私が高校生の頃には国語の教科書に、中島敦の「山月記」という小説が載っていました。青空文庫版はこちらです。 先日20年ぶりくらいに再読しました。実に面白かった。高校生当時は「人が虎になる」という表面のファンタジー的な部分しか読んでなかったのですが、大人になった今読むと主人公の気持ちも実感を伴って分かるわけです。 あらすじはこうです。 +++++ 唐の李徴(りちょう)は、自分の才能に自信を持っており、つまらない上司や同僚がいる役人組織を辞め、詩作で名を残そうとした。しかし現実は厳しく、食べるのにも困るようになったため役人に戻るものの、かつて見下していた同僚はすでに出世していた。自尊心は大いに傷つき、発狂して行方不明になった。 ある日の夜、現在は高官でかつて李徴と仲の良かった袁傪(えんさん)が道を通ると、人食い虎が現れる。声からその虎は李徴であると分かった。李徴は草むらに姿を隠しつつも、昔話に花