2010年2月11日、 神戸女学院大学教授(当時)の 内田樹さんから 1通のメールが届きました。 タイトルは「土地を決めました」。 本文には、 神戸市内のJR住吉駅から徒歩3分の土地を買い、 そこに自宅兼道場兼能舞台を建てたいので 設計を頼みたい、と書かれていました。 まだ1軒も家を建てたことのない新米建築家に、 初めての設計依頼が来たのです。 しかも内田さんとはほんの2ヵ月前に、 ご自宅での麻雀大会で初めてお会いしたばかりです。 言葉にできない驚きと胸の高鳴り。 パソコンのモニターをにらみつけるように くり返し何度も文面を読んでから、返信を送りました。 僕はベルリンの建築設計事務所で4年弱働いて、 2年前に帰国しました。 30歳までに独立しようと決めていたので、 帰国後まもなく自分の事務所を開きました。 まだ一級建築士の資格を取得したばかりで、 内装設計やコンペは経験しているものの、 更