「爆買いから爆セックスへ」。手に取るのを敬遠してしまいそうな帯だが、先日、『八九六四』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した書き手の作品と聞けば買いの一手だ。とはいえ、「爆セックス」が受賞後第一作とは幸なのか不幸なのか。 「はじめに」で著者が指摘するように、カネや食のように人間の欲望を反映する営みで社会を読み解くのは非常に有効である。エロも然りである。いや、むしろ、エロこそが欲望の塊である。中国の場合、その塊が14億人からなるとなればなおさらだろう。 中国では長らく一人っ子政策など生殖への支配が続いた歴史もあり、性にオープンな印象は薄いが、ここ10年ほどでめまぐるしく変わってきたという。2000年代中頃までは、世界でも性満足度が日本を下回り、世界でワーストだったが今やセックスの頻度が平均で週1.2回、2回以上が3割を超えるとか。1ヶ月間以上性行為がないセックスレスの割合は未婚者も含めて7%