アインシュタインの名言は「聴き音読」に最適だという(写真:akg-images/アフロ)アインシュタインの名言は「聴き音読」に最適だという(写真:akg-images/アフロ)

 英語は「世界の共通語だから重要だ」とよく言われる。実際、日本でも小学校から英語教育が始まっている。では、「世界の共通語」とは、具体的にどういうことなのだろうか。 そもそも、英語を共通語としてうまく使うには、どんな学び方があるのか。学校で習った英語を、もっと気軽に活かせる方法はあるのか。 英語を話す世界中の人々は、どのように英語を学び、使っているのか──。

 こうした疑問に答えるのが、ELF(共通語としての英語:English as a Lingua Franca=エルフ)という考え方である。これは、ヨーロッパで生まれた社会言語学の視点から、英語を「暗記するもの」ではなく「使うもの」としてとらえ直すアプローチだ。

 社会言語学者として大学で教える瀧野みゆき氏は、このELF発想の英語の学び方を提案している。従来の「正しさ」へのこだわりから解放され、「英語をすぐに使う」ための道を拓く具体的な学習法とは。

※瀧野みゆき氏の著書『使うための英語 ELF(世界の共通語)として学ぶ』を一部抜粋・編集しました。

名言による聴き音読

 前回の記事では、誰でも始めやすく、しかも効果的な「聴き音読」という英語の発音練習方法を勧め、具体的な方法を紹介した。

 英語の発音の練習は英語に慣れ親しみ、自分で話すことに自信を持ち、さらにリスニングを上達する準備にもなるので、英語の初級から上級者まで誰にも役立つ。難しすぎないので、特に英語に苦手意識を持つ人の英語学習の第一歩として効果的も高いだろう。

「聴き音読」をする時には、その素材の選び方が特に重要になる。英語の言葉のリズムや表現を心地よく楽しみながら、知的にも刺激的な英語の内容を味わえる短い素材を選べば、始めやすく、続けやすいからである。しかも、英語の中身を味わうので、英語を使いながら学ぶELFの発想にも合っている。

 最も手軽で効果的に発音練習を始める方法として、名言(quotes)の『聴き音読』を勧めたい。quotesとは、quotations(引用)の略で、誰かの発言から深い意味が込められた部分を切り取った短い一節、つまり名言である。

 名言は、中身が味わい深いのはもちろん、声に出して読み上げるとリズムや響きがあり、表現も味わいがあるので、朗読の楽しみと発音練習を短時間で手軽に両立できる。