細菌が動物に社交性を与えていたようです。 2021年6月30日にカリフォルニア工科大学の研究者たちにより『Nature』に掲載された論文によれば、腸内細菌がマウスに社交性を与える仕組みを解明したとのこと。 研究では解明された仕組みを利用することで社交性の回復にも成功しました。 いったいどんな仕組みで腸内細菌はマウスに社交性を与えていたのでしょうか?
水と構成元素が同じ重水は甘いようです。 4月16日に『Communication Biology』に掲載された論文によれば、中性子が1個追加された重水素からなる重水は、ヒトにとって甘く感じられることが示されました。 重水が甘いという逸話は1930年代から延々と伝えられているものの、常識的な研究者たちは「構造が等しいからには同じ味がするはずだ」と都市伝説扱いされてきました。 しかし今回の研究により、都市伝説が常識を打ち破る結果が明示され、多くの反響を呼んでいます。 しかし、構造が水と全く同じなのに、どうして重水は甘く感じられるのでしょうか?
オーストラリア南部で、新種のクジャクグモ(マラトゥス属)が発見されました。 顔の色と模様が、2003年のディズニー映画『ファインディング・ニモ』に登場するカクレクマノミのニモに似ていることから、「マラトゥス・ニモ(Maratus nemo)」と命名されています。 クモ界の新たなアイドルの誕生でしょうか。 研究は、3月25日付けで『Evolutionary Systematics』に掲載されています。 New Species of Dancing Peacock Spider Discovered http://www.sci-news.com/biology/maratus-nemo-09501.html Adorable New Species Of Peacock Spider Named After “Finding Nemo” https://www.iflscience.com/
「なぜ冷たいものが歯に染みるのか」という疑問がついに解明!あるタンパク質が「冷たいもの」に反応していた 知覚過敏は、何らかの原因で傷ついた歯に冷たいものがしみる、よく知られた現象です。 歯磨きのしすぎや歯ぎしりによりエナメル質が磨耗することが原因とされますが、その化学的なメカニズムはよく分かっていません。 しかし今回、アメリカ、ドイツの国際研究チームにより、歯の中の「TRPC5」というタンパク質が低温に強く反応していることが突き止められました。 この結果は、知覚過敏の新たな治療法への応用が可能です。 研究は、3月26日付けで『Science Advances』に掲載されています。 ‘Ice-cream toothache’: Cold food and drinks pain explained https://www.bbc.com/news/health-56536300 SCIENT
頭から胴体を丸ごと切断してしまうウミウシが発見されました。 この新行動は「コノハミドリガイ」と「クロミドリガイ」の2種に確認され、いずれも切断された頭部から胴体を再生させています。 発見者の奈良女子大学大学院、三藤清香(みとうさやか)氏によると「心臓のある胴体を再生させるウミウシは初めて見つかった」とのこと。 一体、何が目的で胴体を捨てているのでしょうか。 研究は、3月8日付けで『Current Biology』に掲載されています。 Scientists Surprised by Sea Slugs That Sever Their Own Heads and Regrow Brand-New Bodies https://scitechdaily.com/scientists-surprised-by-sea-slugs-that-sever-their-own-heads-and-re
先日、アメリカのSNS上で「科学者がホウレンソウにメール送信の仕方を教えた(英文)」と話題になりました。 この元ネタは、マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発した「爆発物を探知できるホウレンソウ」にあります。 このホウレンソウは、地中の爆発物を検出すると、それを電子メールで知らせてくれるのです。 どうしてそんなことが可能なのでしょうか。 研究の本論文は、2016年に『Nature Materials』に掲載されています。 MIT Scientists Hack Spinach Plants to Send Emails https://wordpress.futurism.com/scientists-hack-spinach-plants-send-emails Scientists Create Spinach That Can Test For Bombs https://news
