ゲスト・ボーカルにCarolineを迎え、LITEが新作を配信限定でリリース!
昨年発表した『For all the innocence』で、シンセサイザーを導入した新しいサウンドを確立したLITEが、早くも新曲として初のボーカル・トラック「arch」を発表する。この曲にゲスト・ボーカルで参加したのは、同じく昨年Caroline名義での5年ぶりとなるアルバム『VERDUGO HILLS』を発表したエレクトロニカの歌姫であり、MICE PARADEのボーカリストとしても知られるキャロライン・ラフキン。その儚くも美しい歌声が、これまでの作品以上に静謐なエレクトロニカ寄りの前半から、徐々にダイナミックなバンド・サウンドへと移っていく「arch」のドラマ性をさらに高めていることは間違いない。
音楽に制限を設けず、バンド・サウンドにもエレクトロニクスにも接してきた両者はまた、共にインディペンデントの重要性を知るミュージシャンでもある。片や、メンバーがレーベルを運営し、海外でも積極的にライヴを行っているLITE。片や、自身の表現を守るためにメジャーへの道を拒んだキャロライン。そんな音楽に対してどこまでも真摯な両者のコラボレーションは、いまだ先の見えない音楽業界の中にあって、未来へと続く光のアーチを作り出した。2月に行われるLITEのワンマンで、あなたもその目撃者の一人になってほしい。
インタビュー&文 : 金子 厚武
LITEの新作『arch』を高音質で配信開始!
インストゥルメンタル・ロック・バンド、LITEが初のボーカル・トラックを自身のレーベル“I Want The Moon”よりリリース! ボーカルとして招き入れたのはアメリカのポスト・ロック・バンド、MICE PARADEのボーカルであり、シンガー・ソングライターとしてCaroline名義でも活動するキャロライン・ラフキン。音楽の新しい可能性を模索し続けるLITEのインストの枠を超えた表現をご堪能ください!
左) HQD(24bit/48kHzのWAV) Ver.
右) MP3/WAV Ver.
武田信幸(LITE)×キャロライン・ラフキン 対談
――まずはそれぞれに2011年を振り返っていただこうと思うんですけど、LITEはここ数年の集大成とも言うべきアルバムが出て、8月に行われた渋谷WWWでのワンマンも大成功と、非常に充実した年だったのではないかと思うのですが、いかがですか?
武田信幸(以下、武田) : アルバムが大きくて、そのために2年前から作戦を練ってきて、去年ようやく形になったので、ひとつの区切りをつけられた年かなって。今年はそこからもう一つ新しいことを始めようと、そういう風に思えた年とも言えますね。
――一方のキャロラインさんもひさびさのアルバムが出て、MICE PARADEの活動もありつつ、HER SPACE HOLIDAYや4 bonjour’s partiesとの共演・コラボなど、やはり充実した年でしたよね。
キャロライン・ラフキン(以下、キャロライン) : 年の初めからすごく好調で、アルバムも出たし、MICE PARADEのツアーもあって、BLONDE REDHEADと一緒にライヴをすることもできました。残念ながら震災がありましたけど、それでもすごく力強い、ポジティヴなエネルギーが感じられた年でした。
――BLONDE REDHEADは昔からの憧れだったんですか?
キャロライン : 大学時代から一番好きなバンドと言っていいぐらい好きだったんですけど、実際にライヴを見たことはなかったんです。だから、共演できたことよりも、ライヴを見れたこと自体嬉しくて。小さいステージ(新代田FEVER)でもすごく自分たちの世界観を作り出していて、それに圧倒されました。
――去年のステージは本当に素晴らしかったですよね。年末にはenvyとの異色の共演もありましたが、いかがでしたか?
