市民社会フォーラムMLから
日本のマスコミではコスタリカへの米軍再駐留に関する報道はほとんど無いようですが、日本と同じ平和憲法(軍隊を持たないことを憲法で規定)を持ちながら「人道援助」を名目に米軍再駐留を許したコスタリカ政府の問題は日本の抱えている問題とも通底しています。憲法で外国軍事基地の国内への設置を禁じながら「演習」(実際には「反政府勢力」鎮圧作戦への参加)などの名目で米軍再駐留を認めているフィリピンとも似通った状況です。
コロンビアでもウリベ前政権下での米軍への基地提供協定締結を違憲とする憲法裁判所の判決が出ていますが、なぜ中南米にアメリカの軍隊駐留が必要なのか?「ヤンキー・ゴーホーム!」の声は全ラテンアメリカに広がりつつあります。
内富一
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ラテンアメリカから見ると
http://la-news.cocolog-nifty.com/lanews/2010/08/5386100820-7015.html
「コロンビアの利益」の視点で協定を見直す(100820)
コロンビアのマリア・アンヘル・オルギン外相はラジオ放送の中で、「自国の必要性という光を当てて」アメリカとの軍事協定を見直すと言明した。
「コロンビア国内の米軍基地が、ベネズエラだけでなく南米諸国連合(Unasur) が求めている地域の安寧に何事も引き起こさないよう、協定の検討作業の中で考慮する。」
(100820La Jornada: Se revisara el acuerdo militar con EU "a la luz de los intereses de Colombia": cancilleria)
http://la-news.cocolog-nifty.com/lanews/2010/08/5382100818-fc3d.html
米国との基地協定は憲法違反:コロンビア(100818)
コロンビアの憲法法廷は、2009年10月にアルバロ・ウリベ前政権がアメリカと締結した、軍事基地に関する協定は憲法違反であるとの判断を下した。
法廷は、1年以内に協定を修正し、議会に提出するよう求め、それが行われない場合には無効になるとしている。
コロンビア政府によると、両国間の軍事協定は50年代から存在するもので、これの延長であることから議会の批准を必要ないものとしていた。
<写真:パナマ海峡防衛のための18国訓練>
(100818La Jornada:En Colombia declaran inconstirucional elacuerdo de las bases militares conEU)
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テレビ朝日
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/200823039.html
中米コスタリカに米艦船入港 ベネズエラなど反発(08/23 23:59)
中米コスタリカに、米海軍の大型強襲揚陸艦が初めて入港しました。年末にかけて合わせて43隻の艦船が寄港する予定で、ベネズエラなどが反発しています。
21日、コスタリカに初めて入港したのは、米海軍の大型強襲揚陸艦「イオウジマ」です。入港の目的は、中南米諸国への人道支援プログラムの一環と発表されています。コスタリカとアメリカは麻薬の密輸船を摘発するために沿岸部の警備を合同で行う協定を結んでいて、地元メディアによると、今年12月までに合わせて43隻のアメリカ艦船が寄港する予定です。コスタリカは憲法で軍を廃止しているため、米軍との合同警備に対しては国内からも反対の声が上がっています。一方、南米ベネズエラのチャベス大統領は「コスタリカへの米軍派遣は地域を不安定にするだけだ」と非難しています。
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ラテンアメリカの政治経済
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10631116020.html
米軍、コスタリカにおける「人道援助活動」を開始(8月23日)
(参考:0749「米国海軍、コスタリカに駐留へ」)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10591896711.html
