奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は3月28日、化学の常識では鏡像異性体(光学異性体)が絶対できるはずのない鎖のように長く繋がった光学不活性な分子「ポリシラン」(ケイ素系プラスチック)を、オレンジの皮やミントの葉から採れる香料分子「リモネン」オイルに混ぜ、さらにアルコールを常温で加えて10秒かき混ぜるだけで、光学活性高分子が触媒なしで収率100%で自然発生することを発見したと発表した。 また、リモネンの体積比を2%から60%にすると、光学活性が1回から3回反転することも併せて発表された(画像1)。この現象は1953年に提唱されたF.C.フランクの鏡像対称性の破れと増幅理論では説明がつかないため、新理論の登場が待たれるという。 成果は、NAIST物質創成科学研究科高分子創成科学研究室の藤木道也教授、NAISTが大学間学術交流協定を締結している蘇州大学の杨永刚(ヤンヨンガン)教授との国際