「東京地裁の伊達判決は、政府内部でもまったく予想されておらず、日本国内に当初どきっとさせるような衝撃を広げた」―。在日米軍の駐留を憲法違反とした伊達判決(一九五九年)に関する米政府解禁文書は、日米支配層が違憲判決にいかに驚愕(きょうがく)したかが生々しく描かれています。今月十七日、名古屋高裁によるイラク派兵違憲判決が出たばかりでもあり、支配層の反応を考えるうえで非常に示唆的です。 伊達判決で日米支配層が恐れたのは、(1)同年四月の重要知事選や夏の参院選などへの政治的影響(2)日米安保条約改定交渉を複雑にしかねない(3)左翼勢力に法的対抗手段を与えかねない―などです。そのために、最高裁で早期に判決を下し、伊達判決を否定することに躍起となりました。 なかでも重大なのは、米側が行政府ばかりか最高裁にまで内政干渉の手をのばしたことです。 当時のマッカーサー米駐日大使と「内密の話し合い」をもった田中