案山子

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWNの案山子のレビュー・感想・評価

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)
3.8
拍手の残響や舞台上で歌われていた曲が次のシーンではそのまま劇伴に変わる編集など、アルトマン的な音のオーバーラップが心地いい。
他にも歌唱中にカットが変わると同時に時間も飛び、曲の続きは別の舞台で歌っているという大胆な繋ぎも見られる。

時代背景も最低限の情報で処理していて、伝記映画は基本的に「何を見せるか」よりも「何を見せないべきか」という引き算だと思うので、その点マンゴールドの選球眼は一級品。

またティモシー・シャラメが画面奥に歩いていく縦構図で煙突から出ている煙と、次カットでピアノに置かれたタバコの煙が対応している連鎖も(これは意識してるか分からないが)非常に上手いと思う。
案山子

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