小倉豊文氏の、「二つのブラック・ボックス―賢治とその父の宗教信仰」(『宮沢賢治』第2号, 洋々社)という文章の中に、次のような一節があります。 その政次郎翁が問わず語りに「私が仏教を知らなかったら三井・三菱くらいにはなれましたよ」と、苦笑まじりに言ったことを私は確かにきいている。 この政次郎氏の言葉は、その後もよく引用されて有名になっていますが、その「苦笑」の意味は何だったのでしょうか。なまじ仏教など知ってしまったばかりに資本家に徹しきれなかった自らに向けられているのか、あるいは逆に「外道」のように利潤追求に明け暮れる当時の財閥の姿に向けられているのか…。いずれにしてもこの言葉は、政次郎氏という人の一筋縄ではいかないようなしたたかさを示しているように思えます。 それにしても、これだけの大言をさらっと言えるというのは、すごい自信ですね。また実際の商売においても、きっと政次郎氏はそれだけの手応
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