旅限無(りょげむ)

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人騒がせなミスである!

2005-08-02 20:01:37 | 社会問題・事件
■夏休みに入って多くの人が帰省や旅行に動き回る時に、国内航空路の中心になっている羽田空港が目を奪われるのはとても困る事です。どうやら、電気回路の加熱を示すサインを見落としただけの下らない停電事故らしいのですが、北京で開催中の六カ国協議で北朝鮮への電力提供に関してモメているものですから、とても嫌な気持ちになってしまいましたぞ。

埼玉県所沢市の国土交通省東京航空交通管制部によると、午前11時33分ごろ、羽田空港の管制を通じて「回線が断した」と連絡が入った。このため、離陸予定の航空機に対して、「上空での待機」を指示するとともに、別の空港への着陸の振り分けを促したという。午後零時24分ごろ、羽田空港より復旧の連絡が入ったという。溜池邦博次長は「24機を待機させ、15機を成田や中部へ振り分けた。こちらとしては事故もなく、的確な振り分けができたと思う」と緊迫した声で話した。
 同管制部では洋上を含む東北地方から中国地方までの日本が管轄する空域の約70%を担当し、各空港に離着陸したり管轄空域を通過したりする航空機に対し、航空路管制と進入管制をしている。
毎日新聞 2005年8月2日

■折りしも欧州の先物市場で原油価格が60ドルを突破した日ですから、すべての交通機関がコスト削減競争の中で燃料費の高騰に過敏になっているのですから、ぎりぎりの航空燃料で飛来する旅客機が沢山飛んでいるのですぞ!直ぐに着陸する予定で降下し始めていた飛行機は、突然の振り替えなど命じられたら燃料計を睨み付けて真っ青になってしまいます。燃料切れで墜落などという貧乏ったらしい大事故が起きなかったのがせめてもの救いですなあ。航空管制能力を奪われたら民間であろうと航空自衛隊であろうと、完全にアウト!になってしまいますから、もしも、どこぞの物騒な国が送り込んだ破壊工作員がプロの腕前を見せたのならば、切断場所を察知される前に逃げ去って完全犯罪が成立してしまいますなあ。携帯兵器のスティンガー・ミサイルなど持ち込まないでも数百人の乗客を乗せた旅客機がバタバタと落ちてしまいます。本当にテロでない事を祈るばかりです。

■ちょっと古い話なのですが、結局真相が解明されないまま忘れられた送電線に対するテロ事件が有ったことを思い出してしまいました。


四国電力鉄塔倒壊事件
 1998年2月20日、坂出市の聖通寺山にある四国電力の送電用鉄塔(高さ73メートル)が人為的にボルトを抜かれて倒壊した。付近の約一万七千戸が停電、都市ガスも約九千戸で供給が止まり、番の州工業地帯の工場が操業停止に追い込まれたほか、交通信号機約60基が停止するなどの被害が出た。動機が謎に包まれ、物証が乏しいことなどから捜査は難航。威力業務妨害など三つの罪が2001年2月に時効となり、残る電気事業法違反も今年2月に時効を迎えた。
 2003年5月18日四国新聞

■この時には不思議な光景がテレビで放送されて、全国的に大騒ぎになったのでしたが、結局、愉快犯なのか過激派の犯行なのか、さっぱり分からないまま幕引きとなりました。その後、白装束のパナウェーブとか言うカルト団体との関連を匂わす犯行声明が出されるボルト抜き取り事件なども置きましたが、それとの関連は不明ながら、大規模な送電障害を狙った犯行は何度も起きていたようなのです。北朝鮮の工作員による示威行為ではないのか?という仮説を立てた人もいたのですが、確かに、この送電妨害事件が始まった年代が意味深なのですなあ。


過去20年間で7カ所計8件 類似事件
 送電鉄塔のボルトが抜き取られるという事件や事故は全国各地で起きていた。報道機関が全国の鉄塔の状況を報じたのを受け、資源エネルギー庁が電力11社を対象に実施した緊急調査によると、抜き取り被害が確認されたのは、今回の事件を含めて過去20年間に7カ所で計8件を数えている。
 中国電力3件、関西、四国電力各2件、東京電力1件がその内訳。過激派による犯行から、悪質ないたずらとみられるものまで、手口や被害状況は多岐にわたっている。
 全国には約27万基の鉄塔があり、うちフェンスなどで囲われているのは約13%。90%近くが“むき出し”のまま存在している事実も分かった。事態を重くみた同庁はボルトの取り外しを困難にする安全対策を検討するよう電力各社に要請。各社は既に、ボルト接合部分の溶接やコンクリートで固めるなどの新たな方策を報告。四国電力は19日から破壊防止作業に着手している。
 四国電力管内では、坂出のほかに8年2月から9年5月にかけ、東讃地区の鉄塔5基でボルトや支柱の補強材などが取り外されていた事実が、報道機関の指摘によって、同社が調査した結果、判明した。捜査本部は、今回の事件との関連性は薄いとみている。
 1998年3月23日四国新聞

■この記事の20年前というと、1978年になります。北朝鮮の拉致犯罪が一番盛んだった年と一致していませんかな?狙われているのが西日本に集中しているのも気になりますし、専門家も舌を巻くような手際の良さと捜査に利用できる遺留品が全然見つからないなど、とても不思議な連続犯行なのですなあ。この頃から、コンピュータ技術が急速に発達して日本がIT時代に入り始めているので、電気の遮断はエネルギーと同時に情報を断ち切る効率の良い攻撃方法でもあるので、とても嫌な感じのする事件でした。そんな訳で、とうとう日本の中枢で誰かが送電遮断作戦を実施したのか?と思ってしまったのでした。でも、最近トボケたミスを重ねている羽田空港の管制官が起こした単なるうっかりミスらしいので、ちょっと安心しました。とは言っても、こんな恥さらしなミスばかり起こしていると、将来の成田空港閉鎖を実施する時に日本の空を管制できるのか、とても心配になりますぞ!テロも怖いのですが、巨大システムを使いこなせないタワケ者も怖いですなあ。

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