愛知県の知多半島沖に浮かぶ日間賀島(ひまかじま)が、20年前に始めた「とらふぐの本場」のアピールに本腰を入れている。国内有数の漁場である伊勢湾と三河湾に囲まれ、島の宿では市価より安く冬の味覚を提供してきた。トラフグは水揚げ量の波が激しいが、供給を安定させる「縁の下の力持ち」がいた。 観光協会長「売り上げの6割はふぐ」 「福(ふぐ)来る!」。名古屋から1時間半、日間賀島の西港で高速船を降りるとトラフグののぼりが迎える。旬の今は平日もふぐ目当ての客でにぎわう。島の観光協会長の鈴木甚八さん(67)は「日間賀島はたこが有名で『多幸(たこ)の島』と宣伝してきたが、自分が経営する宿は年間売り上げの6割はふぐ」と話す。 島を拠点にするフグ漁は100年の歴史があるが、かつて料理を出す宿はわずかだった。転機は1989年の九州近海の不漁で、下関(山口県)はじめ各地から注文が殺到したことだった。「日間賀のふぐ」