J1が開幕した3月7日、仙台と山形の「みちのくダービー」が行われたユアスタで、悲しい事件は起きた。 試合開始直前、選手の入場でスタジアムの盛り上がりは最高潮に達した。両クラブの担当を経験した私も、初めて味わう「ダービー」の熱気に鳥肌が立った。そして、仙台南高合唱部の女子生徒10人による君が代斉唱へ。スタンドを埋め尽くした仙台サポーターをはじめ、観客のほとんどが声援を止めて静かに立ち上がった。だが、斉唱が始まっても一部の山形サポーターが太鼓をたたき、声を出し続けたのだ。最高の雰囲気は、ぶち壊された。 スタジアムにいた誰もが、目と耳を疑った。整列していた選手たちも戸惑いを隠せない。顔を見合わせながら山形応援席に目をやっていた。高校生10人の歌声は、最後まで応援コールにかき消された。東日本大震災が発生した3月11日の直前に組まれた4年ぶりの対戦は「『がんばろう!東北』マッチデー」と題された。しか