長男の死因は低体温症で、母親は急性薬物中毒。母親の遺体を前に、食べ物もなくガスも水道も止まった部屋で、長男はどんなことを考えていたのだろうか。誰かに助けを求める気力さえ、失っていたのだろうか。
長男の死因は低体温症で、母親は急性薬物中毒。母親の遺体を前に、食べ物もなくガスも水道も止まった部屋で、長男はどんなことを考えていたのだろうか。誰かに助けを求める気力さえ、失っていたのだろうか。
イギリスに次いでアメリカでも始まった新型コロナウイルスのワクチン接種。一方、日本では国産ワクチンの開発が進められてはいるものの、まだ実用化のめどは立っていません。期待される“特効薬”(体内でのウイルスの増殖を抑える薬)の開発でも、研究現場は人材枯渇の危機に直面しています。社会を救う「科学の力」が期待されるこの時に、なぜ日本は真価を発揮できないのか。パンデミックが浮き彫りにした科学立国ニッポンの課題と、再生への道を探ります。 国産ワクチンの開発、“異例の速さ”ではあるが・・・ ・短期間で大量に作れる遺伝子ワクチン 世界が新型コロナウイルスのワクチン接種開始のニュースで湧く中、日本でも、それと競うように国産ワクチンの開発が進められています。国内で実用化に向けトップを走っているワクチンの製造現場に、初めてカメラが入りました。 研究チームの中心人物、大阪大学の中神啓徳 寄付講座教授。2020年3月
2021年1月4日、航空会社スカイマークの全社員に社内イントラネット経由で配られた「さやま便り」には、「感染の経緯」という欄があった。 【全画像をみる】スカイマーク佐山会長に聞く「全コロナ闘病記録」と、そこから見えたこと 「さやま便り」とは、同社会長の佐山展生さんが週1回、全社員2500名余に宛てて書くA4で2枚分ほどの写真付きのメッセージとレポートだ。 佐山さんは2020年12月、育休中のため、実家である佐山さん宅に同居していた自身の子ども(成人)から新型コロナウイルスに感染し入院。幸い、重症化直前で回復した。 「さやま便り」には、誰からいつ、どのような経緯で感染したのか、PCR検査から入退院までの行動など、感染の詳細な経緯がつづられている。外部にも感染を公表し、社内外にどうリスク管理するかの重要性を伝えてきた。 一方、現在、感染拡大による医療現場の逼迫で、自宅療養・入院待機になる人が急
首相時代にも自己中心的な失言でマスコミを賑わせていた森(写真は2020年7月17日) Issei Kato-REUTERS 森喜朗氏の女性蔑視発言が国内外で大きな問題になる中、今次東京五輪開催もますます微妙な暗雲が立ち込めている。森氏の失言癖は今日・昨日に始まったことではない。森氏は2000年に当時脳梗塞で入院・急逝した小渕氏の後継として総理大臣となり、その期間約1年の短命内閣に終わった。 森内閣発足当初から森氏の失言・舌禍は大きな問題となり、内閣支持率は場合によっては一けた台に落ち込み、自民党は危機感を募らせる。森内閣と自民党への支持率低下を受けて「改革」「刷新」の声が急速に沸き起こり、小泉内閣の劇的な誕生へとつながっていく。 約1年の政権担当期間中、森氏は「失言総理」という印象ばかりが際立ち、多くの国民はそのことばかりを記憶している。しかし、今振り返ると森内閣はその後の自民党の「構造的
横須賀市救急医療センターに置かれた検査ブース。ウイルスへの防御性に優れ、防護服なしで検体を採取できる(C)朝日新聞社 この記事の写真をすべて見る 本誌が4月13日に配信した記事「患者に隠されるPCR検査『3条件』とは?現役医師が告白『コロナ野放し』の実態」により、新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査の対象に厳しい「絞り込み」がかけられている実態が明らかになり、波紋を広げている。Twitter上では、「こんなに悪化させてからでないとPCR検査受けられないなんて」「これじゃ、いつになっても感染者減らないな」などと、驚きの声が続出した。患者に知らされないこうした条件は、なぜつくられたのだろうか。 【独占入手】本誌が入手したPCR検査「3条件」文書はこちら 文書は<かかりつけ医の外来診断手順(初診例)>というタイトルで、3月26日付。感染の疑いがある患者が新型コロナ外来でPCR検査を受
