○和歌山県立博物館 特別展『黄河と泰山-中華文明の源と世界遺産-』(2013年9月14日~10月20日)
東京に住んでいると、毎年1回くらい中国の博物館が出陳協力する考古文物展が開かれるのは、当たり前のように思っていた。和歌山でこんな企画があるのは珍しいと思ったが、和歌山県と山東省は友好協定を締結しており、1998年にも同館は特別展『中国・山東省の至宝』を開催している。和歌山県と山東省って、徐福の縁なのかな。秦の始皇帝の命を受けて、不老不死の霊薬を求めて船出した徐福の廟(徐福公園)が新宮市にあるのだ。
山東省は、広い中国の中でも私の好きな地域のひとつだ。古代から日本や朝鮮半島との関係が深く、文化的な親近性を強く感じる地域である。泰山や曲阜の孔子廟を含むツアーで山東省に行ったのは、もう15年くらい前になるだろう。泰山のふもとの泰安市から、きれいな泰山が見えていたことを思い出すが、町の風景はずいぶん変わっただろうなあ…。夜道の暗い、まだまだ田舎町だった。
展示は、山東博物館、山東省文物考古研究所等が所蔵する文物、約80件による。小規模な展示だが、新石器時代の土偶(?)から明清の工芸品まで、つまみ食い的に一気に通覧できるのは効率的だ。最近の中国の博物館は、非常に設備がよくなったが、複製なのか現品なのか、よく分からないことがある。その点、日本の博物館のほうが安心して見られる。非常に心惹かれていたのは、青州市の龍興寺址から出土した仏立像。ポスターなどに写真が使われているものだが、思ったよりも「寸足らず」で小さかった。でも無駄な装飾がなく、穏やかで静謐な表情は日本人好みと言えるだろう。
青州香山漢墓から出土した人物俑、馬俑も面白かった。人物俑は小型だが、服装、髪型、ポーズなどが多様。馬俑は脇腹に描かれた房のような装飾品が、後ろになびくように表現されており、動きを感じさせる。脚が失われているのが惜しい。プリプリした筋肉質の馬の尻がリアルだと思った。調べてみたら、2006年に発掘されたものらしい。以下に中国語のニュースサイトへのリンクを貼っておく。後者に写真あり。
・新華網(2006/8/8):山東青州香山漢墓大型陪葬坑出土千余件彩繪陶俑
・文化中国(2010/5/10):青州香山漢墓出土大量文物 彩色俑尤為珍貴(圖)
中国は、21世紀になっても、まだまだ考古学的に何が出てくるか分からない国だ。済南市の祝甸遺跡から出土した胡人俑(かなり写実的と思ったら元代のもの)、八里窪北朝墓から出土した人物武人俑なども面白かった。会場で借りた音声ガイドでは「XX年の道路工事の際に発見されました」みたいな説明も一部にあったが、できれば図録に全て出土年を記載してほしかった。
泰山石刻の拓本は、正統派の漢字の美しさが感じられて満足。民国時代の泰山娘娘の版画、それから泰山天街のお店の看板だったという鸚鵡(仲良く並んだ二羽)の木製の置物も面白かった。
映像コーナーでは、山東省の紹介ビデオが流れていたが、ちらっと映った山東博物館のゴージャス感に圧倒された。記憶にないと思ったら、2010年11月にオープンした新館だった。行ってみたい。それと、野外劇場で行われているという「封禅大典ショー」の映像には笑ってしまった。中国人、こういうの好きだよなあ。私も嫌いじゃない。見てみたい。
おまけ:午前中で展示を見終わり、JR和歌山→橋本乗換→南海電鉄で、高野山に移動。
乗りたかった「天空」に乗車。全席事前予約制と聞いていたけど、空席があれば当日券も販売するそうだ。
東京に住んでいると、毎年1回くらい中国の博物館が出陳協力する考古文物展が開かれるのは、当たり前のように思っていた。和歌山でこんな企画があるのは珍しいと思ったが、和歌山県と山東省は友好協定を締結しており、1998年にも同館は特別展『中国・山東省の至宝』を開催している。和歌山県と山東省って、徐福の縁なのかな。秦の始皇帝の命を受けて、不老不死の霊薬を求めて船出した徐福の廟(徐福公園)が新宮市にあるのだ。
山東省は、広い中国の中でも私の好きな地域のひとつだ。古代から日本や朝鮮半島との関係が深く、文化的な親近性を強く感じる地域である。泰山や曲阜の孔子廟を含むツアーで山東省に行ったのは、もう15年くらい前になるだろう。泰山のふもとの泰安市から、きれいな泰山が見えていたことを思い出すが、町の風景はずいぶん変わっただろうなあ…。夜道の暗い、まだまだ田舎町だった。
展示は、山東博物館、山東省文物考古研究所等が所蔵する文物、約80件による。小規模な展示だが、新石器時代の土偶(?)から明清の工芸品まで、つまみ食い的に一気に通覧できるのは効率的だ。最近の中国の博物館は、非常に設備がよくなったが、複製なのか現品なのか、よく分からないことがある。その点、日本の博物館のほうが安心して見られる。非常に心惹かれていたのは、青州市の龍興寺址から出土した仏立像。ポスターなどに写真が使われているものだが、思ったよりも「寸足らず」で小さかった。でも無駄な装飾がなく、穏やかで静謐な表情は日本人好みと言えるだろう。
青州香山漢墓から出土した人物俑、馬俑も面白かった。人物俑は小型だが、服装、髪型、ポーズなどが多様。馬俑は脇腹に描かれた房のような装飾品が、後ろになびくように表現されており、動きを感じさせる。脚が失われているのが惜しい。プリプリした筋肉質の馬の尻がリアルだと思った。調べてみたら、2006年に発掘されたものらしい。以下に中国語のニュースサイトへのリンクを貼っておく。後者に写真あり。
・新華網(2006/8/8):山東青州香山漢墓大型陪葬坑出土千余件彩繪陶俑
・文化中国(2010/5/10):青州香山漢墓出土大量文物 彩色俑尤為珍貴(圖)
中国は、21世紀になっても、まだまだ考古学的に何が出てくるか分からない国だ。済南市の祝甸遺跡から出土した胡人俑(かなり写実的と思ったら元代のもの)、八里窪北朝墓から出土した人物武人俑なども面白かった。会場で借りた音声ガイドでは「XX年の道路工事の際に発見されました」みたいな説明も一部にあったが、できれば図録に全て出土年を記載してほしかった。
泰山石刻の拓本は、正統派の漢字の美しさが感じられて満足。民国時代の泰山娘娘の版画、それから泰山天街のお店の看板だったという鸚鵡(仲良く並んだ二羽)の木製の置物も面白かった。
映像コーナーでは、山東省の紹介ビデオが流れていたが、ちらっと映った山東博物館のゴージャス感に圧倒された。記憶にないと思ったら、2010年11月にオープンした新館だった。行ってみたい。それと、野外劇場で行われているという「封禅大典ショー」の映像には笑ってしまった。中国人、こういうの好きだよなあ。私も嫌いじゃない。見てみたい。
おまけ:午前中で展示を見終わり、JR和歌山→橋本乗換→南海電鉄で、高野山に移動。
乗りたかった「天空」に乗車。全席事前予約制と聞いていたけど、空席があれば当日券も販売するそうだ。