宿泊台帳を見る蝦名さん。キャンセルを伝えるファクス用紙はかさばるほどだ=青森市浅虫の椿館で、矢澤秀範撮影 「このままでは県内の観光業界は全滅だ」。青森市の浅虫温泉で椿館を経営する蝦名(えびな)幸一さん(71)は宿泊台帳を開いた。予約客の名前には多くの横線。キャンセルが相次いだのだ。 【東日本大震災 図説集】各地の被災状況、原発の仕組みや避難区域など 浅虫温泉は市中心部から車で約30分。陸奥湾に面し、かつては「青森の奥座敷」「東北の熱海」と呼ばれてにぎわった。だが団体旅行が廃れて客足は遠のき、温泉街は寂れる一方。昨年12月の東北新幹線新青森駅開業は、待ちに待った復活への足がかりだった。 蝦名さんが組合長の浅虫温泉旅館組合(14軒加盟)では、新幹線開業後の利用客は平年の20〜30%増となった。3月に入り最高時速300キロの新型車両「はやぶさ」が走り、青森観光が脚光を浴びた。椿館の予約は昨