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2025年1月6日月曜日

NHK大河ドラマが平安時代から江戸時代へとシフトするので、自分なりにアタマを切り替えておくために『『源氏物語』を江戸から読む』(野口武彦、講談社学術文庫、1995)を読んでみた

 

 ことし2025年のNHK大河ドラマは「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」。江戸の歓楽街・吉原を舞台に18世紀後半の江戸の出版プロデューサー蔦屋重三郎を描いたものだ。花魁ったいのカラフルな衣装は、平安時代に劣らず美しい。 

昨年2024年の「光る君へ」から、時代はいきなり一気に平安時代から江戸時代へと飛ぶことになるが、ことしのテーマは面白いので昨年に引き続き視聴するつもり。 

その前に自分なりに、平安時代から江戸時代へとアタマを切り替えておきたいと思い、昨年末から年初にかけて『『源氏物語』を江戸から読む』(野口武彦、講談社学術文庫、1995)を読んでみた。京都から江戸へのシフトでもある。  

この本は、『源氏物語』が江戸時代にどう読まれたのかというテーマで書かれた諸論文を再編集して1冊にしたもの。江戸時代の人間は、どうやら『源氏物語』のことは、「好色もの」として受け取っていたようだ(笑) 

江戸時代前期は元禄時代、俳諧師の井原西鶴の『好色一代男』は、『源氏物語』のパロディ的二次創作でありながら、オリジナリティを打ち出した傑作であり、江戸時代後期の柳亭種彦による『偐紫田舎源氏』もまたそうであった。その他、同様のテーマの二次創作が多数あったらしい。

「好色」というテーマは「不道徳」である、そう主張したのが謹厳な儒者たちであったが、いやいや「好色」とはありのままの人間の本性の発露だと主張したのが、本居宣長に代表される国学者だったわけだ。「もののまぎれ」を「もののあはれ」と読み直したのである。 

そのような江戸時代の思想史を踏まえた『源氏物語』の受容のされ方を論じた本書は、20世紀以降の現代人が『源氏物語』をどう受け取ってきたかを考えるうえでも興味深い。 

古くは『更級日記』での女性たちが「音読」を聞く風景から、近世になって木版による活字本が流通するようになって以降の「黙読」に至るまで、受け取られかたが大きく異なることは言うまでもない。 

古典というものは、それが制作された時代だけでなく、読まれてきた時代で大きく異なる受け取りかたをされてきたものだなと、つくづく思うのである。 

というわけで、時代は江戸時代にワープする。発禁になった『偐紫田舎源氏』の作者で戯作者の柳亭種彦(1783~1842)は、出版プロデューサーの蔦屋重三郎(1750~1797)とは、作家と版元という関係性にあっただけでなく、江戸に生きた同時代人である。 

はたして、ドラマに柳亭種彦は登場するのだろうか? 楽しみだ。 


目 次
まえがき 
第1部 『源氏物語』を江戸から読む 
 最初の密通はいつおこなわれたか/くもる源氏に光る藤原/英才教育のイロニイ/都会文学としての田舎源氏/江戸王朝の栄華の夢 
第2部 江戸源氏学入門
 「もののまぎれ」と「もののあはれ」/注釈から批評へ/「語り」の多声法/古典文学の通俗化/江戸儒学者の『源氏物語』観/「語り手」創造 
初出一覧 
学術文庫版あとがき(1995年)

著者プロフィール
野口武彦(のぐち・たけひこ)
1937年6月28日 - 2024年6月9日。文芸批評家。東京生まれ。早稲田大学を経て、東京大学文学部国文科卒業。同大学院国語国文学科博士課程中退。大学院在学中より小説・評論を発表。1967年(昭和42)には小説「価値ある脚」で東大五月祭賞を獲得している。評論では『三島由紀夫の世界』(1968)、『谷崎潤一郎論』(1973)などを発表し文芸批評家としての評価を得た。1969年からは神戸大学に勤務し、1971年から2年間アメリカのハーバード大学に留学。その後は、専門である江戸思想史に軸足を置きながら、近世から現代に至る文学・文化の様相を斬新(ざんしん)な視点からとらえ直す試みを続けた。著書多数。(コトバンク情報に加筆)


Wikipediaには以下の記述がある

『「源氏物語」を江戸から読む』で、村田春海の著として論じた「源語提要」は、五井蘭洲の著であることを中村幸彦が既に指摘しており・・



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2025年1月5日日曜日

巳年の初詣は遠出せず「藁蛇」のある近所の神社に(2025年1月5日)ー 魔除けの蛇は地域を守る存在

 

