将棋栄誉賞(しょうぎえいよしょう)は、日本将棋連盟に所属する将棋棋士及び女流棋士が、プロ入り後、公式戦女流棋戦通算600勝を挙げた時に達成者に贈られる賞である。1984年に制定された、通算勝ち数に応じて与えられる一つ目の賞である。この後、通算800勝で将棋栄誉敢闘賞、通算1000勝及び通算1200勝で特別将棋栄誉賞、通算1500勝で特別将棋栄誉敢闘賞がそれぞれ達成者に贈られる。

賞の創設は1984年11月。日本将棋連盟60周年の年に行なわれた「第10回将棋の日」式典の第1部として、当時600勝以上達成の棋士9名を表彰した[1][2][3]

受賞者

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通算600勝達成者を達成順に記載する(2024年8月14日時点)。

  • 将棋栄誉賞受賞者:63名(うち女流棋士1名)
  • 通算600勝達成者:64名(うち女流棋士2名、左記2名のうちフリー1名=受賞対象外)
 :現役棋士  :女流棋士
達成
受賞
達成年月日 達成者 達成時の成績
(持将棋を除く)
備考
(※ 通算800勝達成)
0
1 1 - 木村義雄 記録なし 1984年受賞
2 2 1965年00月00日 大山康晴 受賞時600勝以上 1984年受賞
3 3 1977年00月00日 加藤一二三 受賞時600勝以上 1984年受賞
4 4 1977年00月00日 二上達也 受賞時600勝以上 1984年受賞
5 5 1979年00月00日 内藤國雄 受賞時600勝以上 1984年受賞
6 6 1980年00月00日 有吉道夫 受賞時600勝以上 1984年受賞
7 7 1981年00月00日 中原誠 受賞時600勝以上 1984年受賞
8 8 1982年00月00日 米長邦雄 受賞時600勝以上 1984年受賞
9 9 1984年00月00日 花村元司 受賞時600勝以上 1984年受賞
10 10 1986年00月00日 丸田祐三 600勝 620敗(0.492)
11 11 1987年02月24日 大内延介 600勝 388敗(0.607) [4]
12 12 1988年00月00日 森安秀光 600勝 367敗(0.620)
13 13 1988年00月00日 桐山清澄 600勝 389敗(0.607)
14 14 1989年00月00日 加藤博二 600勝 614敗(0.494)
15 15 1989年00月00日 関根茂 600勝 560敗(0.517)
16 16 1991年00月00日 西村一義 600勝 485敗(0.553)
17 17 1991年12月31日 谷川浩司 600勝 294敗(0.671) 初の20代受賞〈当時最年少〉[5]
18 18 1993年00月00日 勝浦修 600勝 478敗(0.557)
19 19 1994年00月00日 森雞二 600勝 464敗(0.564)
20 20 1999年02月10日 羽生善治 600勝 209敗(0.742) [6][7] 最年少・最速・最高勝率
21 21 1999年06月11日 石田和雄 600勝 544敗(0.524) [8][9][10]
22 22 2000年09月22日 森下卓 600勝 319敗(0.653) [11]
23 23 2000年09月23日 青野照市 600勝 475敗(0.558) [11]
24 24 2000年10月00日 田中寅彦 600勝 405敗(0.597)
25 25 2000年00月00日 高橋道雄 600勝 385敗(0.609)
26 26 2003年07月18日 佐藤康光 600勝 313敗(0.657) [12]
27 27 2003年09月05日 淡路仁茂 600勝 525敗(0.533) [13]
28 28 2003年11月21日 南芳一 600勝 423敗(0.587) [14]
29 29 2004年01月15日 森内俊之 600勝 282敗(0.680) [15]
30 30 2004年08月08日 島朗 600勝 445敗(0.574) [16]
31 31 2006年03月10日 中村修 600勝 461敗(0.566) [17]
32 32 2006年07月18日 田中魁秀 600勝 616敗(0.493) [18]
33 33 2007年05月11日 丸山忠久 600勝 290敗(0.674) [19]
34 34 2007年08月31日 阿部隆 600勝 362敗(0.624) [20]
35 35 2007年10月03日 郷田真隆 600勝 318敗(0.654) [21]
36 36 2008年08月08日 中田宏樹 600勝 358敗(0.626) [22]
37 37 2008年10月28日 井上慶太 600勝 419敗(0.591) [23]
38 38 2008年12月16日 塚田泰明 600勝 465敗(0.563) [24]
39 39 2009年01月20日 深浦康市 600勝 281敗(0.681) [25]
40 40 2009年06月09日 小林健二 600勝 580敗(0.508) [26]
41 41 2009年07月10日 屋敷伸之 600勝 340敗(0.638) [27]
42 42 2010年08月06日 土佐浩司 600勝 573敗(0.512) 達成時 七段[28]
43 43 2011年12月09日 中川大輔 600勝 370敗(0.619) [29]
44 44 2012年00月00日 福崎文吾 600勝 604敗(0.498) [30]
45 45 2012年00月00日 日浦市郎 600勝 447敗(0.573) 順位戦B級2組以上の経験がない棋士では初[31]
46 46 2013年00月00日 久保利明 600勝 356敗(0.628) [32]
47 47 2013年00月00日 先崎学 600勝 392敗(0.605) [33]
48 (-) (2015年1月22日) (中井広恵) 600勝 288敗(0.676) 女流初の達成、受賞対象外[34]
49 48 2015年00月00日 脇謙二 600勝 593敗(0.503) [35]
50 49 2016年00月00日 藤井猛 600勝 426敗(0.585) [36]
51 50 2016年11月28日 清水市代 600勝 252敗(0.704) 女流2人目の達成、女流初の受賞[37]
52 51 2017年00月00日 泉正樹 600勝 612敗(0.495) [38]
53 52 2018年00月00日 木村一基 600勝 342敗(0.637) [39]
54 53 2018年00月00日 行方尚史 600勝 381敗(0.612) [40]
55 54 2018年00月00日 三浦弘行 600勝 420敗(0.588) [41]
56 55 2019年00月00日 渡辺明 600勝 313敗(0.657) [42]
57 56 2019年00月00日 山崎隆之 600勝 329敗(0.646) [43]
58 57 2022年00月00日 杉本昌隆 600勝 494敗(0.548) [44]
59 58 2022年00月00日 神崎健二 600勝 560敗(0.517) [45]
60 59 2023年00月00日 佐藤秀司 600勝 516敗(0.538) [46]
61 60 2023年00月00日 畠山鎮 600勝 537敗(0.528) [47]
62 61 2023年00月00日 富岡英作 600勝 645敗(0.482) [48]
63 62 2024年05月22日 豊島将之 600勝 309敗(0.660) [49][50] / 対局数(911局)には持将棋2を含む
64 63 2024年08月14日 神谷広志 600勝 709敗(0.458) [51][52][注 1]
通算600勝達成64名、「将棋栄誉賞」受賞63名(達成時フリーの中井広恵は受賞対象外)
  • プロ入りからの最速受賞は羽生善治が達成している。続いて大山康晴、中原誠、深浦康市、森内俊之と続く[19][25]
  • 土佐浩司は唯一の七段以下の獲得者である。現行の勝数規定では公式戦560勝で八段に昇段するものの、土佐の場合は、勝数規定創設前の四段時に積み重ねた多数の勝数が昇段に反映されず、順位戦規定で五段に昇段した時に勝数規定が創設されたことに伴うものである。

