレベルだと思う。さらにいうと、イランがハイレベルなのは、お菓子の見た目にものすごくこだわるという点だ。 上のヘッダー写真をみても分かると思う。撮影したのは、首都テヘラン北部のなんの変哲もないナッツと菓子を売る小さな店である。ちょっと驚きである。 ①顔面ケーキイランに住んでいた時、街の菓子屋さんで、いろいろなユニークなデザインのケーキを見かけたが、その中でも印象的だったのは、これ。子どものために買った家族などは、果たして、ちゅうちょなく、顔面にナイフを入れることはできるのか…と、余計なお世話ながら、ちょっと心配になった。 イランのケーキは、ち
最近、ヒヨコ豆をやたらと目にすることが多い。英語でCHICKPEAS、アラビア語ではホンモスと言い、主に中東地域で食べられる食材だと思っていた。それが、日本で、ヒヨコ豆を茹でてペーストにした、その名も「ホンモス」(日本ではフムスということも多い)や、ペーストの素揚げ「ファラーフェル」、あるいは「ヒヨコ豆カレー」などというのを提供するレストランにも出くわすようになった。 日本の居酒屋のお通しで、ヒヨコ豆が鰹節と一緒に出てくるとは。京王線千歳烏山の横丁の居酒屋で。 pic.twitter.com/WZ03OYIcgX — カフェバグダッド (@cafebaghdad) March 21, 2017
ISに徹底的に迫害され、2014年以降、多数が故郷を追われることになったヤジーディと呼ばれる人々。彼は「何者か」を簡潔に説明しようとすると、深みにはまるような気分になる。ヤジーディとは? 民族なのか? 宗教集団なのか? すぐにすっきりとした答えは出てこない。 ノーベル平和賞の受賞が決まったナディア・ムラードさんは、中東の少数派宗教であるヤジード教の信徒。信者はイラクやシリアを中心に数十万人。イラク北部ラリッシュに神殿のある聖地がある。ヤジード教を多神教と決めつけたISに迫害され、ナディアさんをはじめ多くの女性が拉致され奴隷にされた。 pic.twitter.com/1A219iBud1 — カフェバグダッド (@cafebaghdad) October 5, 2018 もともと彼らは、自分たちで「ダーシン」と名乗っていたようである。「ヤジーディ」という名前は、かつては他称、つまり周囲からそ
アラブ地域といっても広い。東はペルシャ湾岸に面したオマーン、西は大西洋に面したモロッコ。だから、アラブ料理といっても多種多様だ。 今回はその中でも「シリア料理」を取り上げる。ここでいうシリアは、アラビア語でシャームとも呼ばれる、いわゆる「大シリア」、レバノン、ヨルダン、パレスチナといった東地中海地域を包摂した、ひろい意味でのシリア料理だ。 ①ホンモス シリア料理といえば、前菜。前菜といえばホンモス。ひよこ豆を主な材料とするペースト状の食べ物。 普通、平たい白っぽいホブズ(エジプトでは「シリアのパン」と呼ばれている)につけて食べる。あきのこない味なので、食事の前哨戦ながら、どんどん食べ進んでしまうこともよくある。 ②ザアタル そのホブズにつけるスパイスとして、有名なのがザアタル。オリーブオイルでといて、ホブズに塗りつけて食べる。世界に散らばるシャーミー(大シリア出身者)は、これなくして朝食は
今や、世界中の料理を楽しめるという意味においては、世界一、と言ってもいいかも知れない日本の首都・東京。いわゆる中東と呼ばれる地域の料理を出す店もいろいろある。エジプト、レバノンといったアラブ圏の料理(アラブ料理)、あるいはペルシャ語が広く話されるイラン(イラン料理)、トルコ料理といった中東の国々の料理を一度は食べたことがある方も多いのではないだろうか。 ここでは、その中東で、国境にまたがって暮らしているクルド人の料理を紹介したい。総人口は世界に3000万人ともいわれ、主にトルコ、イラン、イラク、シリアなどで生活している。ドイツなどの欧米諸国にも大コミュニティーがある。「国家を持たない最大の民族」という呼ばれ方もする。クルド語を使用するが、居住地域によって異なる方言が使われ、相互に意思疎通が難しいクルド人もいる。 この記事をnoteマガジン「中東の少数派ヤジーディ」の中にもいれたのは、ヤジー
IS(「イスラム国」とも表記される)はなぜ、中東の少数派宗教集団であるヤジーディを殺害したり、特に女性を性奴隷にしたりしたのだろうか。ざっくり言えば、ISをはじめとするイスラム教のサラフィー主義(超保守主義)は、多神教徒や、偶像崇拝をする人々を敵視する考えを持っているからだ、といえる。 多神教や偶像崇拝の否定は、一神教であり偶像崇拝を否定するイスラム教という宗教の基本ともいえる。もちろん、だからといって、イスラム教徒みんなが、ヤジーディを殺害したり奴隷にする、という行動をとるわけではない。実際に行動に移した、という意味では、ISは例外的な集団ではある。 だからISについて世間一般では、「狂信的なテロ集団」という理解がなされる。確かに、日本人を含めた「異教徒」を斬首したり、火あぶりにしたりして殺害しているシーンの映像を、インターネットにアップしたりするなど、常軌を逸脱した残虐性は「狂気」以外
偶像崇拝が禁じられたイスラム教の世界のアートは、具象的ではなく抽象的なデザインが主流となっている。その中で、重要な地位を占めているのが「書道」である。イスラム教の聖典コーランを記すことばである「アラビア文字」の書道が特に有名だ。 書道といっても、東洋のような毛筆は使わず、竹や葦(あし)を削って作った固い筆で、インクを使って書く。 その「アラビア書道」の大家を、日本が輩出していることを知っているだろうか。本田孝一さん(大東文化大教授)で、ロンドンの「大英博物館」、シンガポールの「アジア文明博物館」、マレーシア・クアラルンプールの「イスラム美術博物館」などにも作品が収蔵されている。 砂漠、宇宙、ピラミッドなどをモチーフにした絵画と書道を組み合わせた作品は、今や世界的にも高い評価を受けるている。 以前、その本田さんから、彼の芸術論を教えてもらう機会があった。ちょうど本田さんが、サウジアラビアの首
ずいぶんと前のことになるが、日本とアラブ圏の記者が東京で討論するのを聞きにいったことがあった。イベント名は、「日本・アラブ・イスラム・ジャーナリスト会議」。ここで提起された論点は、今でもまったく古びていないどころか、まさに今こそ、深く考えるべきことのように思える。以前にブログ上でまとめた内容を一部編集し、以下、紹介したい。少し長いのですが、おつきあいください。肩書はすべて、開催された2006年当時です。(カバー写真は、イスラム以前にチュニジアに栄えた都市国家・カルタゴの遺跡) -------------------- 日本外務省が主催した「日本・アラブ・イスラム・ジャーナリスト会議」(Japan-Arab Islamic Journalists Meeting)が開かれた。2005年に続く第二回で、日本とアラブの記者が、マスメディアの役割や相互理解の方策などについて討論するというものだ。
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