大島新監督の政治ドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』(通称『なぜ君』)の衆議院議員・小川淳也議員が11月17日、新型コロナウイルスに感染したことが報じられた。国会議員で3人目の感染者である。 小川議員の感染経路は不明。「濃厚接触者」にあたるのは家族や事務所の方々などわずか数名で、いずれも検査は「陰性」だったという。しかし、11月19日にご本人が病床からTwitterにアップした動画を拝見し、衝撃を受けた。そこで語られていたのは、「検査を受けられるクリニックまで、公共機関も利用できず、39度台の熱で、徒歩で歩いていった」ということなど。考えてもみなかった「盲点」である。 そこで、11月27日に退院、在宅・リモートで仕事を行う小川議員に、感染を経験して感じたことなどを伺った。 実は小川氏へのリモート取材の真っ最中に、新たに別の国会議員の感染が発覚。感染を知らせる館内のアナウン
-日本学術会議会員候補の任命拒否をどう見るか。 「大きく三つある。まず任命拒否の理由が示されていない。国会答弁は支離滅裂で崩壊しているのは誰の目にも明らかだ」 「次に、学問の自由を脅かし政治が科学を支配しようとしている。井上信治担当相がデュアルユース(軍民両用)の学問研究を検討するよう学術会議に求めたように、学術会議が独立性をもって歯止めをかけようとした問題に対して、政治の側がこうあってほしいと迫るものだ」 「三つ目は、今回にとどまらず、あらゆる場面で人事権を行使して支配するやり方だ。内閣人事局をつくり異論を政治主導で排除する仕組みに変えていった。同じ国家公務員とはいえ、学問の自由や独立性が求めらる学術会議に手を出す。検察庁法改正案のように司法の独立に関わる分野にも介入しようとする。任命権が内閣にありさえすれば好き勝手に人事を左右して支配を強める。ほとんど恐怖政治ではないか」 -菅首相は任
政府間の対立がエスカレートして泥沼化したように見える日韓問題。両国の関係がこじれた根本的な一因として、安倍政権やその支持者が掲げる「歴史修正主義」を指摘する声は多い。 国際社会の視線も同様だ。アメリカ「ワシントン・ポスト」紙は、日本で影響力を増す歴史修正的な考え方が東アジアにおける平和を脅かし、世界経済にも悪影響を与えかねないとはっきり指摘している。 しかし一体なぜ、歴史修正主義は日本でこれほどの力を勝ち得たのか? 南京大虐殺否定論などにおける歴史修正のレトリックを暴きだした新書『歴史戦と思想戦──歴史問題の読み解き方』(集英社)を上梓した戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏に話を聞いた。 【山崎雅弘】 1967年、大阪府生まれ。戦史・紛争史研究家。主な著書に『中国共産党と人民解放軍』(朝日新聞出版)、『日本会議 戦前回帰への情念』(集英社)、『1937年の日本人』(朝日新聞出版)、『「天皇機関
日本学術会議問題で、すぐに脳裏に浮かんだのは、戦後初の東大総長になった南原繁だった。「学問の自由」は、それが失われる過程を知らなければ、貴重さも理解できない。南原の生涯を小説「夏の坂道」で描き切った作家・村木嵐さん(53)と共に、「学問の自由」について考える。 日本学術会議問題とは 論点を今一度、整理しておこう。 2020年10月1日、就任したばかりの菅義偉首相は、日本学術会議の新会員について、会議が推薦した候補者のうち6人を拒否して任命した。6人は以下の方々だ(敬称略)。 芦名定道・京都大教授(宗教学) 宇野重規・東大教授(政治思想史) 岡田正則・早稲田大教授(行政法学) 小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学) 加藤陽子・東大教授(日本近代史) 松宮孝明・立命館大教授(刑事法学) 9月末で会長を退任した山極寿一・京大前総長らによると、会議は8月31日に推薦する105人の名簿を当時の安倍
・自民党きっての国防通、タカ派がなぜ保守派から嫌われているのか? 自民党総裁選に立候補し、菅義偉氏、岸田文雄氏と競う石破茂氏は、自民党きっての国防通として知られ、小泉純一郎内閣下で防衛庁長官(2002年~2004年)、福田康夫内閣下で防衛大臣を務めた(2008年~2009年)。従来から憲法9条改正や集団的自衛権の行使に前向きな姿勢を表明しており、進歩派からは「右翼」と警戒された。 石破茂著『国防』(新潮社)筆者蔵、以下同 石破氏が小泉内閣下、防衛庁長官を退任した後に出版された自身の著『国防』(新潮社、2005年)には、 「私は中国から何か言われても、すぐに平身低頭”ごめんなさい”という気はありません。”理屈がおかしいんじゃないですか”と言えばいいのです。(中略)”日本は侵略国家だ。中国はとにかく理屈より謝罪だ”というような論法の人には、通じない話でしょうが」(P.150-151*強調筆者以