南米アマゾンに生息する「デンキウナギ」は、1匹で860ボルトの電流を発生させられます。 彼らは単独で狩りをするのが基本ですが、このほど、ブラジルの熱帯雨林で群れをなして狩りをするデンキウナギが初確認されました。 撮影された映像では、死の電気ショックを浴びた大量の小魚が、いっせいに水面に飛び上がる様子が見られます。
陸生物初の「虹色素胞」で光るヤモリウェブフット・ゲッコーは、体長10〜15センチほどの夜行性ヤモリです。 砂漠の乾いた川床や砂丘に住み、日中は水かき(ウェブフット)のついた手足で穴を掘って暮らします。 皮膚は黄色味がかった半透明をしており、体側に白のストライプと目の周りに同色のリングがあります。 これが月の光を吸収するとネオングリーンに輝き、その他の皮膚は薄ボンヤリした青色に発光します。 ウェブフット・ゲッコー / Credit: David Prötzel 研究チームは、この発光メカニズムを解明するため、ウェブフット・ゲッコーにUVライトを当てて調査をしました。 発光は、オスメスの成体および幼体のすべてで確認されています。 発光源を調べてみると、皮膚内のグアニン結晶で満たされた色素細胞である「虹色素胞」にありました。 グアニンはDNA成分のひとつであり、その結晶の集団配列は、魚の銀色光
「最強の生物を考えてみよう」という宿題が小学生時代の夏休みに出されたら、いったいどんな姿を想像するでしょうか? 恐竜のように巨大で力強い生命を思い浮かべる人もいれば、優れた環境適応能力をもつ細菌こそが最強だと考える人もいるでしょう。 あるいは現在繁栄している人間こそが最強と呼ぶべきだと言う人がいるかもしれません。 しかし今回紹介するテッポウエビは、恐竜や細菌、そして人間も存在しないSFのような「遠距離攻撃能力」を持ちます。 巨大なハサミの2つの刃が噛み合うとき、凄まじい衝撃波が生成され、水温は瞬間的に4400℃にも達し、プラズマの閃光きらめく衝撃波が生じます。 衝撃波をまともにくらった小魚やカニは一瞬にしてノックダウン、テッポウエビのエサになるのです。 しかし瀬戸内海の魚市場で1盛り800円で売られているこの最強生物は、いったいどうやって、そんなSFチックな能力を発揮しているのでしょうか?
カゲロウは数時間で死ぬように体が作られています。 はかなく飛び回るカゲロウには口がなく、腸もないため、一切のエサや水をとることができないんです。 地球上には様々な虫が存在しますが、口がない虫というのはカゲロウの他に存在しません。 また飛行速度も非常におそく、鳥・コウモリ・魚など様々な動物にとって格好の獲物になります。 魚釣りに使われる疑似的なエサの多くが、カゲロウをモデルにしていることからも、その捕食されっぷりがうかがい知れます。 そんな弱々しさやはかなさの代名詞にもなっているカゲロウ。 しかしカゲロウは3億5000万年前から地球に生き続けている、生きている化石なのです。 そして彼らが何億年もの間、種として生き残れてこれた秘訣は、まさにこの弱さにありました。 弱肉強食の自然界で弱さを武器に生き残ってきたカゲロウの生存戦略とは、いったいどんなものなのでしょうか? カゲロウ誕生の歴史から紹介し
新型コロナウイルスに対して、私たちはいつからか「コロナ禍」という言葉を使い始めるようになりました。 この「禍」という馴染みのない文字は「まがまがしい(禍々しい)」などの表現に使われ、より邪悪な状態を表します。 そんなコロナ禍を薙ぎ払う聖なる剣として期待されているのが「ワクチン」です。 ワクチンについては既に多くのメディアで仕組みや働きが紹介されていますが、人体を使った臨床試験にあるものだけでも数十種類、開発中のものを含めると100種類を大きく超えます。 毎年接種される方も多い「インフルエンザウイルスワクチン」は、その年に接種される種類が数種類に限られています。 にもかかわらず、なぜ新型コロナウイルスに対するワクチンだけが、こんなにも数多くの種類があるのでしょうか?
