その1はこちら。 本文 あの晩、私たちはぐるぐると当てもなく三時間ほど歩きまわりました。 セキゼキさん(仮名)は落ち着いたのか、それとも疲れたのか、「もうダメだ、早く終わりたい」と繰り返すのをやめ、黙々と歩くようになっていました。 気がつくと、いつの間にか私たちは駅の近くまで戻ってきていました。 「セキゼキさん、とりあえず今日は私の家に帰ろう。お腹も空いてるだろうから何か食べようね?」 セキゼキさんはこっくりと頷き、私はテイクアウトのカレーを買いました。 食事を終えたセキゼキさんは、 「さっきは走って逃げて悪かった。シロイが会社の人と手を組んでると考えるなんて、今思えば自分でも本当におかしかったと思う」 と謝りました。 私はセキゼキさんが自分の異常さに気づけたことが嬉しくてたまりませんでした。この人はストレスで一時的に錯乱していただけで、やっぱり本当におかしくなっているわけじゃなかったんだ