2011年3月11日、東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発事故。事故発生から数日の間に1号機、3号機、4号機が次々と爆発し、日本と世界を震撼させた。 そのとき、首相官邸の要請で策定された「最悪のシナリオ」があった。莫大な量の放射性物質が撒き散らされ、東京からも避難せねばならなくなる――。現実には、そのような事態は辛くも避けることができたが、当時の政府関係者と原子力関係者は未曾有の緊急事態をどう見ていたのか。 2011年3月25日に発表された技術的予測「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」の作成者で、当時原子力委員会委員長を務めていた近藤駿介氏に、首相補佐官として当時事故対応にあたった細野豪志衆議院議員が話を聞いた。(構成・林智裕、ライター) 「最悪のシナリオ」までの2週間 細野 今日は、高レベル放射性廃棄物の最終処分を取り扱うNUMO(原子力発電環境整備機構)という組織
NTTドコモは9月10日、電子決済サービス「ドコモ口座」を通じて現金の不正引き出しが相次いでいることを受け、被害者やサービスの利用者に謝罪した。同社が同日に開催した記者会見の内容を一問一答でまとめた。 記者会見には、ドコモの丸山誠治副社長、前田義晃本部長(常務執行役員 マーケティングプラットフォーム本部)、田原努部長(ウォレットビジネス部)が登壇した。 ――ドコモ回線契約者以外でもメールアドレスで口座を作れるが、電話番号の登録を義務付けていれば、電話による回線認証なども可能だったのではないか。dアカウントのサービス拡大を優先したのか 丸山:ドコモユーザー以外にもドコモのサービスを開放していこうと事業に取り組んできた。その中の一環として、d払い(ドコモ口座)についても提供範囲を広げるため、(認証などを)簡易な手段にしていた。現在は反省している。 ――2019年5月にりそな銀行で同様の問題が発
東京新聞の望月衣塑子記者(写真/小山幸佑)この記事の写真をすべて見る 自民党総裁選出場会見で、菅氏に質問をする望月記者(C)朝日新聞社 イチゴ農家の生まれ、集団就職で上京、段ボール工場に住み込み、秘書として長い下積み、実はパンケーキ大好き……ここ連日、菅義偉官房長官の“美談”が数多く報じられるようになった。これも一つの「顔」なのだろう。だが、会見で疑惑を追及されると「指摘はあたらない」「全く問題ない」など、記者の質問にまともに答えようとしない姿勢もまた菅氏の本質的な「顔」であることを忘れてはならない。はたして、菅氏が首相になった際には、こうした態度は改められるのか。官房長官会見で菅氏と数々の“バトル”を繰り広げてきた東京新聞の望月衣塑子記者に聞いた。 【写真】会見で菅氏を追求する望月記者 * * * ――すでに自民党内の5派閥が支持を表明していることもあり、「菅義偉首相」の誕生が濃厚で
早稲田大学・水島朝穂教授(c)朝日新聞社この記事の写真をすべて見る 「安倍首相、辞任の意向固める」 【写真】西日本豪雨の最中に“飲み会”をしていた安倍首相と側近たちの写真はこちら 衝撃のニュースが一斉に報じられたのは8月28日、午後2時過ぎのことだ。同日夕方の会見で、安倍首相は正式に辞任を表明した。辞任の理由については、「6月の定期健診で、(持病の潰瘍性大腸炎の)再発の兆候がみられると指摘を受け」たとし、「体力が万全でないなか、政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません」と説明した。 長期政権の突如の幕切れ。約7年8カ月続いた政権下では、特定秘密保護法や安全保障関連法の強行採決で、国民の意見を二分することもあった。「森友学園」や「加計学園」の問題も、いまだ疑惑は残ったまま。最近では、前東京高検検事長の黒川弘務氏の定年延長を閣議決定したことや、河井克行・案里夫妻の公職選挙法違