キャロライン : ニューヨークのレーベル・メイト(Temporary Residence)なんですけど、彼らのライヴも一度も見たことがなかったんです。でも、Temporary Residenceの人はもちろん、MICE PARADEが所属してるFatCat Recordsの人からも、envyのライヴがいかにすごいかっていうのを聞かされてて。それで共演する前にYouTubeでライヴ映像を見たら、あまりにスタイルが違うんで緊張したんですけど(笑)、でもオーディエンスは私の音楽を受け入れてくれたし、メンバーも優しい人たちで、すごくいい経験になりました。
――では、今回の「arch」ですが、さきほど武田さんがおっしゃられたとおり、何か「新しいことを始めよう」という、その一歩としてボーカル・トラックという案が出てきたわけですか?
武田 : 作り始めたときから歌ありきの曲になってたんです。最初は(ボーカルを)男性にしようか女性にしようかってところから始まって、候補もいろいろ出たりはしたんですけど、ちょうど井澤のやってるParabolica Recordsのツアーでキャロラインと一緒にやって、そこで話をしてみて、お互いいいフィーリングがあったので、「じゃあ、やってみよう」と。
キャロライン : 惇(井澤)から音源をもらって聴いて、ホントに素晴らしいバンドだと思いました。音楽的にすごく聴きやすいのに、すごく複雑でもあって、そのバランスにすごく感心したんです。今回の曲もプログラミングや歌詞の世界観に惚れました。
――歌詞も武田さんが書いてるんですか?
武田 : 叩き台というか、「こういうイメージ」っていうのを作って… 。
キャロライン : それをもらって私が書いたんですけど、もらったフレーズをたくさんそのまま使ってるんです。
武田 : イメージを忠実に再現してくれていて、ほぼ彼女が作ったようなものですけどね。やっぱり英語で書いてるんで、どうしてもぎこちなかったですから(笑)。
――キャロラインさんの声の魅力はどんな部分で特に強く感じていますか?
武田 : ちょっと妖精的というか、オルタナの匂いがあって、でも優しい声っていうか、そういう人が良かったんです。ただのポップ・ソングにはしたくなかったし、暗めの曲だったっていうのもあって、LITE的なオルタナティヴを出していきたいと思ったんで。
――ちなみに、先ほどの話だと男性ボーカルっていう選択肢もあったりしたんですか?
武田 : ホントに初めの段階ですけど、男っていうか… 「俺が歌えるように」みたいな(笑)。
――あ、なるほど(笑)。ちなみに、そのプランは… ?
武田 : そのプランは… 未来に(笑)。
――(笑)。これだけぴったりの人がいたわけですもんね。あとひとつ思ったのが、LITEは生のバンド・サウンドからスタートして、徐々にエレクトロニックな音に近づいたわけじゃないですか? 一方でキャロラインさんは元々エレクトロニック・ミュージックをやっていて、近年のMICE PARADEでの参加によって逆に生のバンド・サウンドに接近してますよね。そういう両者の共演になってるのが面白いなって。
キャロライン : まさにそうですね。自分の音楽はコントロールされてるというか、ラップトップから出るので、ステージに上がってるプレイヤーが同じクリックを聴いて演奏するっていうスタイルなんですけど、MICE PARADEはみんなインプロでいろんなことをやりだしちゃうので、いつもヒヤヒヤしてます(笑)。
――今回の曲を聴くと、LITEはよりエレクトロニックな方向に向かっているように感じられるのですが、実際はいかがですか?
武田 : そこは結構微妙で、やっぱり完全にエレクトロニックになりたいわけではないんですよね。昨日練習でこの曲をやってみたんですけど、最初に打ち込みメインで叩いてたらなんかしっくりこなくて、後ろ切っちゃって生でやってみたらすごくいい感じになったんです。だから、前よりバンド側に戻ってきてるのかもしれないです。生感というか、今はそういうものを求めてる気がします。
未来に続く光がアーチ状になっていくようなイメージ
――では、実際の制作はどのように進んでいったのですか?
武田 : まずはピアノでメロディのラインを軽く入れた歌なしのデモを渡して、「こういう雰囲気で」っていうことだけ伝えて、歌とプラスαのメロディをつけてもらいました。
――デモの時点でバックは完成形に近いものができてたんですか? それとも、徐々に変わっていきました?