7月2日、コスタリカ議会は、米国海軍の軍艦46隻ほかのコスタリカの港への接舷、米軍兵士の駐留を認める法案を賛成多数で可決、この問題はコスタリカ国内において大きな対立、論争を引き起こしているが、8月21日、この協定に基づく最初の活動、軍艦46隻のうちの1隻である、ヘリ空母LHD-7「イウォ・ジマ(硫黄島)」が、「人道援助活動」として、コスタリカのカリブ海岸の港、プエルト・リモンに接舷した。
イウォ・ジマは、全長257メートル、海軍所属艦艇でイラク戦争にも参加したという。今回は「継続される約束2010」に基づく人道援助活動で、コスタリカのほかにも、ハイチ、コロンビア、グアテマラ、ガイアナ、ニカラグア、パナマ、スリナムに寄港する予定である。コスタリカには8月30日まで停泊する。
イウォ・ジマには、乗組員1,000人、海兵隊500人、医師150人、技術者50人、ボランティア100人が乗船している。リモン地方は、アフリカ系住民が多くをしめるが、コスタリカのなかでも最も貧しい地方である。イウォ・ジマには、4つの手術室、3つの歯科処置室、70の入院患者用のベッドなどを備えており、停泊期間中に300の外科処置、1200人の患者の処置を予定している。また移動診療をブリブリ、シキルレスでおこない、1日あたり250人の患者の診療をおこなうことを想定している。
その一方で、サンホセの米国大使館の説明では、海兵隊員は武器を携行せずに地上における任務を遂行する。計画には、現地警察の遠隔地に向かう場合の、また応急処置などの訓練を実施するとされている。イウォ・ジマには、物資供給のためのヘリコプター、H-46が6機配備されている。
コスタリカと米国のあいだでの協定の全体では、期間は7月1日から12月30日までとなっており、軍艦46隻、兵士7,000人、武装ヘリ200機、ハリアーAV-8B戦闘機10機などとなっており、7月2日付米国国務省の覚書では、この期間、米国軍隊はコスタリカ内における完全な移動の自由、必要と考えられる行動の自由が認められたものと考えられている。もちろん作戦は、麻薬組織との戦いとされている。
コスタリカのホセ・マリア・ティヘリーノ安全相は、米軍兵士7,000人は、なにも一度に来るというわけではない、と説明している。駐コスタリカのアン・S・アンドリュー米国大使は、軍艦46隻の数字が知れ渡ることになったが、コスタリカへの物資補給のために寄港する軍艦は10隻から20隻のあいだだろう、などと反発を鎮めようとする目的での発言をおこなっている。
やはり最初は、医療施設が皆無のような貧しい地方への無料での、「人道援助活動」がおこなわれる。リモン市長のエドゥアルド・バルボッサは、イウォ・ジマの医療活動に感謝して述べた、「みなさんが私たちにたいしておこなってくれることは、とっても大きなことなのです」。
その一方で、野党、社会組織は、今回の米軍の駐留を憲法に違反するとして、協定の無効を要求し憲法裁判所(CC)に訴えた。コスタリカに軍隊が存在することは、憲法に違反するのだ。自国の軍隊は違法で、外国の軍隊なら合法などとはおかしな論理だろう。闘いはまだ始まったというところにある。(0792)
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足立力也さんから
この問題に関しては、9月10日をめどにレポートを書く予定です。
まだ旅から帰っておらず、調べる余裕がないので遅れていますが、
当然のことながら専門家としては伝えるべきことが山ほどあります。
今それを開陳できるほど余裕がないのですが、
ひとつだけキモを挙げると、これはコスタリカにとって
歴史的大転換となる出来事だということです。
1821年の独立以来、国家防衛以外の目的に
公式に外国軍を受け入れるのは初めてのことになるからです。
国家防衛のためであっても、公式には1867年(だったかな)
以来になります。
(非公式にとなるといくつか事件があって議論がありますが)
しかし、まだこれは結論が出た事件ではありません。
もし違憲判決が出たら、政府はそれに従う義務があるからです。
それでも、政府は強硬突破するかもしれません。
分からないとはいえ、予断を許しません。
憲法小法廷の7人の判事たちも、
苦しい判断を迫られることになるでしょう。
いずれにしても、憲法小法廷の動向が今後の鍵を握っています。
取り急ぎ
足立@仙台
