
(川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)
明日にでも人手を確保したい職場にとってはメリットだらけのサービス
いま急速に広がりを見せている「スポットワーク」。利用登録者数は2800万人とも言われ、単体で1000万人に到達しているスポットワーク事業者もあります。一方で「手軽に働けて便利」「使い捨ての労働」など、スポットワークに対する賛否両論も聞かれます。さらには時折、トラブルについても耳にします。
スポットワークは使いやすくて便利なサービスだけに、今後も利用者数は加速度的に広がっていきそうです。すると多くの人たちが利便性の恩恵を享受できる半面、利用者増に比例してトラブルの数も増える可能性があります。できる限りトラブルを回避するには、どのようなポイントに注意すればいいのでしょうか。
スポットワークという言葉は、日々契約を結んで就業する日雇い労働者全体を指すこともありますが、狭義ではおおむね以下の特徴を持つサービスを指します。
① 1日数時間だけなど、短時間・短期間の雇用契約を結ぶ
② スマートフォンのアプリを使って利用できる
③ 履歴書不要など、サービス利用者の手間を最小限に抑えられる
これらの特徴は、職場にも働き手にもさまざまなメリットを提供します。職場側としては、人手不足が慢性化している現状を踏まえると採用手段が増えること自体に大きなメリットがあります。特に突然人員に空きが出て、明日人手が欲しいといった緊急事態にすぐ対処できる点は、他の何ものにも代え難いサービスです。
また、給与支払いや労働条件の通知といった労務管理全般もスポットワーク事業者に任せることができるので、採用周りの工数があまりかかりません。さらに、仕事ぶりを見た上で働き手側も希望すれば、正社員として採用できる可能性もあります。
一方で人員を手配したのにドタキャンされたとか、採用した人材が戦力にならなかったといった事態が起き得る点はデメリットかもしれません。
ただ、それらはスポットワークを利用した時に限らず、自社で直接日雇い労働者を募集した場合にも生じ得るデメリットです。人手確保したい職場にとって、スポットワーク特有と言えるデメリットはあまり見当たらないサービスだと思います。
