ゲームには、主人公の行動を選んで話を進める「アドベンチャーゲーム」というジャンルがある。「遊ぶ推理小説」とも言える推理アドベンチャーには、かつて「ポートピア連続殺人事件」「かまいたちの夜」といった話題作が出たが、ゲーム機の性能アップの恩恵を受けやすいアクションゲームなどと比べ、存在感は低下気味だ。しかし、カプコンの「逆転裁判」シリーズは、15年間で累計640万本(6月末現在)を販売して映画やアニメ、宝塚歌劇団の舞台になるなど、このジャンルの復権を後押ししている。開発責任者2人に、エンターテインメントの創造と持続について聞いた。 常識覆した設定 逆転裁判は無実の罪で逮捕された被告の無罪を証明するのが目的で、主に任天堂の携帯型ゲーム機向けに発売されてきた。決定的と思える証言や証拠などによる不利な状況から形勢を「逆転」させ、真犯人を含む事件の全容を解明する。一部を除き、本編の主人公は弁護士の成歩