東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して2024年10月に発足した東京科学大学。25年春に新大学となって初めての新入生を受け入れる。日本の科学技術力低下が指摘される中、医療系と理工系を融合させた医工連携で新産業創出を目指す。企業の期待も高まる中、大竹尚登理事長に話を聞いた。
昨秋に発足した東京科学大学は、25年春から新入生の受け入れが始まります。改めて統合の意義を教えてください。
東京科学大学の大竹尚登理事長(以下、大竹氏):米マサチューセッツ工科大学(MIT)のような大学を目指すと言ったが、ゴールはワールドクラスの大学になることだ。カーボンニュートラル(温暖化効果ガス排出実質ゼロ)、高齢化に伴う労働人口の減少など、社会課題が現出している。社会問題に世界の大学と共に向き合う大学になりたい。
そのために大学としての研究力を高める必要がある。科学技術の進歩は日本よりも中国や欧米の方が速いのは事実であり、危機感を抱いている。それに対して日本として、これまでダイナミックな施策を打てていなかった。そうした危機感から東京工業大学と東京医科歯科大学の統合を決断した。スタートアップを含め新産業を創出し、日本の競争力を取り戻したい。
日本人ノーベル賞受賞者は減る可能性
中国の技術進歩は相当速いという認識でしょうか。
大竹氏:はい。このほど中国に行ったが、自分たちの技術に自信を持ち、研究施設も人材も充実している。
中国の科学技術力は10年ほど前から高まっている。今後ノーベル賞において成果が反映されることを考えると、相対的に日本人の受賞確率は減るだろう。しかし有能な日本人研究者はいる。卑下する必要はない。
【初割・2/5締切】お申し込みで…
- 専門記者によるオリジナルコンテンツが読み放題
- 著名経営者や有識者による動画、ウェビナーが見放題
- 日経ビジネス最新号13年分のバックナンバーが読み放題