土地の過去に触れ、歴史とのギャップに人種的な痛みを感じる“リアル・ペイン”はあくまで一個人の意見に過ぎない。しかし「痛み」の主題はある男のトラウマとして再浮上し、最終的にはビンタという身体的なものに変奏、克服される。
おそらく従兄弟でなければ友人にすらなっていないであろう、何一つ噛み合わない二人をひたすら「コミュニケーション」と「尻拭い」の相互補完の反復で見せることで、身内というミニマルな人間関係の齟齬がよく描けていると思います。
これ以上は感情論になるので書かないが、総じて刺さる人には刺さる系の映画。
あと観光映画としても中々優秀で、二人以外の観光客の込み入った描写がないのも良い。無理に詰め込むことなく十分余裕をもった90分。