武田 : 流れはそのままです。歌が入って変わるかなって思ってたんですけど、思い描いたものがパッと出てきたんで、「このままで行こう」と。
キャロライン : デモの音源と歌詞をもらってすぐに世界観は入ってきたんですけど、やっぱり他のアーティストの楽曲なので最初はドキドキしました。実際やってみて、聴いてみないとわからないっていう中で、実際にやってみたらすごくきれいな曲になったので、最初から構成がよかったんだと思います。コラボレーションの面白いところって、どうなるかわからないっていうところだと思うんですけど、でもコラボレーションを断ることも多いんです。コマーシャルな音楽とか、自分とは違うものは断るんですけど、今回に関してはホントにスッと受け入れられました。
――さきほどオルタナ感という話もありましたけど、お互いインディペンデントな活動をしてるっていう、そういう音楽に対する姿勢も近かったんでしょうね。
キャロライン : そうですね。お互い音楽に制限を持ってないし、あとホントにフレンドリーなんですよ。惇とはショウでハイタッチもしたし(笑)。レコーディングの前にバンド全員と打ち合わせもさせてもらったんですけど、そのときもすんなり溶け込めました。
――LITEは最近すごく活発にコラボレーションをしてますよね。昨年のワンマンでもDE DE MOUSE、avengers in sci-fi、アチコさんといった面々と共演されてましたし。コラボレーションの面白味をどんな面で感じられていますか?
武田 : 発見できるところですかね。他の人が入ったときは、自分たちだけではできない、新しいものができるじゃないですか? 今回で言うと、俺がピアノでつけた簡単なメロディを実際に歌ってもらって、それが返ってきたときに、語尾とかでちょっとメロディが変わってたりするのが、「わかってるなあ」って(笑)。
――実際完成したものを聴いて、どんな感想を持ちましたか?
武田 : 思ったのが… 「井澤よくやった」と(笑)。ミックスのときに言ってたのは、「これヒットだったね」で始まって、ちょっと経って聴くと「これ2ベース行ったね」ってなって、終いにはホームランになりました(笑)。それぐらい手応えというか、充実感がありましたね。
――歌詞についても聞かせてください。最初に武田さんが伝えたイメージはどういうものだったのですか?
武田 : 雪の中にいろんなものが埋まってるっていうイメージがあって、そこには暗いものだったり、人間味みたいなものが埋まっていて、雪が溶けてくると、マイナスなイメージがプラスに変わっていくっていう。未来に続く光がアーチ状になっていくような、そういうイメージでした。
キャロライン : 去年は震災が起こってしまったけど、それを希望につなげようっていうことも思って、だからこの曲により深い情熱を感じることができたんです。
武田 : 歌詞をつけて曲を作ったのは高校生以来なんですけど… 叩き台だけ作れば大丈夫っていう安心感があったので、そういう意味でもコレボレーションに助けられましたね。
――イメージのインスピレーションってどういうところから出てきたものなんですか?
武田 : 曲を何回も聴いてって感じでしたね。移動中に考えたりしたんですけど、ずっとリピートして、初めに浮かんだイメージからつなげて掘り下げていくというか。
――キャロラインさんは普段の歌詞のインスピレーションをどういうところから得ていますか?
キャロライン : 私はすごく感情的な性格なので、自分の実体験からしか書かないんです。今回のコラボレーションでよかったことのひとつは、初めて第三者として歌詞が書けたっていうことなんですよね。ホントの歌詞ってもう少し第三者の目線で書いたり、作り込んだりするべきなのかもしれないけど、いつもは自分の素直な気持ちしか書かないので、今回はすごくフレッシュな経験でした。
――武田さんはパーソナルな体験から曲を作ったりとかってないですか?