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日本のマスコミではコスタリカへの米軍再駐留に関する報道はほとんど無いようですが、日本と同じ平和憲法(軍隊を持たないことを憲法で規定)を持ちながら「人道援助」を名目に米軍再駐留を許したコスタリカ政府の問題は日本の抱えている問題とも通底しています。憲法で外国軍事基地の国内への設置を禁じながら「演習」(実際には「反政府勢力」鎮圧作戦への参加)などの名目で米軍再駐留を認めているフィリピンとも似通った状況です。
コロンビアでもウリベ前政権下での米軍への基地提供協定締結を違憲とする憲法裁判所の判決が出ていますが、なぜ中南米にアメリカの軍隊駐留が必要なのか?「ヤンキー・ゴーホーム!」の声は全ラテンアメリカに広がりつつあります。
内富一
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ラテンアメリカから見ると
http://la-news.cocolog-nifty.com/lanews/2010/08/5386100820-7015.html
「コロンビアの利益」の視点で協定を見直す(100820)
コロンビアのマリア・アンヘル・オルギン外相はラジオ放送の中で、「自国の必要性という光を当てて」アメリカとの軍事協定を見直すと言明した。
「コロンビア国内の米軍基地が、ベネズエラだけでなく南米諸国連合(Unasur) が求めている地域の安寧に何事も引き起こさないよう、協定の検討作業の中で考慮する。」
(100820La Jornada: Se revisara el acuerdo militar con EU "a la luz de los intereses de Colombia": cancilleria)
http://la-news.cocolog-nifty.com/lanews/2010/08/5382100818-fc3d.html
米国との基地協定は憲法違反:コロンビア(100818)
コロンビアの憲法法廷は、2009年10月にアルバロ・ウリベ前政権がアメリカと締結した、軍事基地に関する協定は憲法違反であるとの判断を下した。
法廷は、1年以内に協定を修正し、議会に提出するよう求め、それが行われない場合には無効になるとしている。
コロンビア政府によると、両国間の軍事協定は50年代から存在するもので、これの延長であることから議会の批准を必要ないものとしていた。
<写真:パナマ海峡防衛のための18国訓練>
(100818La Jornada:En Colombia declaran inconstirucional elacuerdo de las bases militares conEU)
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テレビ朝日
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/200823039.html
中米コスタリカに米艦船入港 ベネズエラなど反発(08/23 23:59)
中米コスタリカに、米海軍の大型強襲揚陸艦が初めて入港しました。年末にかけて合わせて43隻の艦船が寄港する予定で、ベネズエラなどが反発しています。
21日、コスタリカに初めて入港したのは、米海軍の大型強襲揚陸艦「イオウジマ」です。入港の目的は、中南米諸国への人道支援プログラムの一環と発表されています。コスタリカとアメリカは麻薬の密輸船を摘発するために沿岸部の警備を合同で行う協定を結んでいて、地元メディアによると、今年12月までに合わせて43隻のアメリカ艦船が寄港する予定です。コスタリカは憲法で軍を廃止しているため、米軍との合同警備に対しては国内からも反対の声が上がっています。一方、南米ベネズエラのチャベス大統領は「コスタリカへの米軍派遣は地域を不安定にするだけだ」と非難しています。
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ラテンアメリカの政治経済
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10631116020.html
米軍、コスタリカにおける「人道援助活動」を開始(8月23日)
(参考:0749「米国海軍、コスタリカに駐留へ」)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10591896711.html
