(写真)国家憲兵の暴動対応部隊(上)と、その輸送車(下)
(その2へ戻る)
ところで、こうしたデモにつきものなのが、デモとは無関係な一部の若者らによる破壊行為。パリでは大規模デモが起こるたびに百人単位の逮捕者が出ていますが、最近ではその一部無法集団による蛮行もエスカレート。自動車への放火は勿論、デモ参加者に襲い掛かって携帯電話を盗んだり、商店のガラスを割って略奪を働いたりとやりたい放題になっています。
リヨンでも、今回のデモに際しては、警察側(国家憲兵)も念のため人員を配置。広場から一歩入った路地裏に警察車両と暴動鎮圧部隊を配備し、警戒にあたっていました(写真)。彼らは日本の機動隊のものよりも防護範囲が広そうなプロテクターを着け、ヘルメットとガスマスクを持ち、透明な盾(ギリシャ・ローマ時代の盾によく似ている)を持ち、路地裏や共和国通りの一角で十数人が固まって待機。拳銃武装した私服警察官も配置され、それなりに物々しい雰囲気を漂わせていました。
もっとも、リヨンに関しては、デモは全体としては平静で、ワラワラ集まった野次馬も含めてどちらかというと一種の「お祭り」のような雰囲気。ベルクール広場に到着したデモ隊はそのまま三々五々解散し、その広場でも太鼓を演奏している若者グループやジャグリングの腕を見せている学生、ただ何となくデモを見物している人などが入り混じっていました。広場東側で白い煙がモクモク上がっていたので「すわ、放火か?」と思ったものの、近づいて見ると、ケバブサンドを売る白い屋台ワゴン車の煙突から出ているものと判明。それ以外にも3~4軒の出店が散らばり、午前中のデモ行進で腹を空かせた参加者に食べ物を売っていました。
この日に限らず、リヨンは都市の規模、大学の数の割りには一般にデモ参加者は少なく(数の上ではグルノーブルやクレルモン・フェランのほうが多い)、それだけここが平穏な街であると言えます。前述した警察の鎮圧部隊も、広場の大きさやデモ隊の数からするとかなり少なく(数十人規模)、とても広場全体を管制できる人数は居ませんでしたが、それで足りているあたり、リヨンの平穏さを現しているのかもしれません。
機会があったら、時間のある今のうちに、デモ隊観察をオススメします。
ある意味、いい経験になりますよ。
それにしても、リヨンは都市規模に比べて、マニフが少ない。グルノーブルやクレルモンフェラン、ボルドー、ナント、リールあたりのほうが騒いでいる人の数が多い気がします。
それでは。