キョウコ(39)は15歳の時、ホームレスになった。継父の暴力から逃れるために家を飛び出し、約1年を公園で過ごした。キョウコの子どものころの記憶には、飢えや痛み、孤独が刻み込まれている。(1面参照) 両親が離婚し、幼稚園のころ、父親に引き取られた。自営業の父親は毎日のように外で飲み歩き、夜中まで帰ってこない。同居していた祖母が入院すると、独りぼっちになった。 賭け事が好きな父親には多額の借金があった。夕食代を置いていくことはなく、おなかがすいて「何かちょうだい」と隣近所に食べ物を無心して回った。何度か続くと玄関を開けてもらえなくなった。初めての万引は小学1年生だ。 当時のことを思い出すと暗闇に一人、膝を抱えて座っている自分の姿が浮かぶ。 ■ ■ 4年生のころ、母親が迎えに来てくれた。喜んだが、母親の再婚相手である継父の暴力が待っていた。 継父は、勤めていた会社が倒産してから職を