武田 : 失恋とかそういうのは反映してないですね… 高校生のときはありましたけど(笑)。
――一方でキャロラインさんの場合は、パーソナルな体験が直接反映されると。
キャロライン : ほとんどの場合がそうで、何かが起きたときの感情をどう発散していいかわからないから、自分の場合は音楽に発散してるんです。ただ、そのときに作るのは5秒ぐらいの短いフレーズで、それを寝かせて、あとで感情を消化し切れたときに、その曲に初めて向き合えるんです。アーティストによっては嫌なことや悲しいことをそのまま音楽にできるのかもしれないけど、私はそれに触れられなくなっちゃうんで、その気持ちがなくならないとその曲には向きえなくて。
――なるほど。ダイレクトではないものの、曲の根底には必ずパーソナルな体験があるわけですね。
キャロライン : よく「名作は悲しみから生まれる」って言うじゃないですか? でも今の自分はすごくハッピーなので、次はどんな作品ができるんだろうなって思うんです。もしかしたら、ダンス・アルバムになるかもしれない(笑)。
――それはそれで聴いてみたいですね(笑)。そして、お二人は2月に行われるLITEのワンマンで共演されるわけですが、この日のライヴは二部構成で、第一部はファーストとセカンドの曲を中心に、第二部はサードの曲を中心に、ゲストを交えて行われるそうですね。なぜこのような形式にしたのですか?
武田 : ゲストに出てもらうのをまたやりたかったんですけど、ごっちゃになっちゃうと構成上の問題もあるし、あと今回古い曲をどうしてもやりたかったんですよ。そうなると、サードの曲の中に入れるとちょっとバランスが取れないんで、やるとしたらまとめてやるしかないかなって。
――今回のタイミングで古い曲がやりたいと思ったのはなぜですか?
武田 : リハで合わせたりして実感してるんですけど、「意外といいじゃん」って気持ちがあって(笑)。客観的に見ても、今に通じる部分がちゃんとあると思うし、今のアルバムを聴いてるお客さんにもわかってもらえるんじゃないかっていう期待も込めて。
――サードで新しいLITEに到達したことで、今またすごくフラットな状態にいるんでしょうね。
武田 : 「完全に変わっちゃった」って見られるのにはちょっと抵抗があるんですよね。それはそれで人の意見だからいいんですけど、実際にトータルで聴いてみたら、初めもLITEだし、サードもLITEだしっていう、それはアピールしたいなって。
――キャロラインさんとの共演は第二部ですね。緊張します?
キャロライン : すごくします(笑)。特に演奏がパワフルなバンドとやるときは、自分の声がソフトで小っちゃいから、「音程はずれてるのに聴こえてなかったらどうしよう」とか、たくさん心配しちゃいます。
武田 : ソフトにやるときはソフトに… そこはわきまえてます(笑)。
キャロライン : サンキュー(笑)。
――第二部には他にもたくさんゲストが出るそうですね。
武田 : パーカッションにOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDで叩いてるKAKUEIさんに全般的に入ってもらって、ギターにART-SCHOOL/Ropesの戸高(賢史)くん、キーボードにthe chef cooks me/磯部正文BANDのシモリョー、あとアチコさんにもまた入ってもらって、勝手にフェス的な(笑)。俺としては安心感しかないですね。いろんな人たちが助けてくれるっていうか… 心強いです(笑)。
――非常に豪華なメンツで、第一部共々楽しみですね。
武田 : つながりのある人たちと一緒にライヴができるので、そのつながりを見てほしいっていうのもありますし、単純に「すげえいいな」って思ってもらえると思うんですよ。ちょっとジャムったりして感触を確かめてるんですけど、ものすごいいいものができそうなので、ぜひ見に来てほしいと思います。
LITE LIVE SCHEDULE
LITE ワンマン・ライヴ 『Approaches』
2012年2月3日(金) @恵比寿 LIQUIDROOM
Guest Musicians : Caroline / シモリョー(the chef cooks me) / アチコ(Ropes) / 戸高賢史(Ropes/ART-SCHOOL) / KAKUEI(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND/L.E.D.)
2012年2月5日(日) @梅田 SHANGLI-LA
Guest Musicians : Caroline / 五味岳久(LOSTAGE) / シモリョー(the chef cooks me) / アチコ(Ropes) / 戸高賢史(Ropes/ART-SCHOOL) / KAKUEI(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND/L.E.D.)