中南米に分布するハキリアリは、葉っぱを切って巣に持ち帰り、そこに菌類を植えつけて栽培する面白い習性の持ち主です。 ウィスコンシン大学マディソン校はこのほど、ハキリアリの一種「Acromyrmex echinatior」が、防護のための特殊なボディアーマーを身につけていることを発見しました。 これにより、抗菌性や戦闘力が格段にアップしていたようです。 研究は、11月24日付けで『Nature Communications』に掲載されています。 >参照元はこちら(英文)
現在、ベルギー北部・アントウェルペンにあるSchoonselhof墓地周辺で、「ミステリークレイフィッシュ」というザリガニが大量発生しています。 このザリガニは、自己増殖(セルフクローニング)で繁殖するため、子孫を残すのに交尾を必要としません。 本来、自然下には存在せず、人によって実験的に作り出された生物と言われています。 野生での繁殖を止めるのはほぼ不可能で、ベルギー現地の生態系も危険にさらされているとのことです。
丈夫な体を持つ甲虫の中で、最強クラスの防御力を持つ虫がアメリカにいます。 「ディアボリカル・アイアンクラッド・ビートル(悪魔の鋼鉄甲虫)」と呼ばれる昆虫です。 わずか2センチほどの体長ながら、天敵に捕食されることはほぼありません。体が頑丈すぎて、噛むことも飲み込むこともできないからです。 アメリカ・カリフォルニア大学の研究チームは、この頑丈さの秘密を解明するため、外骨格の構造をナノスケールで詳しく調べました。 その結果、2枚の前翅(昆虫の前部の翅)が互いにくっついて、インターロッキング式に組み合わさっていたことが判明しています。 この研究は、10月21日付けで『Nature』に掲載されました。
最強の生存能力を有するクマムシに、新たな特性が発見されました。 10月14日に『Biology Letters』に掲載された論文によれば、新種のクマムシは、暗闇で青く光ることで有害な紫外線から体を防御していることが示されました。 しかしクマムシが暗闇で光ることが、どうして紫外線から身を守ることにつながるのでしょうか?
デバネズミは目で磁気を感じている可能性がある実験で使われたデバネズミは他の地下に棲むげっ歯類と比べて比較的明確な目の構造を保持している / Credit:zoo-leipzigアフリカの地下に棲む、デバネズミの一種(学名: Fukomys anselli)は、巣作りにおいて興味深い習性が知られています。 彼らが地下に張り巡らせた巣の多くが、一定方向に向けて広がっているのです。 彼らのこの奇妙な習性は生まれ故郷から離れたドイツの実験室でも再現され、円形の飼育環境において巣は、ほとんどが南西方向に拡張されていきました。 デバネズミが何らかの方法で磁気を感じ取っていると予想されていましたが、体のどの部分で、どのように感知しているかは不明でした。 一方、実験に使われたデバネズミには、他の地下生活をおくるげっ歯類と大きく異なる部分がもう一つありました。 他の地下住まいのげっ歯類の多くは、目が退化を起
人間の赤ちゃんはお父さんやお母さんの顔を見ると自然に笑みを浮かべます。 さらに近年の研究により人間だけでなくサル、犬、ニワトリなど様々な動物が親の顔のような3つの点(目、目、口)からなる模様に惹きつけられることが明らかになってきました。 親の世話を受ける種族にとっては、自分を保護してくれる親を認識するため、このような顔型への親和性があると考えられています。 しかし、9月14日付けで『PANS』に掲載された研究によって、顔型への親和性に親子の絆は必ずしも必要ないことが示されました。 これは今まで考えられていた動物の親子関係に大きな打撃を与える結果となります。 なぜ動物は顔に惹きつけられるのでしょうか?
細菌(バクテリア)は、病気の原因だったり、不衛生な場所に発生する嫌な印象もありますが、生物が生きていくために欠かせない重要な存在でもあります。 私たちの消化を助けるのも、木が土中から得る窒素を供給するのも彼らです。細菌は地球の栄養素を循環させるために大きな役割を果たしているのです。 そんな細菌たちは、驚くほど極限状態でも生き抜く力を持っています。 南極の土壌から新たに発見された細菌は、この何も栄養源の無い場所で、空気だけで生存できることが確認されています。 そして新たな研究は、この霞を食べて生きる仙人のような特殊な細菌が、現在私たちがもっとも悩んでいる地球温暖化の解決に役立っている可能性を見つけたのです。
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