 日本人だから、初詣はしておかなくてはならないなと思いつつ、あっという間に1月5日である。 

初詣は7日までにということで、遠出はせずに近所の神社を参詣。本日の午前中のことだ。 その名は「高根神明社」

神楽で有名(?)な神社だが、もともと伊勢神宮に寄進された荘園だった「夏見御厨」(なつみ・みくりや)であったこの地に設置された、平安時代後期からある由緒ある(?)ものらしい。

神社の森の隣の丘には「取掛西貝塚」という一万年前の縄文遺跡の残るこの土地は、弥生時代から村落があることが確認されている。御厨は室町時代まで存在したことが確認されており、江戸時代はこの地は幕府の直轄領であった。

なぜこの神社かというと、鳥居の前の木に「藁蛇」(わらへび)が巻かれているから。巳年でへび年だから、すこしでも蛇にちなんだ神社にしておきたいからね。さすがに三が日は終わっているので、人影は皆無。地域の神社らしく、観光地ではないので静寂なのがよい。 

「藁蛇」は、稲藁(いなわら)で編んだ蛇。魔除けの意味がある。道祖神などとおなじ機能をもたされた、地域を守る「藁蛇」。稲刈りが終わった秋に、あたらしい藁蛇が設置されるので、正月になるとちょっとくたびれているね(笑) 

千葉県船橋市内には、「藁蛇」のある神社はほかにもあって、いくつか実見している。龍なのか蛇なのか、一見しただけではわかりにくいが、ヒゲがないから蛇なだとわかる。

そもそも、奈良の美輪にある大神神社(おおみわじんじゃ)に限らず、日本人の原初的信仰が脱皮する蛇であったことは、民俗学者の吉野裕子氏が説得力ある議論をしている。 

この点については、『蛇 日本の蛇信仰』などを読むといい。そもそも神社のしめ縄は蛇を模したものであり、正月の鏡餅は、とぐろを巻いた蛇の形を模したものだ(!)など、思わずへえ~と言いたくなるような話が満載だ。となると、この藁蛇というのは、素朴な形でのしめ縄の原型といってもいいのかもしれないな、と。




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2025年1月2日木曜日

人生100年時代の「リ・クリエーション」ー 大晦日から元旦にかけて『LIFE SHIFT(ライフシフト)ー 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット、池村千秋訳、東洋経済新報社、2016)を読んで思ったこと(2025年1月2日)

 

 さて、年があけてあらたな年となったわけだが、2025年(巳年)の元旦は昨年とは違って平穏だった。正月とは本来はそうあるはずべきなので、つねにそうであってほしいものである。 

大晦日から元旦にかけてはNHKの「除夜の鐘」生中継以外のテレビ番組はいっさい視聴することなく、「人生100年時代」における生き方について考えていた。 

「人生100年時代」などというフレーズが軽々しく口にするものの、その中身についてはあまり考えていないというのが、わたしに限らず多くの人に共通する状況であると思う。 

昨年2024年も、100歳で大往生したカーター元大統領、98歳のナベツネ氏、94歳のスズキ会長などなど、「アラハン」(=アラウンド・ハンドレッド、つまり100歳前後)の訃報があいついだ。 

ニュースになるような人は、いずれも「生涯現役」を貫いた人ばかりである。「悠々自適の余生」とは無縁の人生であったようだ。いや、そうだからこそ100歳前後まで生き抜くことができたのであろう。とはいえ 「アラ還」のわたしだが、「アラハン」まで生きたいと思っているわけではない。

大晦日から元旦にかけては、実家で正月料理をたべているときる以外は『LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット、池村千秋訳、東洋経済新報社、2016)を読んでいた。意外とスラスラと読める本であった。

原題は、The 100-Year Life といたってシンプルだ。副題は、Living and Working in an Age of Longevity である。「長寿時代の生き方と働き方」。生きることは働くことでもある。 キャリア・ラダー(階段、はしご)が連続していないことを示した、原著のカバーイラストが示唆的だ。




このテーマで日本語版が400ページも必要なのかというのが正直な感想であるが、要は「平均寿命が100歳」となりつつある時代、これまでの「人生設計」はもはや通用しませんよ、という内容である。仕事人生を軸にして、準備期間とリタイア後の3ステージで考える従来型のシナリオではなく、「人生100歳時代」に対応したあたらしい人生シナリオが必要なのだ、と。 

なぜなら、従来型の年齢とライフステージが対応関係ではなくなるからだ。そのことをさして、著者たちはうまい具合に表現している。もはや Stage は age に対応していないのだ、と。英語のダジャレであるが、なかなかうまいな、と思う(笑) 

寿命が伸びれば、伸びた分だけ、さらにあらたなことをしなければならないだけではない。多くの人に共通のライフステージのモデルは機能しなくなり、個々人が自分自身の人生をマネージしていかなくてはならなくなる。
 