女流棋士の600勝

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女流棋士であっても600勝に達すれば表彰の対象となるが、棋戦の少ない女流棋士で同じ600勝を達成するのは非常に難しく、2015年に中井広恵(フリー)が600勝に到達したのが女流初であり(中井600勝288敗)[34]、2016年に清水市代が女流2人目の600勝に到達した(清水600勝252敗)。中井は600勝達成時点で日本将棋連盟の所属ではなかったため「将棋栄誉賞」の受賞対象とはならず、女流棋士受賞第1号は女流2人目の600勝達成者の清水となった。

2000年代以降、マイナビ女子オープン(2007年)、女流王座戦(2011年)、清麗戦(2019年)、白玲戦・女流順位戦(2020年)と大型棋戦の新設で8大タイトル戦となったため、達成難易度は徐々に低くなってきているものの、女流棋戦の総対局数は、参加人数が多い棋士の公式戦より依然として少ない状況である。そのため、女流棋士が対局数を稼いで600勝を達成するためには、長年に渡って女流タイトル戦の番勝負に多数回登場するレベルの実力が必要となる。

脚注

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出典

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  • 軽部信昭 『将棋界 歴代最強棋士は 徹底分析』 e-Bookland、2011年、p.153
  1. ^ 写真でつづる将棋昭和史』毎日コミュニケーションズ、1987年、250頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
  2. ^ 近代将棋 1984年12月号』218-219頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
  3. ^ 近代将棋 1985年1月号』194-197頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
  4. ^
  5. ^ 近代将棋 1992年3月号「プロ棋界最前線(武者野勝巳)」』近代将棋社、196–199頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
  6. ^ 羽生善治二冠が公式戦通算1000勝(特別将棋栄誉賞)を達成」『日本将棋連盟』2007年12月20日。2007年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  7. ^ 近代将棋 1999年5月号』157頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
  8. ^ 近代将棋 1999年8月号』近代将棋社、188頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
  9. ^ 近代将棋 1999年9月号』近代将棋社、187頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
  10. ^ 記録室日本将棋連盟。2000年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  11. ^ a b 近代将棋』 2000年12月号、近代将棋 / 国立国会図書館デジタルコレクション、187頁https://dl.ndl.go.jp/pid/6047388/1/94 
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  14. ^ 南芳一、通算600勝(将棋栄誉賞)達成」『日本将棋連盟』。2004年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  15. ^ 森内俊之竜王 600勝(将棋栄誉賞)達成/日本将棋連盟からのお知らせ」『日本将棋連盟』2004年1月15日。2004年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  16. ^ 島朗八段、通算600勝を達成(日本将棋連盟からのお知らせ)”. 2004年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月13日閲覧。
  17. ^ 中村修八段、通算600勝を達成(日本将棋連盟からのおしらせ 2006年03月)”. 2006年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月13日閲覧。
  18. ^ 日本将棋連盟からのお知らせ”. 2006年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月21日閲覧。
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  52. ^ 通算成績(2024年8月14日対局分まで、未放映のテレビ対局を除く)|成績・ランキング」『日本将棋連盟』2024年5月23日。2024年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。

注記

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  1. ^ 「既定の成績を挙げ(略)600勝(将棋栄誉賞)を達成」との表記は未放映のテレビ対局の場合に用いられるものであり、該当する棋戦は「第33期銀河戦」の予選対局のみ。

関連項目

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外部リンク

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