頭に装着した「アイスラッガー」というブーメランを敵に投げつける戦い方が特徴的で、1967〜1968年に放送。ウルトラマンシリーズの中で、もっとも人気があるキャラクターの一つだ。 正義の宇宙人が巨大化して外敵と戦うという点では、ほかのウルトラマンシリーズと変わらないが、「地球は狙われている」として、宇宙人の地球侵略にテーマを絞った。暴力や退廃的な文化を描いたり、差別問題を扱ったり、子供向けとは思えないほど「社会派のストーリー」が際立っていた。
「“私はあなたの『アイヌ』ではない”」:小田原のどかが見た「ウポポイ(民族共生象徴空間)」今年7月に開業した北海道白老郡白老町の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」。「国立アイヌ民族博物館」「国立民族共生公園」「慰霊施設」によって構成されるこの国立施設が誕生した背景を踏まえ、「語られていないこと」について小田原のどかが論じる。 文=小田原のどか 民族共生象徴空間とは何か 2020年7月12日、北海道白老郡白老町に「ウポポイ(民族共生象徴空間)」が開業した。本来は4月24日に開業が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2回の延期を経てのオープンとなった。同施設の「愛称」であるウポポイとはアイヌの言葉で「(おおぜいで)歌うこと」を意味するといい、2018年に一般公募によって決定した。民族共生象徴空間という名称は、閣議決定された内容に基づいている。 「アイヌ文化の復興と発展のナショ
2020年8月15日は、75回目の終戦記念日だ。そして8月6日には広島に、9日には長崎に原子爆弾が投下された。戦争を知る人がどんどん少なくなるからこそ、私たちはその現実を語り継ぐ必要がある。しかし「戦争」を題材とした映画やドラマが、必ずしも「史実」とは限らない。作られた時代の背景も踏まえて考証することで、私たちは「戦争」をより深く感じ取ることができるはずだ。 ジャーナリストの佐々木俊尚さんが戦後に作られた映画を分析していく「映画から見る戦後史」、今回は2016年に公開され、大絶賛を浴びた『この世界の片隅に』にたどり着くまでの作品を紐解いていく。 戦死した兵士たちは、 戦後の日本を豊かだと思うのか 1935年(昭和10)生まれの倉本聰が脚本を書いた『歸國』という戯曲がある。2009年に初演され、2010年にはテレビドラマになった。アジア太平洋戦争で戦死した日本軍兵士たちの英霊が、60余年ぶり
新型コロナウイルスの感染終息は、まだ見えません。昨年12月に中国・武漢市で報告された原因不明の肺炎は、「COVID-19」(新型コロナウイルス感染症)と名付けられ、いまや世界中に拡散。5月13日午前10時半現在、全世界の感染者は426万人を超え、死者も29万人以上を数えています(ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター集計)。日本でも3月下旬以降の感染者急増を受け、政府が全国を対象に「緊急事態宣言」を出して、感染拡大防止へ向けて外出自粛などの徹底を国民に呼びかけています。一部地域では期限前の解除も取りざたされますが、新型コロナウイルスをめぐって、これまでに「どんなことがあったか」を振り返っていきます。 【動画】「他人と距離、手洗い、マスク」 専門会議が予防「3原則」発表 新型コロナウイルスに関する発表が厚生労働省のリリースに初めて登場したのは2020年1月6日のことでした。 そこに
新型コロナ 尾身茂氏ら専門家3人 退任にあわせ3年半を総括 2023年9月14日 政府の委員として新型コロナウイルス対策に当たってきた尾身茂さんなど専門家3人が、退任にあわせて記者会見し、感染対策と社会経済活動の両立の難しさなどこの3年半の活動を振り返りました。 マスク着用 “3月13日からは個人の判断で” 政府分科会が了承 2023年2月10日 新型コロナ対策としてのマスクの着用について、専門家でつくる政府の分科会は、3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねる方針を了承しました。政府はこのあと、持ち回りの対策本部で正式に決定します。 政府分科会 尾身会長が新型コロナに感染 発熱せきなど症状なし 2022年12月12日 新型コロナ対策にあたる政府分科会の尾身茂会長が新型コロナウイルスに感染しました。尾身会長によりますと、軽いけん怠感を覚え、12月12日にPCR検査を受けたところ陽性
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