自分が読んでいる本(第4刷)の「帯の裏」(上掲写真)には、「こんな生き方をしてはならない」として、いわゆる「べからず集」が載せられている。 

●卒業後すぐに就職し、ずっとおなじ会社で働こうとする 
●永続する企業を目標に起業し、すべてを仕事に捧げる 
●休日をレクリエーション(娯楽)にあてる 

卒業してすぐに就職したが、その後運命に翻弄されて浮き沈みの多いジェットコースター的人生を送ってきたわたしは、起業はしたが一代限りとしているので、上記の2点はクリアしているな(笑)

さて、最後の「レクリエーション」(娯楽)というのが、著者たちが強調するキーワードである。「レクリエーション」(娯楽)ではなく「リ・クリエーション」(再創造)。 おなじスペリングだが Recreation の本来の意味は、後者の「再創造」がである。

「レクリエーション」とは、日々の仕事で疲れた心身をリフレッシュして「再創造」するという意味が本来のものだったのが、単なる「娯楽」に転化してしまったのだ。 

著者たちは、「レクリエーション」(娯楽)ではなく「リ・クリエーション」(再創造)が重要だと強調し、さらに長い人生にわたって、何度も「再創造」する必要があることを説いている。説得力のある主張である。なんども脱皮するヘビの年である巳年にはふさわしい。 

わたし自身も、外部要因が主たる動機であるが、これまで何度も人生を作り直してきた。だが、まだまだ人生は長い(はず)。リフレッシュはもちろん必要であるが、今後も不断の「リクリエーション」(再創造)が必要となるはずだ。 

正月3日間もダラダラしているのは日本だけ。諸外国も元旦は休むが、1月2日から「正常モード」に戻る。だから、わたしもまた正常モードに戻ることにする。「レクリエーション」(娯楽)ではなく「リ・クリエーション」(再創造)! 

2025年は昨年以上に激動の年になることは間違いない。「いまこの瞬間」を集中し、同時に長い道のりをマネージしていくことが 重要だとあらためて感じている次第だ。 


2025年1月2日 佐藤けんいち 


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目 次
日本語版への序文 
 幸せな国、日本/過去のモデルは役に立たない/「若い」「老いている」の概念が変    わる/人生に新しいステージが現れる/パートナーの両方が職をもつメリット/就職、引退の常識が変わる/年金や人口減の問題が和らぐ/ 
序章 100年ライフ
第1章 長い生涯 ― 長寿という贈り物
第2章 過去の資金計画 ― 教育・仕事・引退モデルの崩壊 
第3章 雇用の未来 ― 機械化・AI後の働き方
第4章 見えない「資産」― お金に換算できないもの 
第5章 新しいシナリオ ― 可能性を広げる
第6章 新しいステージ ― 選択肢の多様化
第7章 新しいお金の考え方 ― 必要な資金をどう得るか 
第8章 新しい時間の使い方 ― 自分のリ・クリエーションへ 
第9章 未来の人間関係 ― 私生活はこう変わる
終章 変革への課題  


著者プロフィール 
リンダ・グラットン(Lynda Gratton)
ロンドン・ビジネススクール教授 ロンドン・ビジネススクール教授。人材論、組織論の世界的権威。2年に1度発表される世界で最も権威ある経営思想家ランキング「Thinkers50」では2003年以降、毎回ランキング入りを果たしている。2013年のランキングでは、「イノベーションのジレンマ」のクリステンセン、「ブルー・オーシャン戦略」のチャン・キム&モボルニュ、「リバース・イノベーション」のゴビンダラジャン、競争戦略論の大家マイケル・ポーターらに次いで12位にランクインした。 組織のイノベーションを促進する「Hot Spots Movement」の創始者であり、85を超える企業と500人のエグゼクティブが参加する「働き方の未来コンソーシアム」を率いる。 邦訳された『ワーク・シフト』(2013年ビジネス書大賞受賞)、『未来企業』のほか、Living Strategy, Hot Spots, Glowなどの著作があり、20を超える言語に翻訳されている。 (本書の出版当時のもの)

アンドリュー・スコット(Andrew Scott)
ロンドン・ビジネススクール教授 ロンドン・ビジネススクール経済学教授、前副学長。オックスフォード大学を構成するオール・ソウルズカレッジのフェローであり、かつ欧州の主要な研究機関であるCEPRのフェローも務める。2005年より、モーリシャス大統領の経済アドバイザー。財政政策、債務マネジメント、金融政策、資産市場とリスクシェアリング、開放経済、動学モデルなど、マクロ経済に主要な関心を持つ。 
(本書の出版当時のもの)

日本語版訳者
池村千秋(いけむら・ちあき)
翻訳者。リンダ・グラットンの前作『ワーク・シフト』など、ビジネス・経済書の翻訳を数多く手がける。




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