『爆裂核心 BURSTING CORE & HighApps Presents「HighApps in Taiwan」』
2012年2月24日(金) @台湾 台北WALL
2012年2月25日(土) @台湾 高雄WALL
『FREE THROW』
2012年3月20日(火) @新木場 STUDIO COAST
DISCOGRAPHY
LITE Works
3rd full album 『For all the innocence』
本作はBOOM BOOM SATELLITES、DJ BAKUのエンジニア/共同プロデューサーの三浦カオル氏を迎えてレコーディングを敢行。『For all the innocense(=すべての無垢な者たちへ)』は、人生においての命題でもある「人間と動物の関係性」をコンセプトに掲げ制作された。70年代のプログレ、80年代のニュー・ウェイヴを彷彿させる独自のシンセ・サウンドと、ジャズ、テクノ、ミニマル、アフリカン・ビートなどのダンス・ビートを取り入れたリズムが、今までの有機的なバンド・サウンドと融合を果たし、ポスト・ロック以降の、真の意味でのポスト・ポスト・ロック・サウンドを鳴らし、今までのLITEサウンドの定義の超越に成功した。
Caroline Works
PROFILE
LITE
2003年結成、4人組インスト・ロック・バンド。今までに2枚のフル・アルバムと2枚のEP、1 枚のスプリットCDをリリース。独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、 エモーショナルでスリリングな楽曲は瞬く間に話題となり、また同時にヨーロッパのレーベルからもリリースし、ヨーロッパ、US、アジア・ツアーなどを成功させるなど国内外で注目を集めている。 そして昨年10月に立ち上げた自主レーベル「I Want The Moon」より、音響系/ポストロックの巨匠で、TORTOISE、The Sea and CakeのJohn McEntireを迎えて、 シカゴのSoma Studioにてレコーディングされた5曲を収録したミニ・アルバム『Illuminate』を2010年7月7日にリリースし、2度目となるFUJI ROCK FESTIVAL'10へ出演など、近年盛り上がりを見せているインスト・ロック・シーンの中でも、最も注目すべき存在のひとつである。
Caroline
沖縄出身の女性シンガー・ソングライター。本名はキャロライン・ラフキン。J-POPシンガーOLIVIAの実妹。各地を転々とした後、2003年、ボストンのバークリー音楽大学卒業。その後、東京に移住。メジャー・レーベルとの契約寸前まで行くが、姉同様にポップ・シンガーとして期待され、様々なことを強要されることを拒み、自身の音楽を全うする道を選ぶ。2004年にMySpaceにアップした「Where’s My Love?」がNYの優良インディー・レーベルTemporary Residence(Explosions in the Sky、MONO、Pinback、The Booksなどが所属)の耳に留まり、契約。2005年10月、シングル「Where's My Love?」でデビュー。2006年3月、ファースト・アルバム『Murmurs』リリース。日本でもHuman Highwayからリリースされ、その透明感溢れる歌声と、サンプリングを全く使わず、生のピアノ、ハープ、ベル、ギター、ストリングス、ハンドドラムなどを使用した温かみのあるトラックが、Bjork、mumなどを引き合いに出されながら高く評価され、好セールスを記録する。同年7月には、台湾最大の野外フェスティバルFormoz Festivalに出演。2007年、ポスト・ロック・バンドのMice Paradeの6枚目のアルバム『Mice Parade』にゲスト参加。以後、全てのライヴに参加するようになり、現在は正式にバンド・メンバーとしてクレジットされている。2010年4月、代官山UNITでのイべント「Hennessy artistry」に、Her Space Holiday、LEO今井らとともに出演。バック・コーラスに姉OLIVIAも従えて、日本でのソロとしての初ライヴは、超満員のオーディエンスを前に大成功を収める。そして2011年、5年ぶりとなるセカンド・アルバムが到着。前作同様、丁寧に編み上げられたミニマルなエレクトロニカを基調としながら、オーガニックで温かみのあるトラックはさらに芳醇さを増し、それが、Mice Paradeとしてレコーディング、そして世界中をツアーした経験から、表現力にさらなる広がりが生まれた歌声を包み込み、天上の音楽とでも言うべき荘厳な美しさを湛えた作品となった。