記憶喪失で放浪中、パンなどを万引きしたとして、氏名不詳のまま窃盗罪に問われた男の判決が２８日、京都地裁であり、島本吉規裁判官は求刑通り罰金２０万円を言い渡した。 島本裁判官は「安易な犯行だが、記憶喪失で放浪生活を送る中でのことで、同情の余地はある」と述べ、裁量で未決勾留日数を１日５０００円に換算して罰金刑に算入し、事実上、罰金を支払う必要がない“温情判決”を下した。 判決によると、男は７月２９日、南丹市のコンビニ店でパンなど７点（計約１３００円相当）を盗んだ。男は、４年前に山口県内の病院に保護されるなどしたが、それ以降は各地を放浪し、所持金が少なくなり、今回の犯行に及んだという。 今月１２日の初公判で男は「記憶が残る神奈川に行けば、何か思い出すかもしれないと思い、自転車で行こうとしたが、パンクして歩いていた」などと話した。判決後、男は釈放され、弁護側によると、生活保護を申請した。