7月2日、コスタリカ議会は、米国海軍の軍艦46隻ほかのコスタリカの港への接舷、米軍兵士の駐留を認める法案を賛成多数で可決、この問題はコスタリカ国内において大きな対立、論争を引き起こしているが、8月21日、この協定に基づく最初の活動、軍艦46隻のうちの1隻である、ヘリ空母LHD-7「イウォ・ジマ(硫黄島)」が、「人道援助活動」として、コスタリカのカリブ海岸の港、プエルト・リモンに接舷した。
イウォ・ジマは、全長257メートル、海軍所属艦艇でイラク戦争にも参加したという。今回は「継続される約束2010」に基づく人道援助活動で、コスタリカのほかにも、ハイチ、コロンビア、グアテマラ、ガイアナ、ニカラグア、パナマ、スリナムに寄港する予定である。コスタリカには8月30日まで停泊する。
イウォ・ジマには、乗組員1,000人、海兵隊500人、医師150人、技術者50人、ボランティア100人が乗船している。リモン地方は、アフリカ系住民が多くをしめるが、コスタリカのなかでも最も貧しい地方である。イウォ・ジマには、4つの手術室、3つの歯科処置室、70の入院患者用のベッドなどを備えており、停泊期間中に300の外科処置、1200人の患者の処置を予定している。また移動診療をブリブリ、シキルレスでおこない、1日あたり250人の患者の診療をおこなうことを想定している。
その一方で、サンホセの米国大使館の説明では、海兵隊員は武器を携行せずに地上における任務を遂行する。計画には、現地警察の遠隔地に向かう場合の、また応急処置などの訓練を実施するとされている。イウォ・ジマには、物資供給のためのヘリコプター、H-46が6機配備されている。
コスタリカと米国のあいだでの協定の全体では、期間は7月1日から12月30日までとなっており、軍艦46隻、兵士7,000人、武装ヘリ200機、ハリアーAV-8B戦闘機10機などとなっており、7月2日付米国国務省の覚書では、この期間、米国軍隊はコスタリカ内における完全な移動の自由、必要と考えられる行動の自由が認められたものと考えられている。もちろん作戦は、麻薬組織との戦いとされている。
コスタリカのホセ・マリア・ティヘリーノ安全相は、米軍兵士7,000人は、なにも一度に来るというわけではない、と説明している。駐コスタリカのアン・S・アンドリュー米国大使は、軍艦46隻の数字が知れ渡ることになったが、コスタリカへの物資補給のために寄港する軍艦は10隻から20隻のあいだだろう、などと反発を鎮めようとする目的での発言をおこなっている。
やはり最初は、医療施設が皆無のような貧しい地方への無料での、「人道援助活動」がおこなわれる。リモン市長のエドゥアルド・バルボッサは、イウォ・ジマの医療活動に感謝して述べた、「みなさんが私たちにたいしておこなってくれることは、とっても大きなことなのです」。
その一方で、野党、社会組織は、今回の米軍の駐留を憲法に違反するとして、協定の無効を要求し憲法裁判所(CC)に訴えた。コスタリカに軍隊が存在することは、憲法に違反するのだ。自国の軍隊は違法で、外国の軍隊なら合法などとはおかしな論理だろう。闘いはまだ始まったというところにある。(0792)
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足立力也さんから
この問題に関しては、9月10日をめどにレポートを書く予定です。
まだ旅から帰っておらず、調べる余裕がないので遅れていますが、
当然のことながら専門家としては伝えるべきことが山ほどあります。
今それを開陳できるほど余裕がないのですが、
ひとつだけキモを挙げると、これはコスタリカにとって
歴史的大転換となる出来事だということです。
1821年の独立以来、国家防衛以外の目的に
公式に外国軍を受け入れるのは初めてのことになるからです。
国家防衛のためであっても、公式には1867年(だったかな)
以来になります。
(非公式にとなるといくつか事件があって議論がありますが)
しかし、まだこれは結論が出た事件ではありません。
もし違憲判決が出たら、政府はそれに従う義務があるからです。
それでも、政府は強硬突破するかもしれません。
分からないとはいえ、予断を許しません。
憲法小法廷の7人の判事たちも、
苦しい判断を迫られることになるでしょう。
いずれにしても、憲法小法廷の動向が今後の鍵を握っています。
取り急ぎ
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